Worldtrace

mirror

文字の大きさ
上 下
99 / 187
後日談

[Worldtrace2]

しおりを挟む
王国は魔王との決戦に勝利した。だが今だに残党軍との戦いは続いていた。
本格的に活発化したのは最近だがそれでもかなりの被害が出ていた。現状を打破する為、王国は討伐軍の編成をした。

アルフレッド「坊っちゃま。会議の準備が整ったそうです。」

クリストファー「それは止めてくれ。」

アルフレッド「失礼しました。閣下。」

クリストファー「次期当主として父の代わりに戦場まで来たけれど思っていたより大変だね。」

アルフレッド「左様でございますな。御当主様はあの傭兵を閣下の盾として使いたかった様ですが。」

クリストファー「シリウスさんか。今何処にいるか分からない以上協力は頼めないさ。」

アルフレッド「必要な時にいないとは腹立たしい。」

クリストファー「フフッ、そこまで言わなくても良いんじゃないかな?・・・さぁ、奴等を皆殺しにするよ。」

それとは別の場所、魔族残党軍の本拠地。

魔族1「ようやくここまで来たな。」

魔族2「ああ、しかし今更だが良かったのか?このまま戦って。」

ランド「ありがとう。だけどもう決めた事だ。」

魔族1「しかしお前の唯一の居場所だったんじゃないのか?」

ランド「あれだけしたからな。もう俺に帰る場所は無いさ。それに俺には新たな居場所がある。」

魔族2「そうか。あの子の家族としてお前とあの子の幸せを願っている。」

ランド「ああ、ありがとう。だけど。」

魔族1「ん?」

ランド「いや、もしあいつがいたら何て言うか気になってな。」

魔族2「誰の事だ?」

ランド「俺が勝手に親友と思っている奴の事さ。あの場にいたら確実に止められていたかもな。」

魔族1「それ程か。」

ランド「ああ。」

その男は人族でありながら魔族に組みし、かつての仲間と戦った。そして次は王国まで敵にしようとしていた。
そしてもう1人。焼け野原になった村。人々の屍、その中に1人の女性の亡き骸を抱きながら声にならない声を出して苦しむ男がいた。

ジン「ぐ!くぅぅ!・・・・ああ!」

かつての英雄は1人苦しみ、泣いていた。そして。

エレナ「本当に行くのか?」

ジン「ああ。俺はあいつ等を許さない!根絶やしにしてやる!」

エレナ「シリウスがいてくれたら。」

ジン「そうだな。あいつがいたら少しは変わったかもな。」

かつて英雄は復讐の旅へ出る。ただ己の心のままに。


一通りの話を見た後、俺は口を開く。

俺「おい。何だこれ?」

ウルド「まぁ、何となく言いたい事は分かるわ。」

俺「クリストファーってアイリスの弟だよな?」

ウルド「そうよ。『王国の守護神』編の主人公よ。」

俺「何でランド?」

ウルド「彼が『革命』編の主人公よ。」

俺「で、ジンが?」

ウルド「『復讐』編の主人公。」

公式・・・というかウルド達が決めた正式名称はさっきの3つだけど、ジンの復讐のワードが強すぎて他の2つがファンの間で皆殺しエンドと国家転覆エンドって、呼ばれる様になっていた。

俺「なぁ、何で3人が闇堕ちしたみたいな状況になってんだ?理由も分からないぞ。」

ウルド「理由についてはあんたが関わりそうだから予測演算に表示されないのよ。あんたが死んだか消えたって仮定を入れてやっとさっきの所から計算出来る様になったの。」

俺「え?俺の所為なの?」

ウルド「あんたは元々この『世界』と関係無いから機械が予測出来無いのよ。レコードに事実として記録されたなら別だけど。」

俺「俺がNPCじゃないから決まった行動が出来ない。だから予測演算で計算しても答えが弾き出せないって話か。」

ウルド「そ!あんたは、まぁ、コンピュータのバグみたいな物ね。」

俺「はぁ?散々苦労して頑張ったのにおれはデータを食い荒らす害虫って言いたいの?」

ウルド「い、いや、そういう意味じゃないわよ。とにかく今回私達がして欲しい事はあの3人の闇堕ちを防ぐのと。え~と。少し言い辛いけど。」

成程こっちが本題か。

ウルド「魔族と和解して。」

何となく思っていたから、覚悟はしていたけどやっぱそうなるか。しかしこれだけは言いたい。

俺「本気で言ってる?」

あまり意識して無かったけど、割と本気のトーンになってたみたいでウルドがたじろぐ。

ウルド「う、分かってるわよ。あんたに取っては母親を殺した奴等だし、そんな連中と和解が難しいのは。だけどこのままだとどちらかが滅びるまで戦う事を止め無いでしょ。種族を滅ぼす何て簡単には出来ないわ。」

