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ジン2

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アイリスや他の者達を手伝う様に言われ、ジンは急いで学生達の方へと向かう。

アイリス「何処から攻撃が来るのか分からないわ!気を付けて!なるべく2人以上で対処して!1人では戦わない様に!」

アイリスは慌てずに行動する様、他の学生達に呼び掛けていた。

オード「お前達!引くな!ここで下がれば村に被害が出るぞ!冷静に動けば負けはしない!」

アイリスと同じくオードも取り巻きの子息達と連携し踏ん張る。
ジンが状況確認していると不意に剣が振り下ろされる。ジンは攻撃を受け流し、咄嗟に距離を取り体勢を立て直す。
ジンの目の前には3体の魔族が立っていた。見た目は人に近い姿で肌の色は主に褐色、系統が違うのかそれ以外にも色々な特徴があった。角のある者や鋭い牙が見える者、魔族と言っても様々な種類がいる様だ。ジンもその違いから興味が出て来る。しかし今は観察している場合では無い。
3体共、片手剣を装備している。
1体が距離を詰め、剣を大振りで振り下ろす。大振り故、軌道が分かり易い。ジンは左に動き回避する。だが、その直後に別の魔族の追撃が迫る。誘導されたのだ。
ジンが剣を振り上げ弾くと、襲撃して来た2体目は弾かれた勢いを利用し後ろに退がる。今度は3体目が現れ突きを繰り出す。突きを受け流し、直ぐに反撃の蹴りを放つ。しかし、見事な身のこなしで魔族は蹴りを躱す。
ジンが目の前に集中している間に距離を詰めた別の魔族がまたも剣を振り下ろして来る。ジンが攻撃を躱し互いに距離を取る。

魔族1「中々やるな。貴様が[光の聖騎士]を得た男だな?」

魔族2「貴様を倒して手柄を上げる。それが我等の使命だ。」

魔族3「覚悟しろ!」

3体の連撃を凌ぎ、呼吸を整える。ただ状況は変わっていない。油断をすれば負ける可能性もある。今、首が繋がっているのはシリウスとの修行があったからだろう。この騒動が起きた事で改めて実感する。シリウスが自分を鍛えてくれたのはこの時の為だと。

ジン「覚悟は出来ない。お前達に勝ってあいつを助けに行かないといけないからな。」

魔族1「ふん!舐めるなよ!」

魔族2「我等3人、魔族軍に於いて連携させれば右に出る者無しと言われている。」

魔族3「その我等3銃士!簡単に勝てると思うな!」

ジン「どうでも良いけど早くかかってこいよ。」

いつの間か2刀流に変わった魔族3がジンへと向かって来る。
魔族3が右の剣を振り下ろす。それを受けると続けて左の剣の突きが迫る。そのタイミングを狙ったのか、魔族2がジンの左側から斬り掛かる。ジンは鍔迫り合いからの剣を弾きそのまま2撃目も払い除ける。

魔族3「うぉ!・・ぐぁ!」

魔族2「な!うわ!」

右脚で回し蹴りで魔族3を蹴り飛ばし、魔族2にぶつける。気が付くと魔族1がいつの間にか後ろに回り込む。
魔族1の剣を振り向きざまに打ち落とし距離を詰める。その左肩を掴みながら左脚を払い地面に叩きつける。

魔族1「ぐは!」

魔族2「くそ!まだだ!」

魔族3「我等を殺せぬならこの戦い終わらぬぞ!」

確かにこれくらいじゃ退かないだろう。魔族は魔物の延長と言われているがジンは命を断つべきか未だに迷っていた。

エリス「[光の聖騎士]というからどんな奴かと思っていたが、大した事は無さそうだな。」

ジン「あんたは?」

エリス「3魔将が1人、エリス・ブライトだ。覚えておく必要は無いぞ。今日死ぬ者には意味が無いからな。」

会話の終了と共に仕掛けて来る。魔将と名乗った魔族は細身の剣で刺突を繰り出す。力で押し切れば倒せる。ジンはそう思った時、以前シリウスとした会話を思い出す。

{シリウス「剣は基本、斬るか突くかだ。その点、素手は殴る蹴ると他には肘打ちに膝蹴り、踵とかの骨を当てるとか。後は頭突きに投げるって選択肢もある。技の数としてはかなり多彩だ。」

