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第三師団長

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ジン「今の凄いな!」

俺「どわ!」

誰もいないと思っていた。だからいきなり声をかけられ口から心臓が飛び出すかと思った。

俺「な、何が?」

ジン「いや、凄い吹っ飛んでたからさ。」

俺「ああ、そっちか。」

良かった。さっきの台詞は聞かれてなかったみたいだ。

ジン「さっきの変な台詞は聞かなかった事にするよ。」

実際には刺さってないけど今ザクッと何かが心に刺さった気がする。

ジン「ん?あ!いや、その~、そうだ中々格好良い台詞だったぞ。」

俺は更に刺された気がした。

俺「頼む。もう言わないでくれ。」

俺は自分の顔を手で隠し頼んだ。

ジン「お、おう。」

ジンも察したのかそれ以上は言わなかった。はぁ~、パンチの話だったな。

俺「さっきの技の事だけど。」

ジン「お!それそれ!」

俺「剣と一緒だよ。右脚を出して重心を前に動かして、体重を拳に乗せたのさ。後はタイミングとカウンターで。」

ジン「たいみんぐ?かうんたー?」

俺「えっと相手に合わせて拳を打ち込むんだ。俺の場合は身体を[気]で強化もしたけど。」

ジン「へぇ~。」

ジンが分からない言葉は通じない。そこだけは相変わらず面倒だ。

ジン「名前は?」

俺「即興だったからな。・・・熊殺し、かな?」

ジン「おお!でも熊生きてるぞ。」

あれでまだ息をしている。大した者だ。

俺「良いよ。そういうのは感覚だから。」

ジン「ふ~ん。そろそろ戻ろうぜ。」

村の中にある森の入り口まで戻る。

キース「今度は何したんですか?」

ザック「あまり派手に暴れるなよ。」

俺「いや、別に何もしてないよ。」

ジン「熊に襲われたから返り討ちにしてただけだよな?」

俺「そこは言わなくて良い。」

キース「成程。でも本当にやり過ぎには注意して下さいよ。」

俺「え!熊倒したって信じるの!」

ザック「何だ、嘘なのか?」

俺「いや、事実です。」

キース「なら僕達から言えるのは暴れないで下さいって事くらいですね。」

ザック「そもそもお前さんなら普通にそれくらいするだろ?」

キース「ええ、騒ぎを起こさない方が奇跡です。」

く、好き勝手言いやがる。しかし言い訳出来ない。気を取り直し、周りを見ると女性陣がいない。まだ戻って来てないのか?

俺「なぁ、あいつ等は?」

ザック「まだ戻って来ないぞ。」

僧兵「おい!大変だ!魔王軍が攻めて来た!」

ジン「な!・・くそ!」

ジンが走り出す。

俺「あ!おい!皆んなは・・。」

クロード「私と騎士達はここでお嬢様を待ちます。」

こいつブレないな。

俺「キースとザックもここにいてくれ。村の方はジンと俺でなんとかする。」

キース「分かりました。気を付けて。」

ザック「あまり無茶するなよ。」

俺はこの場を2人に任せ村に戻る。確かゲームだと攻めて来たのは第三師団だ。ざっくり言って魔物使いの部隊で、ゲームの時は結構な数の魔物とやり合った筈だ。疲れるだろうなと思いながら村に着くと少し違和感を覚える。魔物がゴブリン数匹しかいない。敵の真ん中にいるのは第三師団長だ。

師団長「私はフラット・スタイン。第三師団長にして魔物の生態研究の第一人者だ。」

自分で第一人者とか言うかね?まぁ、図鑑みたいなのは見た事がないから研究してるのは多分こいつだけなんだろう。だから第一人者と豪語してもおかしくないけど、前はそんな肩書き名乗って無かった気がする。

ジン「魔物の生態を研究してるのか?」

フラット「お?興味あるのか?フンッ、聞きたいなら聞かせてやる。一口にゴブリンと言っても生活環境で育ち方が全然違うんだ。」

ジン「へぇ~。」

何で普通に会話してるんだ?ゴブリンの生態なんてどうでも良いだろう。

俺「んな事どうでも良いだろ。今、俺達がしなきゃいけない事は何だよ。」

ジン「うん?あ、そうだ。お前達ここに何しに来たんだ!」

フラット「フン。貴様が光の英雄だな?お前を倒しに来た。」

ここである事に気付く。あ!これゲームで言ってた台詞だ!この『世界』に来て初めてゲームと同じ台詞聞いた!ちょっと感動。だけどそれにしても魔物の数が少ない。何故だ?

