Worldtrace

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[Worldtrace]

終わり良ければ全て良し、まだ終わってないけど

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突然3人目の魔族が現れた。俺の事は知ってるらしい。自慢じゃないが俺は人を覚えるのが苦手だ。興味が無いからだと言われたらそれまでだけど。
会話の内容と戦い方から第一師団の奴だと思うけど・・・3魔将だっけ?残りは女と男。その男の方か。そういえば会った事あるぞ。何処だ?"イージス"しか無いか?名前・・名前・・。あ!思い出した!

俺「お前"イージス"で会った奴か!名前は思い出せないけど。」

アルバート「アルバートだ!覚えて無いのか!」

俺「色々あったから名前まで思い出せないよ。こっちも大変なんだ。」

アルバート「何だと!」

今は鍔迫り合いをしている状態だ。そこから弾かれた様にお互い離れるとアルバートが突進しながら突きを放つ。俺は峰に手を添え、刀の鎬で軌道を逸らす。俺は距離が近くなったタイミングで奴の刀に鍔をぶつけ弾く。

アルバート「くそ!」

俺は上段に構えて刀を真っ直ぐ振り下ろす。奴は後ろに素早く退がると俺の右側に移動する。アルバートは左眼が見えない。だから俺が右に行けば視界から消える。それを避ける為に常に俺を中心に置こうとしているみたいだ。俺がそういう手を使うと考えてるんだろう。使うけど。バレ無い様にさりげなく右に移動する。

アルバート「チッ!」

その場から動かず向きだけ変えて俺を追う。流石にこの状況で動けば俺の姿を見失うから奴が仕掛けて来る事は無いだろう。アルバートの視界から身体が半分消えたかな?ってタイミングで一気にマックススピードを出して後ろに回り込む。

アルバート「な!何処に消えた!」

俺は後ろから、首を狙いフルスイングする。

アルバート「!・・させるか!」

アルバートは俺の攻撃に気付き刀で防御する。

俺「へぇ、完全に死角だったのに良く分かったな。」

アルバート「フン!この眼になってから色々苦労した。だがアーサー様に教えて頂いたのだ。」

{ アーサー様は私の左眼の方に回り込み、当然の様に死角を取り木剣を首に当てた。

アーサー「アルバート、忘れるな。死角を取ろうとする者は大体背後を取る。そして狙うなら首に一撃だ。」

アルバート「首、ですか?」

アーサー「背中から心臓を狙う場合、背骨が邪魔だ。となると斜めから狙う事になるが、今度は肋骨が邪魔になる。となると骨と骨の間に刃を横にして正確に突く必要が出て来る。背骨を切断するという事も出来るが。」

私の肩に手を置く。

アーサー「こうして相手を抑える必要がある。その手間を考えればやはり首を一太刀で斬る方が良い。と私は思う。」 }

アルバート「アーサー様の読み通り、貴様は背後から私の首を狙った!だから防げたのだ!」

ふ~ん。あいつが俺の行動を読んでたのか。俺は直ぐにアルバートから離れる。奴も向き直り、お互いが構え直す。

アルバート「フッ、貴様の動きは見切ったぞ。」

俺「あいつの解説ありきで見切るも何も無いだろ?」

アルバート「黙れ!今日ここで貴様との因縁に決着をつける!」

先に因縁つけて来たのはそっちだろうに。
とりあえずさっきと同じく右に移動する。奴は動かず構えている。無駄な行動をせずカウンターを狙うつもりだろう。今回は後ろまで行かずに、側面から攻撃を仕掛ける。地面を蹴り距離を詰める。

アルバート「そこだ!フンッ、今回は後ろからの不意打ちではないんだな?」

俺「そんな毎回同じ動きはしないさ。それにしてもよく分かったな?」

アルバート「アーサー様は他にも人は生きている限り存在は消せないと仰っていた。目で確認出来ないならばその者の発する音で判断しろと教えてくれたのだ。」

なんとなく自分の出す音が気になっていたけど、俺の奇襲に反応出来たのはやっぱり音だったか。地球でも視覚から情報が得られ無い場合に他の器官、耳や鼻といった聴覚や嗅覚で情報を得る事が出来るらしい。まぁ、どの程度の練習で、どれくらい出来る様になるかは分からない。こいつの場合はそれこそ相当の努力をしたんだろうと思う。
とにかく小細工が通用しないなら少しは頑張るか。改めてアルバートの正面に立つ。

