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後日談
陰謀
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王城のある応接室
国王「おお!来たか!フリード!」
フリード「はは!陛下!何事ですか?」
国王「良い。良い。弟よ。今は2人だけだ。あまり硬くなるな。」
フリード「はぁ、それで何用ですか?」
国王「うむ。実はアイリスの婚約者が決まったぞ。私の息子、王太子カリアンだ。」
フリード「な!あのバカむす、じゃない。王太子ですか!しかしながらアイリスは王妃になる教育は受けていませんし、王太子にはもう既に5人婚約者がいた筈ですが?」
国王「まぁ、お前の気持ちも分かる。あの子は生まれながらに王になる宿命があるにも関わらず優し過ぎる。だから代わりと言うべきか既に次期王妃と側妃の2名に色々と教育を施している。アイリスにはあの子と子を儲けてくれれば良い。」
フリードは思う。何言ってる!あの馬鹿息子にウチの可愛い娘をやれるか!せめてもう少しまともな貴族か、いっそ外国の王族に嫁にやる方がマシだ。それに教育が要るのはあの馬鹿の方だろう!3人も教育しなければならない程の異常事態をもっとしっかり受け止めろ!と。
フリード「あのしかしですね。そういう大事な話は当事者である我等に一言あって然るべきでは?」
国王「いや~、一部の貴族達が聖剣の聖女であるアイリスを王族に入れるべきだと言っていてな。」
"誰だそんな余計な事を言った間抜けは!"と思うが口には出さない。だがどうにかしてこの婚約は破棄しなければと思案する。
国王「とにかく準備が出来次第、皆に発表するからな。」
話は一方的に終わった。正式発表はまだだがこのままではアイリスが危ない。
フリード「愚兄め!何故アイリスがあの馬鹿息子の所に嫁がねばならぬ!」
アルフレッド「落ち着いて下さい。フリード様。どうにか理由を作らねばなりません。とにかく冷静に考えましょう。」
クロード「・・・。」
フリード「しかし急がねばあの子が不幸になる。」
アルフレッド「ですが王族との婚約の話です。中々簡単には行きませんぞ。」
クロード「あまり良い話ではありませんが、お嬢様はあの傭兵に恋慕している節がございます。」
フリード「それも忌々しい!あんな小汚い男など娘には相応しくない!」
アルフレッド「クロードよ。今はそんな話をしている場合では無いぞ。」
クロード「いえ、私に少し妙案がございます。御耳を拝借出来ますか?」
フリード「む?」
アルフレッド「何です?」
クロードは2人に耳打ちする。ある企みを。
フリード「フッ、フフフ!フハハハ!良い!良いぞ!」
アルフレッド「成程!確かにそれなら両者共に叩き潰せるな!しかしあの男が協力するのか?」
クロード「それは恐らく大丈夫だと思います。あの男はお嬢様の身に危険が迫っているとなれば例え罠と分かっていても協力するでしょう。そこは先の戦争で証明されている筈です。」
フリード「ふむ。確かに無事、娘を連れ帰った。そこだけは評価出来る。」
アルフレッド「なれば急ぎ策を進めましょう。」
フリード「よし!ならば奴には私が直々に手紙をしたためてやろう!」
アルフレッド「しかし奴に字は読めるのでしょうか?」
クロード「読めなければ私が代わり読み聞かせますよ。」
フリード「なら少し適当に書いても大丈夫だな。」
フリードはシリウスに手紙を書く。こうして公爵の陰謀に巻き込まれる。
そして場所は"イージス"に移り。
クロード「と言う訳で協力して頂きます。」
俺「いやまぁ、お前とも多少同じ釜の飯を食った中だから、手伝ってくれって言うなら構わないけど。流石に何の説明も無く"と言う訳で"だけじゃ何も分からんぞ。」
クロード「何より、お嬢様の身に危険が迫っているのです!」
こいつ、俺に"協力する"って言質を取るまで内容は話さない気だな。でも確かにアイリスには色々迷惑かけてるし、危ないってんならやるか。
