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日常

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俺「おお!」

ここに来て驚いてばかりだ。今の驚きはジンの家と同じ間取りの別の家を見たからだ。
何故、別の家にいるかと言うと。

ジン「いや~、悪いけど無断でシリウスの家建てちゃった。勝手にやったから間取りは俺ん家と一緒なんだけど。」

ジンの家の時に言ったけど中々に広い。一般家庭の家なら申し分無いだろう。

俺「こんな良い物、貰って良いのか?」

ジン「当たり前だろ。村に来てくれた大工に頼んだら建ててくれたんだよ。」

エリス「ああ、私は要らないと言ったがジンはどうしてもと言うし、大工は簡単に受けるしな。まぁ、結果的には良かった。家に貴様を泊めずに済むからな。」

いや、元々お前ん家じゃないだろ!とは思う。けどこれ以上揉めると面倒だ。

ジン「家具もあるから直ぐ使えるぞ。と言っても魔力が必要な物は無いから少し不便だけど。」

俺「いや、良いさ。俺は元々、魔力が無いからあっても意味無いしな。」

ジン「あ!悪い!そういう意味じゃないんだ。そうだ!魔導発電機は付いてるから、灯りの心配は無いぞ。」

俺「分かってるよ。・・・ん?魔導発電機って?」

なんでもスワロウ公爵家の開発した装置で、大気中にある魔力を吸収して半永久的にエネルギーを生み出し、繋いだ魔導具を自在に扱える様にする物だと言う。
魔力の少ない人間には大助かりなアイテムで、俺に至っては必需品になるかも知れない物だ。誰が開発したかは心当たりがある。今度本人から話を聞いてみよう。
因みに俺の家はジンの家の直ぐ近くだ。隣って程近くは無いけど。ついでにもう1つの気になってる事を聞く。

俺「そういえば、何でまたこんな土地に村というか町を作る気になったんだ?」

ジン「それは俺達の故郷、無くなったろ?俺達だけじゃない。ここに住んでいた全員が無くしたんだ。だから取り戻したかったんだよ。シリウスやエレナ、生き残った人達が帰ってこられる場所、故郷を。」

俺「ジン、お前。」

本当に良い子に育って。俺は涙を堪える。歳の所為か涙脆くて。肉体年齢は若いけど精神年齢はそれなりだ。

エリス「あいつふざけた顔してるぞ。」

こいつ!俺は感動して泣いてんだよ!
まぁ、良い。ジンが折角用意してくれたんだ今日はここで寝る。もう夜だし。ただ1番大事な"襲撃"の話をまだしていない。なんて切り出そうかな?
"襲撃"についてはいつも通りのゲーム情報だけだ。しかも今回は時期だけじゃなく場所すらよく分からない。この村がまた襲われるのか?それとも別の場所なのか?現在確実に言えるのは、ジンが襲われ関係者が死ぬって事だ。前回は全員救えなかった。だけど、今度こそは助けたい。
次の日。
何と伝えるべきか思い付かない。だけど、"襲撃"の話はしなければならない。俺は意気込んでジンの家に向かった。そして今は何故か畑にいる。