アルバート「らしく無いな。正々堂々と戦うのか?」

俺「俺を何だと思ってるんだ?」

アルバートがまたも突進して来る。今度は突きの体勢では無く上段からの振り下ろしだ。俺はギリギリのタイミングで左に躱す。躱した所で首を狙い刀を横薙ぎに振る。アルバートは屈んで躱し、その直後に下から俺の頭を狙い突きを繰り出す。俺は刀を引き戻し右に払い退けると今度は俺が刀を振り下ろす。アルバートは防御体勢に入り、お互いの刀がぶつかるとそのまま鍔迫り合いに移行する。

アルバート「相変わらず化け物の様な強さだな。」

俺「お前の腕が鈍ってるだけじゃないのか?」

アルバート「何だと!」

その時、不意にバキンと音がする。それとついでにジンの叫び声が聞こえた。嫌な予感がしたのでジンを見ると剣が折れていた。

俺「ジン!」

俺は走り出すが、後ろから攻撃が来る。

アルバート「行かせると思うか!」

俺「チッ!」

人は焦ると出来てた事が途端に出来なくなる。さっきまで余裕だったのに攻撃が急に捌けなくなった。そうなると調子に乗る奴がいる。

アルバート「はははは!ここに来てようやく貴様と互角・・・いや、超える事が出来そうだな!」

くそ!ムカつくな!ジンが気になって集中出来ないだけだっての!しかし状況は直ぐに動く。
背中の方から眩い光が放たれる。その中心にはジンがいる。ただ驚いたのはそれだけじゃなかった。その光を浴びたほとんどの魔物は消滅していく。まだ生きている魔物は衰弱している様子でかなり苦しんでいる。魔族達は消滅こそしてないが弱体化しているのか押され始めている。
光が収まって来るとなんとか周りが見えるくらいになった。ジンが新しい剣を持っている。
あ!あれは!聖剣・ヒーリングゴスペルだ!
いや、でもあの剣に"召喚されたらフィールドの敵を一掃する"みたいな能力無かった筈だけど。まぁ、良いや。ジンが聖剣を手に入れた。これで何の憂いも無く魔王と戦える。

俺「フッ、やっとかぁ。」

アルバート「貴様にそんな余裕があるのか!」

俺は振り下ろされたアルバートの刀を打ち上げ、開いた所にボディブローを打ち込む。

アルバート「がは!」

俺「悪いな。今やっと心配事が無くなったんだ。これで遠慮無く戦える。」

アルバート「今まで本気じゃなかったとでも言うのか!」

俺「やる気はあったぞ。ただちょっと上の空だっただけさ。」

アルバート「舐めるな!」

はぁ~。なんか、凄ぇ開放感。アレだな。テストが終わった後みたいな。
大人になったらそれ所じゃないからこんな気持ちになったのは久しぶりだ。さて、もう好きにやって良いよな?
安心からなのか落ち着いてアルバートの動きが見える。
首を狙った横薙ぎに対し上体を逸らして躱すが、奴は続けて刀を振り下ろす。俺はそれを左に打ち落とすが、今度は返す刀で左から横薙ぎに刀を振って来る。俺は刃の上を滑らせ受け流し、下を潜りながら躱す。

アルバート「まだまだ!」

奴が突きを繰り出し俺は下から弾き飛ばすが、奴も負けじと踏み止まる。間合いを取りながら奴は上段構えになり俺は脇構えで立つ。

アルバート「終わりだな。」

俺「まぁ、そうだな。」

そして数秒の差だがアルバートが動く。アルバートは速攻で俺の頭を割るべく振り下ろす。俺は腰を落とし横一閃に刀を振り抜く。キィーンという金属音がした。アルバートの刀が折れる。

アルバート「く、くそぉ!」

俺は直ぐに振り被り、アルバートの右肩から左脇腹まで一気に断ち斬る。

アルバート「がはぁ!・・・く、む、無念。」

アルバートはうつ伏せで倒れ、それを見た他の魔族が騒ぎ出す。

魔族1「アルバート様がやられた!」

魔族2「ジャガー様も負けたぞ!」

魔族3「おい!四天王のアンリ様がやられたぞ!」

なんか知らないが四天王ってのも1人倒されたらしい。皆んな大騒ぎだ。何処からか撤退命令が出たみたいで皆んな慌てて逃げて行く。味方は勝ち鬨を挙げている。俺はジンの方へ向かう。

俺「よう。勝ったな。」

ジン「おう!」

俺「全くようやくかよ。」

ジン「何が?」

俺「フッ、待ってたって話さ。」

ジン「ふ~ん。へへ、待たせたな。」

俺「ああ。」
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