Worldtrace

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[Worldtrace]

厄介事

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なんとか無事だった。

ゲイツ「おい!ちゃんと気を付けろよ!」

俺「いや、ランドの方が間に合うと思って。」

ランド「多分あの流れだと間に合わなかったと思うぞ!」

俺「え!そう?・・・ありがとうございます。助かりました。」

仕方ないから団長に礼を言う。

ゲイツ「今、礼を言うのかよ?」

俺「言わない人よりはマシだろ?」

ゲイツ「たくっ、言い訳ばかりしやがって。」

俺「そういえばあの魔族は?」

ゲイツ「野郎ならお前が魔物の腕斬り落とした時には逃げてたぞ。」

マジか。逃げ足だけは一流だな。

俺「あれ?他は?」

ゲイツ「もう終わったよ。」

あっさり退いたな。

ランド「多分、あの魔物が切り札だったんじゃないか?」

俺「そうか。まぁ、良いや。」

それより気になっている事がある。

俺「なぁ、その剣どうした?」

中々に見た目が禍々しいけど。

ランド「ああ、以前"イージス"に行商人が来て俺にくれたんだ。」

俺「金も取らずに?それ大丈夫なのか?」

そもそもゲームでは見た事が無い剣だ。気になる。とは言ってもランド自体がゲームの方には登場しなかった人間だ。シナリオに登場しない人が知らない剣を持っててもおかしくはない。だけど気になる。

ランド「鑑定はしたけど別に呪われたりはしてないから大丈夫だ。」

俺「そうなのか?」

ランド「ああ、名前は"忘れられぬ愛"だそうだ。」

重!何そのタイトル。絵画とかなら良いけど、剣に付けるかね?

ランド「この剣を作った鍛治士はドワーフらしい。」

俺「へぇ~。」

ランド「因みにそのドワーフは好きな女性がいたらしいんだ。」

ん?何の話?

ランド「だけどその女性は別の人と結ばれたんだ。それでもその鍛治士はその女性が忘れられなくてな。」

俺「そ、そう。」

ランド「だけどいつまでも気にしていられないだろ?だからその気持ちを断ち切る為に鍛治に打ち込む事にしたらしい。ただ人間は不思議な事に意識すればする程に上手く行かない。本人は相当苦しんでいたそうだ。」

この話いつまで続くんだ?

ランド「思い余ってその鍛治士は、とうとうその複雑な思いを剣に打ち込む事にしたらしい。」

俺「それで出来たのがその剣?」

ランド「ああ。」

俺「鑑定でそこまで分かるのか?」

ランド「今はこれくらい平気で分かるぞ。」

マジか!というか今の話の流れで作ったのに呪われてないなんてあるのか?

ランド「回復薬の様な飲んで作用する物は別だけど、俺に向かって来る魔法は全て消去されるっていう特殊効果は付いてる。」

俺「そうなの?」

ランド「要するに鍛治士が自分に対する善意や悪意の全てを拒絶するという思いが込められているんだろう。」

それ本当に大丈夫なんだろうな?なんか話だけ聞くと怨讐みたいの感じるけど。
はぁ~、とりあえずそれは置いておいて皆んなの所に戻るか。

エレナ「シリウス無事か?中々戻ってこないから心配したぞ。」

ゲイツ「エレナ!俺は?父さんの心配は?」

エレナ「え?いや、正直父親なのは事実なんだろうけど、別に心配する程の関係じゃないと思うから・・・しない。」

ゲイツ「ぐは!」

団長がダメージを喰らった。

エレナ「だ、大丈夫かな?」

俺「平気だろう。あいつは心臓に毛が生えてる部類の人間だから。」

ジン「心臓って毛が生えるのか?」

俺「いや、例え話だよ。」

戦闘が終わった後皆んなで集まる。

トリッシュ「それで?ジンに聖剣を持たせるのよね?」

俺「まぁ、ざっくり言うとそう。」

ジン「俺が選ばれるとは限らないだろ?」

キース「確かにそうですね。"聖騎士"の職業の人はこの王国には案外多くいるんですよ。その人達のほとんどは聖剣なんて持ってないですよ。」

俺「へぇ~、でも今回の聖剣はジンが持つ奴だから。皆んな気を付けてくれよ。」

ザック「何をどう気を付けるんだ?」

ティム「で?聖剣って何処にあるんだ?」

俺「ここから東の方に向かった先にある。筈。確か。」

ザック「何でそこだけ曖昧なんだよ。」

だってうろ覚えなんだから仕方ないだろ。かなり昔の情報だぞ?

ゲイツ「そういえば近くに遺跡っぽいのがあったな。剣があったかは知らないがな。」

ティム「それに魔王軍の本拠地も近い。無事に行ける保証も無ければ帰れる保証も無い。大丈夫なのか?」

俺「フッ、特に考えて無い!」

ジン「え!策なしで行くの?」

エレナ「はぁ~、まぁ、シリウスだしな。」

シャノン「思考が麻痺してますよ。そういう問題では無いと思いますよ。」

トリッシュ「あんたが考え無しで動くのは普通だけど、それで敵陣近くまでとなると嫌よ。」

俺としてはそもそもジンと俺の2人で行くつもりだったから構わないけど。

エレナ「いや、それだとシリウスが何かしでかすかも知れない。誰かが見てないと。」

俺「保護者が必要な歳に見えるか?」

キース「シリウスさんの場合、見た目は関係ありません。」

ザック「ああ、どっちかつうと存在の問題だな?」

は?どういう意味?何が言いたい?

俺「とにかく明日遺跡に行くから、ジン以外で付いて来る奴は準備しとけ。」

ジン「え!俺は強制?」

俺「当たり前だろ!」

最終的には皆んな一緒に来てくれた。有難い事だ。因みにこの遺跡は地下5階の造りでその5階の部屋に聖剣がある。正直ウンザリする所はあるけど、聖剣を手に入れないと今後の事で色々と支障が出る。という訳で5階に到着したのだが。

俺「う~む。」

ジン「なぁ、ここが聖剣の間って部屋だよな?」

俺「ん?・・・うん。」

エレナ「その聖剣は何処だ?」

結論から言うと聖剣が無い。それも台座諸共だ。

トリッシュ「思いっ切り床が抉れてるわね。」

シャノン「床も一緒に持って行ったのですか?」

キース「そうでしょうね。ただそうすると。盗賊の様な人達では無いでしょうね。」

ザック「規模で言えば騎士団くらいの数がいるだろうな。」

魔王軍だな多分。しかし剣が抜けないからって台座も丸々持ってくか?馬鹿じゃないのか?めちゃくちゃ脳筋な行動。

俺「はぁ~、参ったな。」

エレナ「ああ。そうだな。」

俺「アイリスに怒られる。」

エレナ「そっちか!」

ジン「でも今回はシリウスの所為じゃないだろ?」

俺「そうなんだけど・・・。参った。」

近い内にメインのラストイベントなのに勇者の筈のジンが聖剣を持ってない。どうしよう。倒せない訳じゃないと思うけどあるのと無いのとじゃ全然違う。これが敵の使徒がした事か、魔王の考えかは分からないけど。やられた。・・・とりあえず戻ろう。
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