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言葉尻を捕らえる

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俺達はとりあえず砦に戻り、例の城の話をする。

クロード「本当にいきなり現れたのですか?」

ザック「ああ!前触れもなくぱっと出現したんだ!」

アイリス「やってる事はもう秀吉ね。」

俺「俺もそう思う。凄いぜあいつ。」

アイリス「感心してる場合?まぁ、今は敵の本拠地が分かったっていう事で良いけど、しっかりしてよ。」

俺「分かってるよ。」

今は監視の為の斥候部隊が見張っているけど、準備してるのか城の前に続々と魔物が集まっていると報告があった。

取り巻き「貴様!前から言いたかったが、馴れ馴れしいぞ!そしてもう少し離れろ!」

"何?こいつ?"という意味を込め、取り巻きを指差しながらアイリスを見る。

アイリス「助けに来てくれたの。それにお父様のお陰で正規軍・・騎士団が全員来てくれたわ。」

俺「へぇ~。」

これでまともな指揮の下、戦場に行けそうだ。流石にこのまま学生とならず者の傭兵や冒険者だけで行くのは不安だった。

俺「で?何でお前等もいるの?」

マット「ふふふ、国の一大事だ。1国民として来るのは当たり前じゃないか。」

カイル「そうだ!そうだ!」

スレイ「そうだ!そうだ!」

相変わらずクライドはいない。というか子分達の息はピッタリだな。

ジン「平民出の学園生は皆んなこの戦争に強制参加させられてるぞ。」

俺「そうなの?何だよ、自発的に来たんじゃ無いのか。」

マット「う、五月蝿い!お前の様に暴れるのが好きな奴と一緒にするな!」

何と失敬な。好きで戦ってないぞ。

俺「とりあえず戦力の方は大分集まったかな?」

アイリス「うん!後は勝つだけね!」

残った辺境都市の北と南の"イージス"に俺達が今いる砦の3箇所で総力戦を仕掛ける。ある程度戦力を減らせば魔王が出て来る。そこにジンとエレナをぶつけて勝つ。邪魔な奴はとにかくこっちで片付ければ問題無いだろう。
そういえばと会議終了後、気になった事を確かめる。

俺「なぁ、クライドは?」

マット「は?最近は一緒じゃないから何してるか知らないぞ。」

スレイ「確かあいつだけ他の学生と一緒に北の辺境都市に配属になったぞ。」

あいつだけ別とはツイてないかもな。まぁ、俺達と一緒なら大丈夫って保証は無い。だから結果どっちが良いかはまだ分からない。あいつの無事を影ながら祈ろう。

エレナ「それで?剣は大丈夫か?」

ジン「おう。結構良い感じだ。手に馴染んでる気がする。」

ザック「久しぶりだったが相当気合い入れて打ったしな。自分で言うのもアレだが中々の傑作だぞ。」

結局、ジンに聖剣を持たせられなかった。普通の剣は手入れしないと直ぐに折れる。ゲームだと関係ないのに現実となるとやる事が増えるから面倒臭い。

俺「気を付けろよ。」

ジン「おう!」

キース「シリウスさんも気を付けて下さいよ。」

俺「ん?何で?」

シャノン「基本、シリウスさんが騒ぎを起こして事態を悪化させますからね。」

トリッシュ「あんたは見える所にいてもらわないと、私達は安心出来ないし。」

俺は子供か?

トリッシュ「仕方ないでしょ。あんたが悪いのよ。」

え?心を読まれた?

ザック「いや、お前さんの場合、顔に出てる事が多いぞ。ウチの次男と同じくらい分かる。」

いや、ザックの次男を知らんし、比べられてもな。顔かぁ、そんなに出てるか?

シャノン「はい。出てますよ。私達もそれなりの付き合いですから最近は特に分かり易いですよ。」

マジか!・・・まぁ、喋らずに会話が成立してる訳だからそういう事なんだろうけど。少し、怖!っとか思う。

ジン「そんな物だって。俺でも大体怒ってるかとか、冗談だなとか分かるくらいだし。」

エレナ「多分だけど、アイリスもお前の考えてる事の大体は顔を見ただけで理解してるんじゃないか?」

え?そうなの?ポーカーフェイス出来てないか?やっぱり自分じゃ分からない。
出陣前、戦場に出る全員が整列させられる。騎士団長の挨拶だ。朝礼もそうだけどそういう話を聞いていると眠くなる。なるべく早く終わって欲しい。

騎士団長「これから我々は・・・・。」

騎士団長の長い話が続く。

俺「眠い。挨拶って何度聞いても眠い。」

ジン「挨拶なんて何処で聞いたんだ?まぁ、俺も学園入った時に聞いた先生の長話はかなり眠かったから、気持ちは分かるけど。」

俺「どうせこれから頑張ろうって話だろ?改めて言う事かね?」

トリッシュ「長っていうのはこういう時には皆んなにしっかり激励するものよ。頼られると気合い入るでしょ?」

俺「あんな見知らぬオッサンに頼られても嬉しくはないな。」

ジン「でも冒険者や傭兵は特別報酬が出るってさ。」

俺「おお!少しやる気が出て来たぞ。あれ?ジンは?報酬とか。」

ジン「ん?俺は無いよ。義務だし。」

エレナがジンの肩に手を置く。

エレナ「終わったら打ち上げだな。奢ってやるよ。」

ジン「ん?おう。」

エレナは報酬の貰えないジンに気を遣い奢る様だ。しかしジンも大変だな。報酬も出ないのに義務という理由で戦場に出されるとは。これから魔族との決戦だし、主役がいないと俺も困るから強制参加を言った奴には少し感謝してるけど。
そんなくだらない事に気を取られていたから見て無かった。騎士団長は話が終わった様で壇場から下りる。入れ替わりに誰かが出て来る。アイリスだ。何で?学生だよ?確かに今この場にいる学生の中だと身分は1番上だろうけど。

