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後日談
絶望
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いつからだろうか。何があったかもハッキリ分からない。当時は騒動の真っ最中だった。気付かなかったとしても仕方ない。そう言う人もいるだろう。それにしても不覚だった。まさかこんな事になるとは思わなかった。
悔やまれるのは育ての母であるアイリーンの姉、つまりは叔母さんに言われた占い。命に等しい大事な物を失うという占いについて、何も対策をしていなかった事だ。
基本占いなんて信じない俺は鵜呑みにはしない。それが今回の1番の失態かも知れない。まぁ、代わりに仲間の命は無事だった。そう考えると決して悪い結果では無い。ただそれでも後悔はする物だ。
ランド「大変だったな。だけど、いつまでも落ち込んでいられないだろ?元気を出してくれ。」
俺は数日前"イージス"に戻った。しかしショックで何も手に付かない。
バート「シリウスさんかなり落ち込んでるな。」
アン「そりゃ、あんな事があれば落ち込むわよ。私だって落ち込むわ。」
皆んながそれぞれの意見で俺を擁護してくれている。しかし俺はそれに応える気力すら無い。
ジーク「ふぅ、今の状況では俺の土産は無しか?」
ゲイツ「お前、いい加減にしろよ。こいつがそんな気を使う奴だと思ってるのか。」
ジーク「物事に希望を持つのは悪く無いだろう?」
ゲイツ「まぁ、確かにな。ってか本当に落ち込んでるな。反応が無え。」
好きに言ってくれ。どうでも良い。
はぁ~、タイムマシンがあるならあの時に戻って、気が付かなかった俺自身を殴りたい。そして、"何で気付かなかった!"と言ってやりたい。
ゲイツ「へへっ、しかし笑えるよな。いろんな奴が報酬を貰って、俺達すら金一封貰ったってのに1番活躍した筈のお前がまさか一文無しとはな。」
ダン「団長、可哀想ですよ。財布を落としたシリウスには酷ですよ。」
そう俺はあの戦争の最中、財布を落とした。全財産が入った財布を。命に等しい生命線、ライフラインに直結した金を失ったのだ。
恐らくドワイト戦の時だ。何故なら戦争2日目の朝には財布があった。気が付いたのはアーサーと決着を付けて王都を出た後だ。
俺は朧げな記憶を必死に思い出しながら王都からドワイトと戦った戦場までの道のりを探した。それこそ目を皿の様にして探したが見つからない。
いっそ叔母さんの所まで行って財布を探して下さいと頭を下げるか?だけどあれだけ占いを馬鹿にして今更頼めない。そんな訳でもう2週間経っている。お陰でアイリスに連絡も出来ていない。怒ってるだろうな。
ただそれと同時に考える。多分怒られるだろうけど、その流れで事情を説明する事になる。そうなると彼女は許してくれるだけじゃなくて、その失くした分を親父さんに頼んで補填してくれるかもしれない。
しかし別の見方をすると男が女の子の父親に失くした金を補填して貰うのは良いのか?とか思う。いや、駄目だろう。でも背に腹はかえられ無い。しかしここで意地を張らずにいつ張るのか。
きっと今、俺の口から魂でも出ているんだろうな。やる気が出ない。地球にいた時はアニメのキャラクターが、ショックの余り口から魂を出している。そんな表現を見てよく笑っていたが、まさか自分がそんな状況になるとは思わなかった。
因みに今の"イージス"は冒険者も多数暮らしている。前の様に魔物退治で金を稼ぐとなると取り合いになる。今は簡単には稼げない。一応傭兵達はゲイツ団長の部下。つまりは辺境伯の私兵。だから都市の利益で給料が出てる。
俺は傭兵団に入ったり抜けたりしている。ここに戻った時点で登録しても所属している期間は今日までで2週間だ。要するに給料は出ない。
ジーク「仕方ない。少ないがこれをやる。」
ジークが俺の目の前に銀貨を置く。
ティム「そうだぞ。元気出せ。俺も貸してやるから。」
皆んな枚数は違うけどそれぞれ俺に銀貨を恵んでくれる。
ゲイツ「まぁ、利子は取るけどな。」
1番金がある筈の団長は銅貨を3枚渡してくる。貰う俺が言う事じゃないが
俺「なぁ、あんただけ少なくないか?」
ゲイツ「お前、急に元気になったな。少ないけどそれがどうした。こういうのは気持ちが大事なんだよ。」
俺「俺が言うのもなんだけど、それあんたが言うことかね?」
ダン「いや、どっちもどっちだろ?」
ランド「これは俺から・・・。」
俺「いや、お前はいいよ。最近ずっと奢って貰ってるし。」
ゲイツ「おい!何で俺達とランドで扱いが違うんだよ!」
俺「あんた等っていうか団長だけな。皆んなとあんたじゃ俺に対する態度が全然違うからな。」
ゲイツ「あんだよ!結局、金の話かよ!」
俺「あのな!態度が問題でもこういう場合は数字で示す事になる!そうなると結果的に額って話になるだろ!」
ティム「まぁ、要は似た者同士って事だな。」
今の感じだと俺とゲイツ団長が同じタイプの人間って事になる。心外だ。そこまで同じじゃない。