俺「戦いに来た割に数少なくないか?」

フラット「それについてはある男が魔王様に進言したのだ。"英雄はオレ1人で倒す。だから一族は連れて行かない"ってな。」

ある男?また訳の分からない奴が出るのか?

フラット「来い!ジョー!」

呼ばれて出て来たのが背は170センチ程あり筋肉質で体格が良い緑色の身体をした奴。

俺「いや、ゴブリンじゃねぇか!」

ジン「本当だ!普通のゴブリンとは若干見た目が違うけどゴブリンだ。」

フラット「フン!ただのゴブリンじゃないぞ。ある山の麓で生活しているゴブリンで山頂に巣を作っているワイバーンに対抗する為独自の進化と戦闘技術を生み出し生き延びて来た種族だ。強いんだぞ!」

ジョー「ゴブ、ゴフゴフッゴブ!」

何か言いながらジンを指差す。

ジン「何だって?」

俺「俺に聞かれても流石にゴブリンの言葉は分からん。まぁ、動きから考えるならお前と一騎討ちがしたいんじゃないか?」

フラット「何だ。分かってるじゃないか。」

合ってたのか。

ジン「う~ん。そういう事なら仕方ないな。」

そういうとジンは剣を鞘にしまい俺に渡して来る。

俺「おい、どうするんだ?」

ジン「あいつ、俺と一騎討ちしたいんだろ?素手の奴相手に剣は使いたくないし。」

俺「言いたい事は分かるけど。って、何で胸当てや靴まだ脱いでる?」

ジン「は?や、だってあいつ腰蓑しか着てないじゃないか。他に着けてるのは頭と肩の辺りにある輪っかだけだぞ?」

確かに格好だけ見るとそれだけだ。というか何かムエタイの格好してないか?この『世界』にムエタイ何てあるのか?

ジンが服以外の装備を外す。もちろん裸足でジョーに近付く。

ジョー「ゴゴフ、ゴブゴブ。」

何かニュアンス的には面白い奴だ。みたいな事言ってるぽい。

ジン「一騎討ちするならちゃんと対等じゃないと駄目だろ?」

何か会話が成立してないか?そんな時ジョーが他のゴブリン達に合図する。ゴブリン達は笛と小さい太鼓を出す。楽器だ!あるんだ!驚いていると音楽が始まりジョーが踊り出す。

ジン「な、何だ?」

俺「俺の知ってる格闘技と同じなら礼儀的な儀式だよ。神様とか家族に感謝の踊りを捧げるらしいぞ。」

フラット「ほ~。貴様ムンタイの事を知っているのか?」

いや、知らね。俺が知ってるのはムエタイの軽い知識だけだ。そんな事を考えていると予期せぬ事態が起きる。

ジン「えっと、こうか?」

ジンが真似して踊り出す。

俺「いや、お前はやらんで良い。」

ジン「え?でもあいつ等の礼儀なんだろ?礼儀は大事だ。ってお前いつも言ってるじゃないか。」

俺「まぁ、言ったけど。」

踊りが終わりジョーがお辞儀をするのを見てジンも慌てて頭を下げる。やっと試合開始か。

ジン「シリウス。何か気を付ける事は?」

俺「俺の知ってる格闘技と同じなら殴ったり蹴ったりはあるけど、1番注意すべきは肘と膝だ。」

ジン「肘と膝か!分かった!」

フラット「く!あいつ、ムンタイの事を知り尽くしているぞ!気を付けろよ!」

ジョー「ゴブ!」

力強く頷く。何か操ってるみたいな感じじゃないんだよな。どちらかと言えば友達みたいだ。どういう事だ?
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