Worldtrace

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[Worldtrace]

VSゴメス・ベルドー

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最終局面が近いと感じる。
足元を掬われない為に集中しなきゃいけないんだけど気になる事がある。ゴメスの戦い方が以前の時と違う事だ。剣を次々と出して戦っていた前回と比べて大分違う。今回最初から本気だとすればスタイルが違うのは当然かも知れない。

俺「なんか前と戦い方が違うな?」

ゴメス「フッ、業物の剣を作るのに魔力のほとんどを使ったからな。」

俺「素直に教えてくれるんだな。」

ゴメス「フン。その程度の情報で私の勝利は揺るが無い。」

こいつは凄い自信だな。

俺「その業物って?」

ゴメス「さて、誰に渡したかな?」

渡した相手はアーサーか?
とにかく今の話を信じるならこいつが魔法を使わないのは魔力を使い切ったって事だな。

ゴメス「そろそろ決着を付けるぞ!」

俺「それに付いて異論は無いよ。」

ゴメスが上段に構えになる。
俺は脇構えにして意識を集中する。ドワイトの時と同様に[気]を刀に纏わせる。まだそこまで慣れて無いから初っ端にやると疲れる。残りもあると考えて控えてたけどそうも言っていられない。
ゴメスが刀を振り下ろす。俺は身体を左に動かし躱すがゴメスは続けて突きを放つ。俺は更に反対側に移動する。俺が突きを躱すとゴメスは更に突きを放つ。
奴は最初の振り下ろしから2連続で突きを繰り出して来た。流石にもう突きは来ないだろうとは思う。俺はもう一歩退がり、体勢を立て直そうと動く。
ここでゴメスが左脚で踏み込み、3回目の突きの体勢に入っていた。脚の位置は違うがいわゆる諸手突きだ。その瞬間、右手を離し左手だけで突きを放つ。こっちは体勢を立て直すつもりで退がってる。ここから回避は難しい。となると正面から受けるか、カウンターしかない。
その時、昔見た時代劇の主人公が使った技を思い出す。一の太刀、二の太刀という技があった。まぁ、ただ振り上げるのと振り下ろすだけなんだけど。物語のラスボスの必殺技対策なんだろうと今は思う。そのラスボスの必殺技が軌道の読み辛い"突き技"だった。

ゴメス「終わりだ!」

色々と余計な事を考えてるが、これでも意外と集中は出来ている。何しろスローモーションに見えてるくらいだ。
迫り来る刀がトップスピードになる前に一の太刀で斬り上げる。

ゴメス「ぬぉ!」

奴も全体重を掛けてる。下から跳ね上げられるとは思って無かったんだろう。隙が出来た。俺はすかさず二の太刀を振り下ろす。ドン!と音がした。

ゴメス「ぐあぁ!」

切断した左腕と一緒にゴメスの剣が宙を舞う。俺は更に踏み込み斬り掛かり、顔にバツの字を刻む。

ゴメス「ぐは!馬鹿な!馬鹿なぁ!」

ゴメスが逃げ出す。

キース「あ!追わなくて良いんですか?」

俺「放っとけ。今はあいつに構ってる場合じゃない。」

クロード「そうかも知れませんね。」

トリッシュ「シリウス!」

シャノン「私達の回復薬も入れておきました。」

俺「そっちは大丈夫なのか?」

トリッシュ「大丈夫よ。キース達のがあるから。」

キース「僕達のですか?」

ザック「聞いて無いぞ。まぁ、仕方ないか。」

クロード「私も行きたいがこの状態では足手纏いだろう。ここは任せます。」

俺「おう!皆んな、行って来る!」

王都近くの林の中。

スレイ「マットさん!ここ何処ですか?」

マット「うるさい!そんなの知らん!」

カイル「多分王都の近くの林だと思うけど。」

スレイ「昨日の昼からまる2日、歩きっ放しじゃないですか!」

マット「馬鹿!まだ夕方くらいだから良いとこ1日半だろ!」

カイル「今はそれ所じゃないですよ!敵前逃亡もしてるし、父さんや母さんもどうなるか分からないんですよ!」

その時目の前の草が揺れる。

マット「は!誰だ!」

ゴメス「うお!」

スレイ「ぎゃあ!魔族だ!」

マット「いや、だが手負いだぞ。こいつなら討ち取れるんじゃないか?それなら敵前逃亡は帳消しだろ?」

ゴメス「き、貴様等!何者だ!」

スレイ「フ、フフン!この方は聖剣に選ばれた炎の勇者、マットさんだ!」

マット「そ、そうだ!ここで討ち取らせてもらう!」

ゴメス「馬鹿な!まだ英雄がいたのか!しかもこんな所に!」

ゴメスは走り出す。今は一切戦えない。

カイル「悪いが逃しはしない。お前に逃げられると俺達と家族に何があるか分からないからな!」

ゴメス「ぐは!」

カイルはゴメスの左肩に剣を振り下ろす。そしてスレイは右脇から剣を刺す。

ゴメス「ぐぼぉ!まさか!こんな所で!」

マット「よ~し!トドメは任せろ!」

ゴメス「ルシ・・・。」

マットはゴメスの首を刎ねる。

マット「やった!これで何とかお咎め無しに。」

スレイ「やりましたねマットさん!」

カイル「こいつ・・・前に聞いた魔族の剣聖に特徴が似てる気がする。」

魔族の剣聖、ゴメス・ベルドーはこうして討ち取られた。本人もこんな結果になるとは思わなかっただろう。
そしてこれから『Worldtrace』運命の最終戦が幕を開ける。
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