まぁ、確かに地球による自然淘汰や、人間によって動物が絶滅に追い込まれる事はあるだろうけど。人間同士で絶滅は中々難しいだろう。

俺「和解・・・か。」

ウルド「いつも通りやり方はあんたに任せるわ。」

俺「全部俺の独断で良いのか?」

ウルド「大丈夫よ。そこは信じてるから。」

はぁ~、つくづく自分はお人好しだなと思う。まぁ、信じると言われて悪い気はしない。仕方ない。やるか。

俺「分かったよ。やるよ。」

ウルド「うん。お願い。頼りにしてるわ。」

俺「はいはい。」

それにしてもダウンロードした記憶の中で気になる事があった。俺の本体がスマホで"シリウス 登場 可能性"とよく検索していた。

俺「なぁ。」

ウルド「うん?」

俺「俺の本体がずっと"俺"の事、検索してたけどどういう事だ?俺がこの『世界』に来たのは、ゲーム『Worldtrace』の出た後だ。時系列的に"俺"の存在は知らない筈だろ?」

ウルドは目を逸らし口笛を吹いて、何かを誤魔化している。そういえばこの部屋は俺の本体の記憶を元に作ってる筈だ。俺ならゲームはこの辺に置く。

ウルド「あ!ちょっと!何してるの!」

俺「あった!」

そこには『Worldtrace 新約版』とパッケージに書かれているゲームがあった。更に問題なのは、加工されてはいるがパッケージの右端に俺がいた事だ。

俺「なぁ、肖像権って言葉知ってるか?」

ウルド「残念だったわね。あんたのいる所には肖像権なんて言葉無いのよ。加工してるからあんたの本体も分からないだろうしね。」

なんて奴だ!これが女神とは!この世の終わりだな!

俺「というかこれ出す意味あるのか?」

ウルド「スクルドが"1"にシリウスがいないのにいきなり"2"で皆んながシリウスの名前連呼してたら意味が分からないんじゃない?って言うからレコードの方からデータをコピーしてリマスター版として発売したのよ。」

俺「俺を知らない内に商業に利用したのか。それなら儲けの一部を俺に寄越すのが道理だろう?」

ウルド「はぁ?これがあんただって証明出来無い以上その必要は無いでしょ。というかさっさと行きなさいよ。私はもう行くからね。」

そう言うとウルドは部屋から出て行く。

俺「あ!おい!・・・たく、ふざけやがって。しょうがねぇな。」

俺は自分の部屋を物色する。

俺「あれ!あのシリーズの最新作出たのか!やろ。」

俺は寝落ちであの『世界』に戻るまでゲームをして過ごした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

王女殿下の死神

三笠 陣
ファンタジー
 アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。  産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。  エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。  そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。  リュシアン・エスタークス。  魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。  そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。  そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。  友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。  そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。  魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。 (本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)

無法の街-アストルムクロニカ-(挿し絵有り)

くまのこ
ファンタジー
かつて高度な魔法文明を誇り、その力で世界全てを手中に収めようとした「アルカナム魔導帝国」。 だが、ある時、一夜にして帝都は壊滅し、支配者を失った帝国の栄華は突然の終焉を迎えた。 瓦礫の山と化した帝都跡は長らく忌み地の如く放置されていた。 しかし、近年になって、帝都跡から発掘される、現代では再現不可能と言われる高度な魔法技術を用いた「魔導絡繰り」が、高値で取引されるようになっている。 物によっては黄金よりも価値があると言われる「魔導絡繰り」を求める者たちが、帝都跡周辺に集まり、やがて、そこには「街」が生まれた。 どの国の支配も受けない「街」は自由ではあったが、人々を守る「法」もまた存在しない「無法の街」でもあった。 そんな「無法の街」に降り立った一人の世間知らずな少年は、当然の如く有り金を毟られ空腹を抱えていた。 そこに現れた不思議な男女の助けを得て、彼は「無法の街」で生き抜く力を磨いていく。 ※「アストルムクロニカ-箱庭幻想譚-」の数世代後の時代を舞台にしています※ ※サブタイトルに「◆」が付いているものは、主人公以外のキャラクター視点のエピソードです※ ※この物語の舞台になっている惑星は、重力や大気の組成、気候条件、太陽にあたる恒星の周囲を公転しているとか月にあたる衛星があるなど、諸々が地球とほぼ同じと考えていただいて問題ありません。また、人間以外に生息している動植物なども、特に記載がない限り、地球上にいるものと同じだと思ってください※ ※固有名詞や人名などは、現代日本でも分かりやすいように翻訳したものもありますので御了承ください※ ※詳細なバトル描写などが出てくる可能性がある為、保険としてR-15設定しました※ ※あくまで御伽話です※ ※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様でも掲載しています※

健太と美咲

廣瀬純一
ファンタジー
小学生の健太と美咲の体が入れ替わる話

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

処理中です...