82 / 187
[Worldtrace]
VSゴメス・ベルドー
しおりを挟む
最終局面が近いと感じる。
足元を掬われない為に集中しなきゃいけないんだけど気になる事がある。ゴメスの戦い方が以前の時と違う事だ。剣を次々と出して戦っていた前回と比べて大分違う。今回最初から本気だとすればスタイルが違うのは当然かも知れない。
俺「なんか前と戦い方が違うな?」
ゴメス「フッ、業物の剣を作るのに魔力のほとんどを使ったからな。」
俺「素直に教えてくれるんだな。」
ゴメス「フン。その程度の情報で私の勝利は揺るが無い。」
こいつは凄い自信だな。
俺「その業物って?」
ゴメス「さて、誰に渡したかな?」
渡した相手はアーサーか?
とにかく今の話を信じるならこいつが魔法を使わないのは魔力を使い切ったって事だな。
ゴメス「そろそろ決着を付けるぞ!」
俺「それに付いて異論は無いよ。」
ゴメスが上段に構えになる。
俺は脇構えにして意識を集中する。ドワイトの時と同様に[気]を刀に纏わせる。まだそこまで慣れて無いから初っ端にやると疲れる。残りもあると考えて控えてたけどそうも言っていられない。
ゴメスが刀を振り下ろす。俺は身体を左に動かし躱すがゴメスは続けて突きを放つ。俺は更に反対側に移動する。俺が突きを躱すとゴメスは更に突きを放つ。
奴は最初の振り下ろしから2連続で突きを繰り出して来た。流石にもう突きは来ないだろうとは思う。俺はもう一歩退がり、体勢を立て直そうと動く。
ここでゴメスが左脚で踏み込み、3回目の突きの体勢に入っていた。脚の位置は違うがいわゆる諸手突きだ。その瞬間、右手を離し左手だけで突きを放つ。こっちは体勢を立て直すつもりで退がってる。ここから回避は難しい。となると正面から受けるか、カウンターしかない。
その時、昔見た時代劇の主人公が使った技を思い出す。一の太刀、二の太刀という技があった。まぁ、ただ振り上げるのと振り下ろすだけなんだけど。物語のラスボスの必殺技対策なんだろうと今は思う。そのラスボスの必殺技が軌道の読み辛い"突き技"だった。
ゴメス「終わりだ!」
色々と余計な事を考えてるが、これでも意外と集中は出来ている。何しろスローモーションに見えてるくらいだ。
迫り来る刀がトップスピードになる前に一の太刀で斬り上げる。
ゴメス「ぬぉ!」
奴も全体重を掛けてる。下から跳ね上げられるとは思って無かったんだろう。隙が出来た。俺はすかさず二の太刀を振り下ろす。ドン!と音がした。
ゴメス「ぐあぁ!」
切断した左腕と一緒にゴメスの剣が宙を舞う。俺は更に踏み込み斬り掛かり、顔にバツの字を刻む。
ゴメス「ぐは!馬鹿な!馬鹿なぁ!」
ゴメスが逃げ出す。
キース「あ!追わなくて良いんですか?」
俺「放っとけ。今はあいつに構ってる場合じゃない。」
クロード「そうかも知れませんね。」
トリッシュ「シリウス!」
シャノン「私達の回復薬も入れておきました。」
俺「そっちは大丈夫なのか?」
トリッシュ「大丈夫よ。キース達のがあるから。」
キース「僕達のですか?」
ザック「聞いて無いぞ。まぁ、仕方ないか。」
クロード「私も行きたいがこの状態では足手纏いだろう。ここは任せます。」
俺「おう!皆んな、行って来る!」
王都近くの林の中。
スレイ「マットさん!ここ何処ですか?」
マット「うるさい!そんなの知らん!」
カイル「多分王都の近くの林だと思うけど。」
スレイ「昨日の昼からまる2日、歩きっ放しじゃないですか!」
マット「馬鹿!まだ夕方くらいだから良いとこ1日半だろ!」
カイル「今はそれ所じゃないですよ!敵前逃亡もしてるし、父さんや母さんもどうなるか分からないんですよ!」
その時目の前の草が揺れる。
マット「は!誰だ!」
ゴメス「うお!」
スレイ「ぎゃあ!魔族だ!」
マット「いや、だが手負いだぞ。こいつなら討ち取れるんじゃないか?それなら敵前逃亡は帳消しだろ?」
ゴメス「き、貴様等!何者だ!」
スレイ「フ、フフン!この方は聖剣に選ばれた炎の勇者、マットさんだ!」
マット「そ、そうだ!ここで討ち取らせてもらう!」
ゴメス「馬鹿な!まだ英雄がいたのか!しかもこんな所に!」
ゴメスは走り出す。今は一切戦えない。
カイル「悪いが逃しはしない。お前に逃げられると俺達と家族に何があるか分からないからな!」
ゴメス「ぐは!」
カイルはゴメスの左肩に剣を振り下ろす。そしてスレイは右脇から剣を刺す。
ゴメス「ぐぼぉ!まさか!こんな所で!」
マット「よ~し!トドメは任せろ!」
ゴメス「ルシ・・・。」
マットはゴメスの首を刎ねる。
マット「やった!これで何とかお咎め無しに。」
スレイ「やりましたねマットさん!」
カイル「こいつ・・・前に聞いた魔族の剣聖に特徴が似てる気がする。」
魔族の剣聖、ゴメス・ベルドーはこうして討ち取られた。本人もこんな結果になるとは思わなかっただろう。
