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神界にて

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魔族の作り出した異空間は隔絶されていた。『世界』の外からの干渉自体を拒絶している程だ。例え神と言えど中を見る事さえ困難だった。しかしシリウスが中に入る事により多少の干渉が可能になった。ただ覗き見るくらいの事だが。

ウルド「何であんなに強いのよ!予測演算の時と全然違うじゃない!」

テレビ画面を見ながらウルドは怒る。今までの予定と遥かに違う状況だがそれ以上に強さがその比では無いというのが問題だった。

スクルド「前の時も十分強かったよ?」

ウルド「それでもまだ付け入る隙があったじゃない!今はカケラも無い!」

ヴェルダンディ「強いのは仕方ないですよ。彼はあの大陸中にいる魔族を剣一本で束ねた生物ですよ。」

ウルド「あんたどっちの味方よ!」

ヴェルダンディ「いえ、客観的に見て意見を述べただけですよ。」

スクルド「まぁまぁ、少しは落ち着いて2人共。それに私達の使徒もまだ負けてないから大丈夫だよ。」

ウルド「あんたはお菓子と飲み物まで用意して何くつろいでるのよ!」

ヴェルダンディ「全く!私は悪く無いんですから、怒らないで下さいよ!」

ヴェルダンディはスクルドの持っていた菓子を鷲掴みすると口に運びながら隣りの椅子に腰掛ける。

スクルド「ちょっと!お姉ちゃん!自分で用意してよ!これは私のだよ!」

ウルド「全くあんた達は!」

スクルド「だから!自分で用意してよ!」

ウルドは気にせずスクルドの菓子を箱毎奪い残った椅子に座る。

ヴェルダンディ「お姉様それは流石に盗賊と同じでは?」

ウルド「は?あんた達より私の方が偉いのよ?貰って何が悪いの?」

スクルド「はぁ~、もういいよ。新しいの用意するから。」

ウルド「飲み物宜しく。炭酸ね。」

ヴェルダンディ「私は100%ジュースで。」

スクルド「全くもう!」

こういう時に1番の被害を受けるのは末の子だ。

スクルド「ほら!」

ウルド「サンキュ~。」

ヴェルダンディ「ありがとうございま~す。」

3人はまるで映画鑑賞の様にシリウスとアーサーの戦いを見ている。

ウルド「ほれにしへも何ふりゃあんはに強ふなるのは。」

スクルド「お姉ちゃん食べながら喋るのは良くないよ。」

ヴェルダンディ「まぁ、今ここにいるのは私達だけですからね。」

ウルド「ちょっと!何でそこでコケるのよ!危ないでしょ!」

シリウスが転がりながら躱していた。

ヴェルダンディ「あれはほろばはれたんれふ。」

ウルド「あんた食うか、喋るかどっちかにしなさいよ。」

スクルド「お姉ちゃんがそれ言う?」

シリウスとアーサーの勝負は一進一退という感じで中々白熱している。精神力が肉体に影響を与え易いという特異体質だけで、シリウスがここまで渡り合える事に驚く。

スクルド「流石、お姉ちゃんの推しだね。気合いと根性だけで普通ここまで戦えないよ。」

ウルド「はぁ?誰があいつを推したのよ!たまたま選んだだけじゃない!」

スクルド「え?でも途中から何かするたびに喜んで見てたじゃない?」

ヴェルダンディ「さっきの師団長と使徒との戦闘も勝った瞬間、大喜びでしたしね。」

ウルド「何かする度に変な事してるから笑ってただけよ!それに勝ったんだから喜んで良いじゃない!」

2人「ふ~ん。」

ウルド「とにかく今は応援よ!」

スクルド「あ!シリウスが切り札を切ったよ!」

ヴェルダンディ「このタイミングで切って大丈夫ですかね?」

ウルド「何言ってんの!多分今のタイミング以外じゃ、あんなに集中出来る事は無いわ。それにここから相手もギアを上げる筈。だから使うなら今よ!さぁ!叩っ斬りなさい!」

シリウスには聞こえて無いがウルドは構わまず叫ぶ。

ヴェルダンディ「後はジン君が止めをさせれば勝てると思うんですけど。」

スクルド「でも先ずはシリウスが勝たないとね。」

戦いはここから佳境に入る。
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