俺「分かった。協力するよ。で?内容は?」
クロード「詳細は御当主様からの手紙に書いてあります。」
俺「ふ~ん。」
俺は手紙を受け取り見る。
"拝啓、アイリスという光に集る羽虫よ。"
俺「・・・・・なぁ、これ俺に協力頼む人間の書く文章か?」
クロードは手紙を見る。
クロード「これは!・・・・貴方、字が読めたのですね!」
俺「いや、問題はそこじゃねぇよ!」
クロード「おっと失礼。御当主様の手紙に書いてある最初の1行を、ちゃんと理解していた様で驚いてしまいました。無論、御当主様の偽らざる気持ちで間違いありません。そしてお嬢様に危険が迫っているのも事実。」
くそ!それ言われたら我慢するしか無い。
"拝啓、アイリスという光に集る羽虫よ。先ずは礼を言おう。先の戦争では良くぞアイリスを守った。
しかし、今またアイリスの身に危機が迫っている。私では無くアイリスの為、どうか力を貸してくれ。最近アイリスと婚約させろという輩が現れたのだ。断りたいが中々理由が無くて断れない。
そこで"剣聖魔人"を討ち取った者との婚約を考えても良いかも知れないと伝えたのだ。貴様にはその輩を完膚なきまでに叩きのめして欲しいのだ。どうかアイリスの代わりに断ってやって欲しい。
因みにもし貴様が不敬罪で処刑されても安心しろ。私が好きな所に墓を建ててやる。頼んだぞ。"
俺「・・・・。」
クロード「・・・・。」
俺「なぁ。」
クロード「何ですか?」
俺「なんか俺を厄介事と一緒に始末しようとしてないか?」
クロード「そうですか?しかし貴方は大事な事を忘れてますよ。」
俺「何だよ?」
クロード「貴方がやらねばお嬢様は望まぬ婚姻を結び、ただの変態に汚されるんですよ!それで良いのですか!」
俺「分かってるよ。あいつには世話になってるし、嫌だってんなら代わりに断るくらいするさ。」
クロード「それを聞いて安心しましたよ。」
何とも怪しい作り笑いをする。俺の質問には否定もしなければ肯定もしていない。俺の感じてる事は多分間違いなく当たりだろう。
でもアイリスの事を放って置く訳にも行かない。仕方がないからなんとかするか。
国王「おお!来たか!フリード!」
フリード「はは!陛下!何事ですか?」
国王「良い。良い。弟よ。今は2人だけだ。あまり硬くなるな。」
フリード「はぁ、それで何用ですか?」
国王「うむ。実はアイリスの婚約者が決まったぞ。私の息子、王太子カリアンだ。」
フリード「な!あのバカむす、じゃない。王太子ですか!しかしながらアイリスは王妃になる教育は受けていませんし、王太子にはもう既に5人婚約者がいた筈ですが?」
国王「まぁ、お前の気持ちも分かる。あの子は生まれながらに王になる宿命があるにも関わらず優し過ぎる。だから代わりと言うべきか既に次期王妃と側妃の2名に色々と教育を施している。アイリスにはあの子と子を儲けてくれれば良い。」
フリードは思う。何言ってる!あの馬鹿息子にウチの可愛い娘をやれるか!せめてもう少しまともな貴族か、いっそ外国の王族に嫁にやる方がマシだ。それに教育が要るのはあの馬鹿の方だろう!3人も教育しなければならない程の異常事態をもっとしっかり受け止めろ!と。
フリード「あのしかしですね。そういう大事な話は当事者である我等に一言あって然るべきでは?」
国王「いや~、一部の貴族達が聖剣の聖女であるアイリスを王族に入れるべきだと言っていてな。」
"誰だそんな余計な事を言った間抜けは!"と思うが口には出さない。だがどうにかしてこの婚約は破棄しなければと思案する。
国王「とにかく準備が出来次第、皆に発表するからな。」
話は一方的に終わった。正式発表はまだだがこのままではアイリスが危ない。
フリード「愚兄め!何故アイリスがあの馬鹿息子の所に嫁がねばならぬ!」
アルフレッド「落ち着いて下さい。フリード様。どうにか理由を作らねばなりません。とにかく冷静に考えましょう。」
クロード「・・・。」
フリード「しかし急がねばあの子が不幸になる。」
アルフレッド「ですが王族との婚約の話です。中々簡単には行きませんぞ。」