クロード「相変わらずくだらない事で一喜一憂していますね。」
あれ執事だ。何でここにいるんだ?俺に用事かな?それにしてもよくここが分かったな。まぁ、今の俺に行く宛はここしか無いけど。
悔やまれるのは育ての母であるアイリーンの姉、つまりは叔母さんに言われた占い。命に等しい大事な物を失うという占いについて、何も対策をしていなかった事だ。
基本占いなんて信じない俺は鵜呑みにはしない。それが今回の1番の失態かも知れない。まぁ、代わりに仲間の命は無事だった。そう考えると決して悪い結果では無い。ただそれでも後悔はする物だ。
ランド「大変だったな。だけど、いつまでも落ち込んでいられないだろ?元気を出してくれ。」
俺は数日前"イージス"に戻った。しかしショックで何も手に付かない。
バート「シリウスさんかなり落ち込んでるな。」
アン「そりゃ、あんな事があれば落ち込むわよ。私だって落ち込むわ。」
皆んながそれぞれの意見で俺を擁護してくれている。しかし俺はそれに応える気力すら無い。
ジーク「ふぅ、今の状況では俺の土産は無しか?」
ゲイツ「お前、いい加減にしろよ。こいつがそんな気を使う奴だと思ってるのか。」
ジーク「物事に希望を持つのは悪く無いだろう?」
ゲイツ「まぁ、確かにな。ってか本当に落ち込んでるな。反応が無え。」
好きに言ってくれ。どうでも良い。
はぁ~、タイムマシンがあるならあの時に戻って、気が付かなかった俺自身を殴りたい。そして、"何で気付かなかった!"と言ってやりたい。
ゲイツ「へへっ、しかし笑えるよな。いろんな奴が報酬を貰って、俺達すら金一封貰ったってのに1番活躍した筈のお前がまさか一文無しとはな。」
ダン「団長、可哀想ですよ。財布を落としたシリウスには酷ですよ。」
そう俺はあの戦争の最中、財布を落とした。全財産が入った財布を。命に等しい生命線、ライフラインに直結した金を失ったのだ。
恐らくドワイト戦の時だ。何故なら戦争2日目の朝には財布があった。気が付いたのはアーサーと決着を付けて王都を出た後だ。
俺は朧げな記憶を必死に思い出しながら王都からドワイトと戦った戦場までの道のりを探した。それこそ目を皿の様にして探したが見つからない。
いっそ叔母さんの所まで行って財布を探して下さいと頭を下げるか?だけどあれだけ占いを馬鹿にして今更頼めない。そんな訳でもう2週間経っている。お陰でアイリスに連絡も出来ていない。怒ってるだろうな。
ただそれと同時に考える。多分怒られるだろうけど、その流れで事情を説明する事になる。そうなると彼女は許してくれるだけじゃなくて、その失くした分を親父さんに頼んで補填してくれるかもしれない。
しかし別の見方をすると男が女の子の父親に失くした金を補填して貰うのは良いのか?とか思う。いや、駄目だろう。でも背に腹はかえられ無い。しかしここで意地を張らずにいつ張るのか。
きっと今、俺の口から魂でも出ているんだろうな。やる気が出ない。地球にいた時はアニメのキャラクターが、ショックの余り口から魂を出している。そんな表現を見てよく笑っていたが、まさか自分がそんな状況になるとは思わなかった。
因みに今の"イージス"は冒険者も多数暮らしている。前の様に魔物退治で金を稼ぐとなると取り合いになる。今は簡単には稼げない。一応傭兵達はゲイツ団長の部下。つまりは辺境伯の私兵。だから都市の利益で給料が出てる。
俺は傭兵団に入ったり抜けたりしている。ここに戻った時点で登録しても所属している期間は今日までで2週間だ。要するに給料は出ない。
ジーク「仕方ない。少ないがこれをやる。」
ジークが俺の目の前に銀貨を置く。
ティム「そうだぞ。元気出せ。俺も貸してやるから。」
皆んな枚数は違うけどそれぞれ俺に銀貨を恵んでくれる。
ゲイツ「まぁ、利子は取るけどな。」
1番金がある筈の団長は銅貨を3枚渡してくる。貰う俺が言う事じゃないが
俺「なぁ、あんただけ少なくないか?」
ゲイツ「お前、急に元気になったな。少ないけどそれがどうした。こういうのは気持ちが大事なんだよ。」
俺「俺が言うのもなんだけど、それあんたが言うことかね?」
ダン「いや、どっちもどっちだろ?」
ランド「これは俺から・・・。」
俺「いや、お前はいいよ。最近ずっと奢って貰ってるし。」
ゲイツ「おい!何で俺達とランドで扱いが違うんだよ!」
俺「あんた等っていうか団長だけな。皆んなとあんたじゃ俺に対する態度が全然違うからな。」
ゲイツ「あんだよ!結局、金の話かよ!」
俺「あのな!態度が問題でもこういう場合は数字で示す事になる!そうなると結果的に額って話になるだろ!」
ティム「まぁ、要は似た者同士って事だな。」
今の感じだと俺とゲイツ団長が同じタイプの人間って事になる。心外だ。そこまで同じじゃない。
クロード「相変わらずくだらない事で一喜一憂していますね。」
あれ執事だ。何でここにいるんだ?俺に用事かな?それにしてもよくここが分かったな。まぁ、今の俺に行く宛はここしか無いけど。
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