アイリス「皆さん!王国の一大事に集まって頂きありがとうございます。皆さんの中には不安に思っている人もいらっしゃると思います。ですがこの局面を乗り切るには皆さんの協力が必要です。どうか一緒に乗り越えて下さい。」

アイリスが頭を下げると歓声が上がる。最後にアイリスと目が合う。するとアイリスがウインクした。

トリッシュ「ねぇ、今あんた見ながら何か合図しなかった?」

俺「そう?よく分からないよ?」

エレナ「お前、あいつと何かあったんじゃないだろうな?」

俺「無い無い。仲間で友達ってだけだよ。」

エレナ「むぅ~~。」

ジン「おい、どうした?そろそろ配置に着くぞ。急げよ。」

魔物と俺達は向かい合いながら横一線に並ぶ。
中央に騎士団、その左右にそれぞれ傭兵と冒険者が固まって並んでいるが、学生は1番後ろだ。俺は皆んなと一緒に冒険者側にいる。因みにジンも一緒だ。魔王と戦う以上、皆んなの近くにいた方が調整しやすい。魔王がいつ出て来るか分からないが、今日中に決着とはならないだろう。

騎士団長「全軍!前進!・・・掛かれ!」

騎士団長の号令で皆んな雄叫びと共に走る。両軍が衝突し、一瞬で乱戦状態になる。騎士団は真ん中を隊列を組みながら突っ切り左右に分断する。浮き足立つ魔物達を傭兵や冒険者で倒す。魔物だから今は第三師団だ。残りの第一と第二が何処から来るか警戒しながら戦う。仲間達は上手く対処してる。冷静に状況を見ながら連携していく。俺も久しぶりに短剣を引っ張り出し、小さい奴から成人サイズの魔物を片付けて行く。
ジンが今使っている剣はとりあえず大丈夫そうだ。劣化の具合は、人の使い方で変わって来るから何とも言えないだろうけど。

俺「大丈夫か?」

ジン「おう!剣も良い感じだし、俺の体調も万全だ。」

魔族「貴様が使徒か?」

いきなり話掛けてくるこいつは誰だ?

俺「あんたは誰だよ?」

魔族「否定しないな。我輩は新三魔将!ジャガー・ブリードである。栄えある第一師団、第一部隊の隊長である。」

俺「ん?第一部隊?」

ジャガー「フン!第一部隊はドワイト様同様、変身能力を有する者達だけで編成された部隊だ。以前貴様に全滅させられて以来、再編成に時間を費やしたが晴れてこの大舞台でお披露目となったのだ!」

俺「へぇ~、お疲れ。」

第一師団がそんな分け方だとは知らなかった。
俺は頭の中でドラマで見た暗殺者の動きを思い出す。そして隙だらけの新幹部の左脇腹に右のナイフを刺す。ナイフを引き抜くと同時に今度は右脇腹を左のナイフで刺す。右、左とリズミカルに上にずらしながら順番に刺していく。

ジャガー「ぐぁぁ!」

そして最後に右のナイフで首を斬る。

ジャガー「ぐはぁ!」

ジン「いや!酷ぇな!」

俺「え?いや、戦場で悠長に話してるから。」

ジン「鬼か!」

俺「人間だよ。」

ジン「そういう事じゃなくてさ。」

魔族「いやいや、お見事ですな。」

また新しいのが来た。

俺「今度は誰だ?」

魔族「失礼。私は第二師団にて四天王を務めるワーグ・ナットと申します。」

こいつは第二師団。なら魔法使いか。

ジン「シリウス!」

俺はジンの驚いている方を見る。そこには死んだ筈のジャガーが立っていた。さっき負わせた傷も全て治っている。

ジャガー「いや~、変身する前に死ぬかと思ったぞ。・・あ!実際死んだな。」

どういう事だ?今の言い方だと生き返った事になるけど?

ジャガー「さて改めて我輩の変身を見せてやろう!」

ジャガーの身体が輝き姿が変わりだす。体格が少しデカくなり、足は犬や猫の様に踵が持ち上がり爪先立ちになる。手の指は5本のままだが爪が伸び、全身は毛で覆われていく。口と鼻が前に出て来る。まるで虎かな?名前はジャガーだよな?するとジャガーの後ろで何かがゆらゆらと動く。尻尾だ。ただよく見ると1本じゃない。2本だ。尻尾が2本、それを見た俺は地球の記憶を思い出す。そういえば猫又って妖怪がいたな。もしかしてこいつ猫なのか?そしてワーグが不意にヒントをくれる。

ワーグ「あなたは"猫が複数の魂を持つ"、という逸話ご存知ですかな?」

俺「ん?って事は後8回倒せば良いのか?」

ジャガー「・・・。」

ワーグ「・・・。」

ジャガー「おい!我輩の弱点がもう知られたぞ!どうしてくれる!」

ワーグ「えぇ!普通、猫が死んでも生き返るなんて話は信じませんよ!・・・あなただってそんな話、普通信じないですよね?」

俺「まぁ、普通の猫ならな。というか普通の猫は死んだら生き返らないし、そんな迷信は信じないぞ。」

ジャガー「それはそうだな。それにこいつは虚言癖がある。さっき言った事は忘れるのだ。」

俺「いやさっき"我輩の弱点"って思いっ切り言ってたじゃないか。自分で肯定しておいて何言ってるんだ?」

ジャガー「く、ぐぬぅ!」

ワーグ「う、うぬぅ!」

色々指摘していたらいつの間にか2人共静かになった。

ジン「なぁ、それくらいにしてやれよ。」

俺「え?俺が悪いの?」
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