クロード「あまり良い話ではありませんが、お嬢様はあの傭兵に恋慕している節がございます。」
フリード「それも忌々しい!あんな小汚い男など娘には相応しくない!」
アルフレッド「クロードよ。今はそんな話をしている場合では無いぞ。」
クロード「いえ、私に少し妙案がございます。御耳を拝借出来ますか?」
フリード「む?」
アルフレッド「何です?」
クロードは2人に耳打ちする。ある企みを。
フリード「フッ、フフフ!フハハハ!良い!良いぞ!」
アルフレッド「成程!確かにそれなら両者共に叩き潰せるな!しかしあの男が協力するのか?」
クロード「それは恐らく大丈夫だと思います。あの男はお嬢様の身に危険が迫っているとなれば例え罠と分かっていても協力するでしょう。そこは先の戦争で証明されている筈です。」
フリード「ふむ。確かに無事、娘を連れ帰った。そこだけは評価出来る。」
アルフレッド「なれば急ぎ策を進めましょう。」
フリード「よし!ならば奴には私が直々に手紙をしたためてやろう!」
アルフレッド「しかし奴に字は読めるのでしょうか?」
クロード「読めなければ私が代わり読み聞かせますよ。」
フリード「なら少し適当に書いても大丈夫だな。」
フリードはシリウスに手紙を書く。こうして公爵の陰謀に巻き込まれる。
そして場所は"イージス"に移り。
クロード「と言う訳で協力して頂きます。」
俺「いやまぁ、お前とも多少同じ釜の飯を食った中だから、手伝ってくれって言うなら構わないけど。流石に何の説明も無く"と言う訳で"だけじゃ何も分からんぞ。」
クロード「何より、お嬢様の身に危険が迫っているのです!」
こいつ、俺に"協力する"って言質を取るまで内容は話さない気だな。でも確かにアイリスには色々迷惑かけてるし、危ないってんならやるか。
俺「分かった。協力するよ。で?内容は?」
クロード「詳細は御当主様からの手紙に書いてあります。」
俺「ふ~ん。」
俺は手紙を受け取り見る。
"拝啓、アイリスという光に集る羽虫よ。"
俺「・・・・・なぁ、これ俺に協力頼む人間の書く文章か?」
クロードは手紙を見る。
クロード「これは!・・・・貴方、字が読めたのですね!」
俺「いや、問題はそこじゃねぇよ!」
クロード「おっと失礼。御当主様の手紙に書いてある最初の1行を、ちゃんと理解していた様で驚いてしまいました。無論、御当主様の偽らざる気持ちで間違いありません。そしてお嬢様に危険が迫っているのも事実。」
くそ!それ言われたら我慢するしか無い。
"拝啓、アイリスという光に集る羽虫よ。先ずは礼を言おう。先の戦争では良くぞアイリスを守った。
しかし、今またアイリスの身に危機が迫っている。私では無くアイリスの為、どうか力を貸してくれ。最近アイリスと婚約させろという輩が現れたのだ。断りたいが中々理由が無くて断れない。
そこで"剣聖魔人"を討ち取った者との婚約を考えても良いかも知れないと伝えたのだ。貴様にはその輩を完膚なきまでに叩きのめして欲しいのだ。どうかアイリスの代わりに断ってやって欲しい。
因みにもし貴様が不敬罪で処刑されても安心しろ。私が好きな所に墓を建ててやる。頼んだぞ。"
俺「・・・・。」
クロード「・・・・。」
俺「なぁ。」
クロード「何ですか?」
俺「なんか俺を厄介事と一緒に始末しようとしてないか?」
クロード「そうですか?しかし貴方は大事な事を忘れてますよ。」
俺「何だよ?」
クロード「貴方がやらねばお嬢様は望まぬ婚姻を結び、ただの変態に汚されるんですよ!それで良いのですか!」
俺「分かってるよ。あいつには世話になってるし、嫌だってんなら代わりに断るくらいするさ。」
クロード「それを聞いて安心しましたよ。」
何とも怪しい作り笑いをする。俺の質問には否定もしなければ肯定もしていない。俺の感じてる事は多分間違いなく当たりだろう。
でもアイリスの事を放って置く訳にも行かない。仕方がないからなんとかするか。
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