ジン「じゃあ素手の方が有利か?」

シリウス「いや、ある人が言ってたけど。武器を使えば人は最強になれる。でも武器を失えば最期に頼るのは己の肉体だって。だから素手で戦えるのは大事さ。でもこんな世界だ。素手はあくまで護身にしかならないよ。だから素手が有利とは言えないと思う。要するに武器は無いよりあった方が良いって話さ。」

ジン「武器があっても無くても俺なら力で押し切るな。」

シリウス「それで出来る奴は良いと思う。でもそうとは限らない場合だってある。だから剣でも、斬撃や刺突とか動きを組み合わせて色んな技巧で攻めるんだ。お前が使わないとしても誰かは使うって事を念頭に置いて備えておけよ。」}

ジンは動きを合わせ踏み込む。全体重は乗せず軽く剣を振り下ろした。エリスはそれを受け流すと同時に、手首を回転させジンの攻撃を流すとそのまま首を狙う。ジンは咄嗟に身体を伏せて躱す。今度は腕を引き軌道を変えるとジンの腹部に刺突を放つ。刃を下に向けその刺突を受け止める。流石に驚いたのかエリスは目を見開き後ろに退がる。

エリス「思っていたよりやるじゃないか。」

ジン「師匠に油断するなって言われてるからな。」

ドカンと凄い音が鳴り振り返る。シリウスが敵の攻撃を受け地面を転がる。

ジン「シリウス!」

ジンが走り出そうとした瞬間に腕を掴まれた。振り向くとアイリスが腕を掴んで止める。

アイリス「行っちゃ駄目!まだ戦闘中よ!後ろから攻撃されたらどうするの!」

それは理解はしていた。しかしそこまで冷静ではいられなかった。このままでは友が死ぬ。心臓を何かに掴まれた様に苦しくなる。だが、その時どう見ても重傷と思えたシリウスが何事も無く起き上がる。
ジンと目が合い、シリウスはしっかりと頷く。ハッキリと理解は出来無いがシリウスは自力で回復したのだ。ジンは敵に向き直る。

エリス「馬鹿な!あの男は化け物か!」

ジン「俺の友達で師匠さ。俺もどうやったかは分からないけど、どうやら大丈夫そうだ。」

すると今度はシリウスが第一師団長に傷を負わせる。

エリス「ドワイト様!」

魔族1「ここは我等にお任せ下さい!」

エリス「すまん!」

最初の3体が割って入る。ただ援軍が来たのは敵側だけでは無かった。

オード「無事か!ジン!」

ジン「おお!何とかな。」

オード「ここは任せろ!お前はあっちを!あの隊長格を倒せばこの戦いは終わる。」

ジン「おう!分かった!」

オードにこの場を任せ向かう。シリウスはあの第一師団長から引き離されている。ジンはそれならば自分が仕掛けると、意識を集中して剣に魔力を込めた。込め終わると同時にジンが走り出す。師団長が驚きつつも直ぐにハンマーを構え防御体勢に移る。
ジンは接近しながら師団長を観察する。するとハンマーの柄に斬り傷があったのを見つけた。シリウスが付けた傷だった。ジンはその傷に向かって全力で剣を振り下ろす。ハンマーの柄を破壊し、袈裟懸けに斬り付ける。

ドワイト「ぐぁ!」

呻き声を上げ後ろに倒れる。師団長に集中していた為、ある事を失念をしていた。例の敵将の事を忘れていた。すかさず攻撃を仕掛けて来る。しかしその攻撃はジンに届く事は無かった。

アイリス「は!」

エリス「く!」

アイリスが素早く反応し防御する。

アイリス「大丈夫?」

ジン「悪い、助かった。」

アイリスが合流し、ジンとシリウスの3人に対し相手は魔将1人だけになった。俄然、自分達が有利になる。

シリウス「もう終わりだな。」

シリウスが笑みを作りながら言う。

アイリス「ねぇ、その顔、何か悪党みたいよ。」

シリウス「え!」

ジン「俺も少し不気味に見える。」

シリウス「は?」

3人で会話した後、シリウスが"顔?そりゃ、今まで気にした事は無いけど。"とブツブツ呟いている。今はそれ所では無いのでシリウス事は気にしない事にする。

ジン「これで3対1だ引くなら今のうちだぞ。」

アイリス「見逃すの?」

ジン「こいつら魔物と同じ扱い受けてるけど。俺にはそんな風に見えないんだ。」

アイリス「ジン。」

エリス「甘いな。後悔するぞ。」

ドワイト「退くぞ!・・・次は無いぞ!光の英雄。」

笛の音が聞こえ、魔族達は撤退して行った。
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