そしてこれから『Worldtrace』運命の最終戦が幕を開ける。
足元を掬われない為に集中しなきゃいけないんだけど気になる事がある。ゴメスの戦い方が以前の時と違う事だ。剣を次々と出して戦っていた前回と比べて大分違う。今回最初から本気だとすればスタイルが違うのは当然かも知れない。
俺「なんか前と戦い方が違うな?」
ゴメス「フッ、業物の剣を作るのに魔力のほとんどを使ったからな。」
俺「素直に教えてくれるんだな。」
ゴメス「フン。その程度の情報で私の勝利は揺るが無い。」
こいつは凄い自信だな。
俺「その業物って?」
ゴメス「さて、誰に渡したかな?」
渡した相手はアーサーか?
とにかく今の話を信じるならこいつが魔法を使わないのは魔力を使い切ったって事だな。
ゴメス「そろそろ決着を付けるぞ!」
俺「それに付いて異論は無いよ。」
ゴメスが上段に構えになる。
俺は脇構えにして意識を集中する。ドワイトの時と同様に[気]を刀に纏わせる。まだそこまで慣れて無いから初っ端にやると疲れる。残りもあると考えて控えてたけどそうも言っていられない。
ゴメスが刀を振り下ろす。俺は身体を左に動かし躱すがゴメスは続けて突きを放つ。俺は更に反対側に移動する。俺が突きを躱すとゴメスは更に突きを放つ。
奴は最初の振り下ろしから2連続で突きを繰り出して来た。流石にもう突きは来ないだろうとは思う。俺はもう一歩退がり、体勢を立て直そうと動く。
ここでゴメスが左脚で踏み込み、3回目の突きの体勢に入っていた。脚の位置は違うがいわゆる諸手突きだ。その瞬間、右手を離し左手だけで突きを放つ。こっちは体勢を立て直すつもりで退がってる。ここから回避は難しい。となると正面から受けるか、カウンターしかない。
その時、昔見た時代劇の主人公が使った技を思い出す。一の太刀、二の太刀という技があった。まぁ、ただ振り上げるのと振り下ろすだけなんだけど。物語のラスボスの必殺技対策なんだろうと今は思う。そのラスボスの必殺技が軌道の読み辛い"突き技"だった。
ゴメス「終わりだ!」
色々と余計な事を考えてるが、これでも意外と集中は出来ている。何しろスローモーションに見えてるくらいだ。
迫り来る刀がトップスピードになる前に一の太刀で斬り上げる。
ゴメス「ぬぉ!」
奴も全体重を掛けてる。下から跳ね上げられるとは思って無かったんだろう。隙が出来た。俺はすかさず二の太刀を振り下ろす。ドン!と音がした。
ゴメス「ぐあぁ!」
切断した左腕と一緒にゴメスの剣が宙を舞う。俺は更に踏み込み斬り掛かり、顔にバツの字を刻む。
ゴメス「ぐは!馬鹿な!馬鹿なぁ!」
ゴメスが逃げ出す。
キース「あ!追わなくて良いんですか?」
俺「放っとけ。今はあいつに構ってる場合じゃない。」
クロード「そうかも知れませんね。」
トリッシュ「シリウス!」
シャノン「私達の回復薬も入れておきました。」
俺「そっちは大丈夫なのか?」
トリッシュ「大丈夫よ。キース達のがあるから。」
キース「僕達のですか?」
ザック「聞いて無いぞ。まぁ、仕方ないか。」
クロード「私も行きたいがこの状態では足手纏いだろう。ここは任せます。」
俺「おう!皆んな、行って来る!」
王都近くの林の中。
スレイ「マットさん!ここ何処ですか?」
マット「うるさい!そんなの知らん!」
カイル「多分王都の近くの林だと思うけど。」
スレイ「昨日の昼からまる2日、歩きっ放しじゃないですか!」
マット「馬鹿!まだ夕方くらいだから良いとこ1日半だろ!」
カイル「今はそれ所じゃないですよ!敵前逃亡もしてるし、父さんや母さんもどうなるか分からないんですよ!」
その時目の前の草が揺れる。
マット「は!誰だ!」
ゴメス「うお!」
スレイ「ぎゃあ!魔族だ!」
マット「いや、だが手負いだぞ。こいつなら討ち取れるんじゃないか?それなら敵前逃亡は帳消しだろ?」
ゴメス「き、貴様等!何者だ!」
スレイ「フ、フフン!この方は聖剣に選ばれた炎の勇者、マットさんだ!」
マット「そ、そうだ!ここで討ち取らせてもらう!」
ゴメス「馬鹿な!まだ英雄がいたのか!しかもこんな所に!」
ゴメスは走り出す。今は一切戦えない。
カイル「悪いが逃しはしない。お前に逃げられると俺達と家族に何があるか分からないからな!」
ゴメス「ぐは!」
カイルはゴメスの左肩に剣を振り下ろす。そしてスレイは右脇から剣を刺す。
ゴメス「ぐぼぉ!まさか!こんな所で!」
マット「よ~し!トドメは任せろ!」
ゴメス「ルシ・・・。」
マットはゴメスの首を刎ねる。
マット「やった!これで何とかお咎め無しに。」
スレイ「やりましたねマットさん!」
カイル「こいつ・・・前に聞いた魔族の剣聖に特徴が似てる気がする。」
魔族の剣聖、ゴメス・ベルドーはこうして討ち取られた。本人もこんな結果になるとは思わなかっただろう。
