Worldtrace

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[Worldtrace]

ラストシーン

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アイリス「やった!シリウスが勝った!」

エレナ「ああ!これで私達の勝ちだ!」

ジン「やっぱりシリウスだな!」

3人は喜んでるけど俺としてはまだ早いと思う。アーサーはまだ立っている。

アーサー「ぐ、ぐふ!み、見事だ。流石は"使徒にして剣聖"だな。」

俺「もう、終わりだ。観念しろ。」

アーサー「ああ。だが、まだ終われん!」

ん?まだ何かする気か?アーサーが指をパチンと鳴らす。疲れて判断が鈍っていたみたいだ。もう少し警戒しておくべきだった。

俺「ぬぉ!何だ!」

俺の足下に魔法陣が現れ、そこから光の鎖が伸び俺の身体に巻き付く。拘束する類いの魔法だ。

俺「お前!今更何する気だよ!それに魔法、使えないんじゃなかったのか!」

アーサー「使えないとは言ってない。・・・この勝負。確かに俺の負けだ。だがせめて、お前だけはここで倒す。そうすれば・・・後はあいつ等が我等が一族の・・・魔族の悲願を達成してくれる筈だ。」

あいつ等?誰の事だ?
いや、今はそれ所じゃない。このままだと確実にやられる。もがいても外れない。
あ!これ本気でヤバい奴だ!どうしよう。今さっきのタイミングで完全に集中力が切れた。[気]使うにしても時間が無い。

アーサー「はぁ、はぁ、今度こそ覚悟!」

アイリス「シリウス!」

誰よりも早く割って入ったのはアイリスだった。

俺「いや!ちょ、ちょっと!」

アーサーは構わず振り下ろす。だがいきなり俺達の周りに結界が現れ、アーサーの剣を弾き返す。

アーサー「何!」

アイリス「お母様?」

見るとアイリスが以前から持っている剣の宝石が光っていた。それが結界の発生源みたいだ。アイリスはその隙に鎖が外れないかガチャガチャと引っ張る。

アイリス「く!外れない!」

俺「いや、それ所じゃないだろう!早く逃げろ!」

アーサーは結界に阻まれた程度で引き下がる様な男じゃない。腹の傷は一切気にせず剣を振り被る。

アーサー「2人まとめて逝け!」

アイリス「シリウス!」

アイリスは諦めた様に俺に抱き付く。

俺「おい!危ないから離れろ!」

アイリス「嫌!」

俺「言ってる場合か!」

口論している間も結界と一緒に断ち斬ろうとアーサーの剣が迫る。しかしその瞬間、アーサーの足下から光の紐というかテープの様な物が現れ拘束する。

エレナ「良し!抑えた!」

エレナの魔法の様だ。とにかく助かった。

アーサー「何!ぐぉ!」

そしてアーサーの右腕を捻る。バシャンと音を立て剣が地面に落ちる。

エレナ「ジン!」

ジン「任せろ!ちょっと卑怯な感じで嫌だけど俺達も退けないんだ。だからこれで終わりだ!魔王!」

エレナの掛け声と同時に、剣に魔力を込めてジンがアーサーに突っ込む。
しかしジンが振り下ろす瞬間、アーサーはエレナの拘束魔法を力で引き千切る。

アーサー「うおぉ!」

エレナ「く、そ!」

光の力に触れればただでは済まない。アーサーはそれでも構わずジンの攻撃を真剣白刃取りで剣を受け止める。

アーサー「ぐおぉ!負けてたまるか!」

ジン「うおぉ!」

この2人のぶつかり合いをこうして見ると、やっと『Worldtrace』のラストだと実感出来る。直ぐ目の前で起きてる状況だから感動してる場合じゃないが。その時ジンの剣が輝き、その光が刃に移動した様に見えた。

アーサー「な!貴様!」

アーサーが何かに驚いていた。輝きが刃に移動した途端にアーサーが押され始める。ただそれでもアーサーは耐える。

エレナ「皆んな済まない!もう少し踏ん張ってくれ!」

ん?何かするのか?俺はそれを聞こうと思った瞬間だった。

エレナ「"Pressfield"!」

エレナが技名を叫ぶと重力場が発生し、俺達全員に圧力が掛かる。

ジン「く!」

アーサー「ぐぉ!」

アイリス「きゃ!」

ジンは負荷が増えたがその圧力を利用して攻撃を続ける。アーサーはこの重力に負ければそのまま斬られてしまう。だから今まで以上に踏ん張っている様子だ。アイリスはそのまま俺に掴まって倒れない様にしている。
俺は足が拘束されている。その上アイリスが掴まっている為、少し仰け反った形で重力を受ける。だから当然の様に

俺「痛い痛い痛い痛い!背骨!背骨が折れる!」

ジン「うおぉ!」

アーサー「ぐあぁ!」

俺「痛いって!ぎゃあ~!」

3人の男の声が異空間の中で響く。俺の場合はただの悲鳴だが。

エレナ「やっぱりこれでもまだ耐えるか!」

いや、俺はもうギブアップだ!

エレナ「これで終わりだ!"Startears"!」

その言葉を聞いた一瞬だけ俺の痛覚が停止した。
は?今、何て言った?あの隕石落とすの?こんな狭い場所に?俺達とアーサーの距離は1mも離れていないけど?
いや、待て。この状況で流石にあのサイズの隕石は落とさないだろう。俺は上を見る。
ぱっと見は青空だ。ここは異空間だから見えてるのは空じゃない。天井だと思う。その天井か空か分からない所を見ると何か落ちて来た。
そんなに大きくは無いかな?次第に近付いて来るとなんとなくサイズが分かる様になる。中々デカいな・・・。確かにドラゴンの時よりは小さいサイズかな?いや、それでもかなりの質量に見える。なんかヤバくないか?

エレナ「お前の強さは肌で感じて分かってる。手加減はしない。ここで一気に仕留める!」

だけどこの質量だと俺達も大変な気がする。

俺「あの~、エレナさん?このままだと俺達も・・。」

エレナ「喰らえぇー!」

俺「いや!だから待てよ!」

隕石は俺の困惑を無視してアーサーの方へ向かう。

アーサー「何!」

ジン「ん?おわぁ~!」

隕石はジンの鼻先数十cmという所を通りながらアーサーに迫る。

アーサー「ぐわぁ!」

ドォンとデカい音と衝撃波が発生し、俺達は吹き飛ばされる。
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