俺「ぬぉ~、身体が痛ぇ~。」

ジン「あははっ、怠けてるからだよ。」

俺「いやいや、戦闘は腐る程やってるよ。」

ジン「でも、身体の使い方が違うから痛いだろ?俺も久しぶりに畑仕事をしたらキツくてさ。懐かしさなんかどっか行っちゃったよ。」

俺「天気良いから気持ちは良いけど、久しぶりだから本当にキツいな。」

ジン「もう少しで昼休憩だし、頑張ってくれよ。」

俺「分かってるよ。」

ジン「俺さ、こうして畑仕事してるとつくづく思うんだけど。」

俺「ん?何を?」

ジン「俺はやっぱり剣を振るより鍬を握ってる方が性に合ってると思うんだ。」

俺「え?・・・・ああ、そうかもな。」

ジン「人にどう思われても俺は[聖騎士]じゃないし、それに"貴族"や"領主"って柄でもない。やっぱり俺はただの村人だよ。」

エリス「おい!休憩にしよう!」

ジン「お、おう!今行く!」

ただの村人か、要するにもう戦いたく無いって事だ。だけど襲撃の事については伝えないといけない。

エリス「ほら、お義母様から渡された貴様の昼だ。有り難く頂け。」

こいつは俺に対しての棘が酷いな。

ジン「何でシリウスに強く当たるんだ?」

エリス「ジンには話しただろ?私が小さい集落の出身だと。」

ジン「ああ、確か基本的に仕事と言えば狩りか畑仕事だって言ってたっけ?妙に手慣れてたから驚いたよ。俺は最初、エリスに苗字があるから貴族だと思ってたからさ。」

エリス「それは魔王様の方針だ。貴族という枠組みを作れば人族と同じく種族間で隔たりが出来てしまうからな。ただ我々の独自の考えで姓を付けただけだ。それで話を戻すが、その何も無い小さな集落を魔物の集まりとして人族は襲って来たんだ。大人達のお陰で私を含めた何人かの子供は助かった。そしてそのまま彷徨っていた所を助けてくれたのがドワイト様だ。」

ジン「そうなのか。」

エリス「私にとっては上司であり第二の父でもあった。その人を殺したこいつは憎い敵でしか無い。」

成程、言いたい事は分かった。ただそうなると気になる事がある。

俺「ジンはそのドワイトの親友で、魔族の総大将の魔王を殺してるぞ?そこはどうなんだよ。」

ジン「そこ言われると困る。」

エリス「魔王様は私からすれば雲の上の人だ。そこまで親しい訳では無かったからな。それに魔王様の身に起きた事は魔王様自身が選んで起きた結果だ。私が気しても仕方ないさ。」

こいつジンに対しては甘いな。さっきの話で言えば俺とドワイトの勝負も流すべきじゃないか?

ジン「まぁ、シリウスに腹を立てる理由は分かったよ。それで仲良くってのは確かに難しいな。」

エリス「ああ、私には無理だ。」

こいつに譲る気は更々無いみたいだ。

ジン「あのさ。話は変わるけど、シリウスがここに来たの偶然とかじゃないよな?何かあったんだろ?」

それなりの付き合いなだけはあるな。俺が会いに来ただけで気付くとは。話すタイミングを伺ってたけど丁度良いか。

俺「まぁ、なんて言うか。いつもの御告げがあってさ。」

俺はとりあえず他の部分は言わず、ジンの身に起きる事だけ伝える。

ジン「また、戦うのか。」

エリス「ジン。」

俺「俺がなんとか出来れば、そっちに迷惑が掛からない様に頑張るけど。俺だけで何処まで出来るか分からないからさ。」

ジン「なぁ、その王子ってのと話し合い出来ないかな?」

俺「う~ん。今回の騒動には部下しか来ないみたいだからそれは難しいんじゃないか?」

エリス「しかし王子様達か。魔王様は慕われてはいた筈だ。しかしあの方達は例え仇討ちを考えていても他の者達を巻き込むとは思えない。」

俺「じゃあ関係無い奴等が王子と偽って名乗ってるとか?」

エリス「可能性はある。後は誰かに唆されたかだな。」

ジン「そんな簡単に騙されるのか?」

エリス「それは・・・・分からん。」

俺「まぁ、とにかくそういう事だから気になってこっちに来たんだ。俺が思ってたのと違う事態にはなってるけど。」

ジン「分かった。とにかく親父達や村の連中にも声を掛けて警戒する様に言っとくよ。所で今日も泊まるんだろ?」

俺「ん?ああ、折角の実家があるしな。」

エリス「当たり前だ!家には泊めん!」

俺「お前が決める事じゃないだろ!」

ジン「はぁ~、やれやれだな。」
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