そしてこれから『Worldtrace』運命の最終戦が幕を開ける。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
スコップ1つで異世界征服
葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。
その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。
怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい......
※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。
※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。
※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。
※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

王女殿下の死神
三笠 陣
ファンタジー
アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。
産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。
エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。
そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。
リュシアン・エスタークス。
魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。
そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。
そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。
友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。
そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。
魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。
(本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)
無法の街-アストルムクロニカ-(挿し絵有り)
くまのこ
ファンタジー
かつて高度な魔法文明を誇り、その力で世界全てを手中に収めようとした「アルカナム魔導帝国」。
だが、ある時、一夜にして帝都は壊滅し、支配者を失った帝国の栄華は突然の終焉を迎えた。
瓦礫の山と化した帝都跡は長らく忌み地の如く放置されていた。
しかし、近年になって、帝都跡から発掘される、現代では再現不可能と言われる高度な魔法技術を用いた「魔導絡繰り」が、高値で取引されるようになっている。
物によっては黄金よりも価値があると言われる「魔導絡繰り」を求める者たちが、帝都跡周辺に集まり、やがて、そこには「街」が生まれた。
どの国の支配も受けない「街」は自由ではあったが、人々を守る「法」もまた存在しない「無法の街」でもあった。
そんな「無法の街」に降り立った一人の世間知らずな少年は、当然の如く有り金を毟られ空腹を抱えていた。
そこに現れた不思議な男女の助けを得て、彼は「無法の街」で生き抜く力を磨いていく。
※「アストルムクロニカ-箱庭幻想譚-」の数世代後の時代を舞台にしています※
※サブタイトルに「◆」が付いているものは、主人公以外のキャラクター視点のエピソードです※
※この物語の舞台になっている惑星は、重力や大気の組成、気候条件、太陽にあたる恒星の周囲を公転しているとか月にあたる衛星があるなど、諸々が地球とほぼ同じと考えていただいて問題ありません。また、人間以外に生息している動植物なども、特に記載がない限り、地球上にいるものと同じだと思ってください※
※固有名詞や人名などは、現代日本でも分かりやすいように翻訳したものもありますので御了承ください※
※詳細なバトル描写などが出てくる可能性がある為、保険としてR-15設定しました※
※あくまで御伽話です※
※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様でも掲載しています※
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる