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[Worldtrace]
メインイベント
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俺の不幸体質は変わらない様で、面倒事は続く。見覚えのある男が現れた。ジンと決闘した伯爵家の嫡男だ。
喧嘩を売ってきた理由は気に入らないからみたいな動機だった筈だ。流石にうろ覚えではっきりしないけど、とにかく嫌な奴という印象だけは覚えている。名前は確か"オード・リーヴァス"だ。取り巻き達がジンに絡んでいるのに気が付くと呆れた感じで話し出す。
オード「はぁ、お前達何をしている?」
坊ちゃん中「オード様!こいつ、傭兵のクセに私を殴ったのです!」
坊ちゃん左「我等貴族に対してこの無礼!この平民共々処罰しましょう!」
厄介な事になった。こいつも乗っかって騒ぎ出すと疲れるだろうな。相手はしたく無いけど仕方ない。そう思った次の瞬間、思っていたのと違う展開になる。
オード「お前達が先に失礼な事を言ったのでは無いのか?」
坊ちゃん右「な!違います!平民は平民らしく我等を敬えと教えただけです!」
オード「それが失礼と言うのだ!敬う様に求めるならそれなりの誠意と行動で示さなければならない!そうだろう?」
あれ?何かキャラが変わっている?何かあった?俺の疑問に応える様にオードは話を続ける。
オード「私はジンに負けてから考えたのだ。私は彼の様に努力と研鑽を積んだのか?と。私が負けたのは単に私が驕っていたからだ。誰の所為でも無い。」
坊ちゃん左「そんな!偶然負けた位で弱気にならないでください!いや、寧ろあれを負けと数えるのはどうかと!」
こいつは何言ってる?結果として出た以上幾ら騒いでも変わらないだろ?貴族はやはり頭のネジが外れてる奴が多い様だ。
オード「すまない。彼等が迷惑をかけた。」
ジン「いや、良いさ。こっちも悪かったし、ほらシリウスも謝れよ。」
何故かジンが俺の保護者の様になっている。若干納得出来ないが殴ったのは事実だ。それを謝るだけで良いならまだ楽で良いか。
俺「ごめんなさい。」
オード「フッ、ジン。私はこれからもっと鍛えて強くなる。今度は負けないからな。その時はまた勝負してくれ。」
ジン「おう!分かった!」
何か良い友達風になってる。取り巻きを連れていなくなった。
俺「あいつ、何か良い奴だな?」
ジン「何か俺に負けた後、思う所があったのか急に真面目になったんだ。それから少し話す様になってさ。取り巻きの連中がいるからグループに入る訳にはいかないけど、普通に話せる友達にはなったかな?」
何と俺のお節介が巡り巡って1人の少年の性格を変えたらしい。良いのか悪いのか。考え込んでると更に見覚えのある少女が近付いて来た。アイリスだ。
俺「よ。久しぶり。」
普通に友達に話しかけたつもりだったが、相手が公爵令嬢だった事を忘れていた。例によって次の厄介事が発生する。
取り巻き「おい!貴様!無礼だぞ!」
皆んな一緒の反応だ。他に言う事無いのか?まぁ、礼儀知らずな言動をしている俺が悪いと言われたら何も言えないけど。
ジン「アイリスと知り合いなのか?」
俺「ん?3年くらい前に、盗賊に襲われてた所を助けたんだ。その時に知り合った。」
ジン「へぇ~。」
俺「お前こそどうなんだ?」
ジン「いや、さっきのオードとは別の理由で話しかけてくれる人かな。」
取り巻きは俺達が無視して話をしているのが気に入らない様子だ。
取り巻き「おい!聞いてるのか!」
アイリス「待ちなさい。彼は礼儀作法をあまり知りません。そんな彼に強要するのは酷です。」
俺を庇ってくれてるのかな?言い方があれだけど、今度からもう少し気を付けよう。すると不意にアイリスが俺に話し掛けてくる。
アイリス「少しあちらでお話したいのですが?」
2人だけで話がしたいらしい。何故だろう笑顔だけど目が笑ってない気がする。アイリスは取り巻きに何か言われてるが黙らせて俺と2人で話す為移動する。
アイリス「ちょっと!どういう事!」
俺「何が?」
アイリス「全部よ!全部!」
思い当たる事は幾つかある。どれの事か?ああ、全部か。ここは1つ先手を取ろう。
俺「ごめんなさい。」
アイリス「はぁ、ジンが心配だからって負けイベント勝つまで鍛えないでよ。お陰で孤立してるし、まぁ、その所為か少し良い方に転んだ所もあるけど。最終的な結果としてはマイナスよ。これから大丈夫?」
俺「とりあえず今日は俺が協力して乗り切るよ。後は何とか出来る所は対処するけど、他はジンに頼る以外は無いかな?なんて考えてる。・・・いえ、考えてます。」
アイリス「まさかここまで孤立するとは思わなかったわ。頭が痛い。とにかく、こうなったらとことん協力し合うしかないわ。しっかりしてよ!」
俺「はい!誠心誠意、努めさせて頂きます。」
この『世界』に来て大分経つがここまでしっかり怒られたのは久しぶりだ。参った。
今日のイベントは正確には課題の方では無く、魔族の正規軍による奇襲だ。魔物が多勢で攻める辺境での戦いとは違い軍人との戦いだ。慣れては来たが今回は流石に少し緊張する。
学園の課題としては近くの村に出た魔物を、雇った冒険者で弱らせて貴族の坊ちゃん達がトドメを刺し、魔物退治の体験をさせるという内容だ。このメインイベントはその貴族の坊ちゃん達を魔族が襲い、その存在を世に知らしめる。っていう目的で、ジンがそれを阻む。そういうイベントだ。そろそろ襲撃時刻だな。その時、爆発音が鳴る。後ろを振り返ると
ドワイト「フッ、やはり運命か。貴様がいるのは。予感でしかなかったが当たるとはな。」
俺「よう、わざわざあんたがここまで来なくても良かったんじゃ無いか?」
ドワイト「そうはいかない。人族の英雄を討つのは使命だからな。」
ジン「誰だ!こいつ!」
俺「魔族軍の第一師団長様だよ。」
ジン「こいつが俺達の町を!」
さっき久しぶりに会ったついでに故郷の話をしたけどしない方が良かったか?冷静さを欠いて何かあったら大変だ。
俺「落ち着け。」
ジン「だけど!」
俺「腹が立ってるのは俺も一緒だ。」
ジン「ぐ!」
俺「それよりアイリスの援護してやれ。坊ちゃん達だけだと何もできないし、大変だろ?」
ジン「こいつはどうするんだよ!」
俺「俺が片付ける。心配するな。」
ジン「・・・気を付けろよ。」
ジンは心配そうに俺に言った後、アイリス達の所へ向かった。皆んな浮き足立って何も出来ていない。いきなりだから慌てるのは分かるが少しは落ち着いて欲しい。未来の騎士だろうに。
ドワイト「別れは済んだのか?」
俺「んな訳あるか。あんた倒して俺も早く行かないとな。」
ドワイトを挑発する為に言ったが、その後ある変化に気付く。よく見ると斧が戦鎚、ハンマーに変わっていた。あれ?武器変えるの確か3回目のラストだった様な気が。というか変えるとしても剣だ。何故ハンマー?そんな事を考えているうちに戦闘開始になった。剣や斧に比べ、幅や厚さが違うから受け流しが使えない。完全に射程外に脱出する形で躱すが、言うまでもなく俺の攻撃も射程外で攻撃しようと近付くと、奴は既に次の攻撃モーションに入っている。それを躱せば更に外側へ移動する事になる。
横はまだ良い。重力が下に引っ張るのを逆らいながら横に振る。色んな方向に力が掛かるから速度はあまり上がらない。ちゃんと見れば今の所は大丈夫だ。しかし真上や斜め上からの振り下ろしは駄目だ。重力も味方するし、ほぼ力を使わず重さだけで攻撃する。その所為で横の動きより速い、意識して無いと死ぬ。その時、不意に声を掛けられる。
冒険者男「おい!退け!傭兵!」
坊ちゃん達の護衛というか露払い要員の冒険者が割って入る。
冒険者男「こいつは俺達がやる。お前じゃ荷が重いだろ?」
俺「まぁ、片付けてくれるなら助かる。」
冒険者男「フッ、じゃあそこで見てな。」
ドワイト「貴様等!邪魔をするのか!」
冒険者男「あいつはここにたまたまいた傭兵だぞ。そんなのと戦って何になる。お前はここで終わりだがな。」
ドワイトがチッと舌打ちし、ハンマーを振る。冒険者の仲間の盾持ちが身体強化の魔法と盾を使い弾く。正面からは受けず力を流しながら弾き、その隙を突いてさっきのリーダーっぽいのと盗賊みたいなナイフを持ったのが左右から攻撃する。俺は言われた通り離れて見てるが、俺の近くにいる弓を持った姉ちゃんが矢を放つ。言うだけある様で中々善戦してる。俺は感心しながら見物している。
流石に刀をしまう程休む気は無いけど、少し休憩出来て助かる。しかしどうするか?前の斧や剣なら良いけど。ハンマーって考えると面倒だ。遠距離から鎌鼬で斬るか?俺の持ち技だと他は武器破壊って事になるけど、手が無い事は無いけど。
はぁ、とにかく面倒だ。
対策を考えながら奴を見るとかなりイライラしていた。いきなり現れた訳の分からない奴等に挑まれ、しかも無駄に時間を喰うと余計に腹が立つ。更に冷静さを欠いて、また時間を使う。
その悪循環は一度嵌ると中々抜け出せない。俺が気を使う必要は無いがあいつも大変だなと思う。
ドワイト「鬱陶しい!邪魔だ!」
盾の奴を押し退け、ナイフの奴が吹き飛ばされる。続けてリーダーを狙うが盾が素早く防御に入る。しかし盾が慌てたのか、もしくわドワイトが合わせたのか今度は盾の中心を捉えフルスイングで吹き飛ばす。驚いている間にリーダーに蹴りを喰らわす。
リーダー「ぐは!」
奴はその勢いのまま弓使いの方に突進する。一瞬で形勢が逆転したからか反応出来ていない。俺とは関係ない人間だ。気にする必要は無かったのだが、気が付くと弓使いを庇い押し退けていた。俺は刀を自分の身体とハンマーの間に入れるだけしか出来ず、思いっ切り吹っ飛ばされた。
俺「うぐっ、・・・がふ!」
ドワイト「こんな形で決着が付くとは思わなかったが、これも運命だな仕方がない。」
と言うドワイトの言葉が聞こえる。
ああ、呼吸が、折れた骨が肺に刺さってるかな?血が出る。このまま死ぬのか?
1番納得出来ないのは俺の刀だ。刀身に傷が1つも無い。刀の後ろにあった俺の身体の方がボロボロだ。そんな余計な事を考えてたら少し冷静さを取り戻す。
意識を集中して心臓の辺りを思い浮かべる。そこから肺に意識を広げ、痛覚の感じからダメージを受けた箇所を想像し[気]を集中する。折れて邪魔になった骨を分解し傷口を修復。さっき分解した骨を折れた場所に再構築。
全身をくまなくイメージして自分の健康な時の身体と照らし合わせトレースする様に身体を治す。
仰向けからうつ伏せになり肺に残っていた血を吐き出す。顔を上げると心配そうにこちらを見ているジンと目が合う。俺が頷くと安心したのかジンも頷き敵に向き直った。俺は身体の異常が無いか確かめながら立ち上がる。
ドワイト「馬鹿な!何故生きている!貴様は不死身か!」
俺「いや、流石にさっきのはギリギリだった。次、同じ状態になったら助からないだろうな。はぁ~、疲れた。」
ドワイト「ほう、もう一度当てれば今度こそ貴様を殺せるのか?」
俺は刀の方に手を向けると一瞬で手の中に移動して来た。本当に普通の剣じゃないなと思うが今はそれどころじゃない。ドワイトに向き直ると言い放つ。
俺「当たればな。」
ドワイト「貴様!」
色々あって腹を立ててるのかドワイトは渾身の力を込めてハンマーを振り上げる。そのハンマーの中心辺りに素早く突きを当てる。
ドワイト「何!」
ハンマーの重さでよろめくドワイトに斬りかかる。奴は攻撃を諦め柄の部分で俺の刀を受け止める。2、3度受けると今度は横薙ぎに振ろうとする。俺はもう一度、突きでハンマーを押し返す。
ドワイト「チッ、舐めるな!」
今度こそはと強引にハンマーを振り下ろそうとする。俺は一気に奴の攻撃の射程外に移動し、居合い抜きの構えをする。勿論この位置だと普通は当たらない。だが鎌鼬なら当たる。ハンマーが地面に当たると同時にドワイトの悲鳴が上がる。
ドワイト「ぐわぁ!何だと!いつの間に!」
腹の所を真一文字に斬られ片膝を付く。
冒険者「何なんだこいつ等。」
一連の状況を見て驚いている冒険者達。そのタイミングで誰かがこっちに向かってくる。
女剣士「ドワイト様ぁ!貴様ぁ!」
ドワイトの部下が俺に襲い掛かってきた。確かさっきまでジンと戦ってた奴だと思う。目立つ感じだからもしかしたら敵将か?
女剣士「3魔将が1人、エリス・ブライト!参る!」
何とも行業しい言い回しだが、敵将ってのは当たりだった。細身のレイピアを躱しながらドワイトを見ると肩で息をしている。しかしまだ余裕がある様でこっちの隙を窺っている。魔将は俺を引き離すつもりらしく、ドワイトとの距離が徐々に離れて来た。その時、魔力を纏わせた剣を持って走る人影が見える。ジンだ。狙いは俺の前にいる魔将では無く。
ドワイト「な!くそ!」
ジンはドワイト目掛け、剣を振り下ろす。奴も当然防ぐがジンのフルパワーの一太刀にハンマーの柄が耐えられず切断される。それと同時にドワイトの左肩から腰にかけて斬り付けた。ドワイトは呻き声を上げながら後ろに倒れる。
エリス「貴様!」
ジン「しまった!」
アイリス「は!」
3魔将のエリスが隙だらけになったジンを攻撃しようと仕掛けたが、直ぐ近くまで来ていたアイリスに防がれる。もう動けないであろうドワイトを庇いながら俺達3人を相手に戦うのは不可能だろう。完全に形勢逆転した。俺はこの状況に安心してつい笑みを浮かべる。
俺「もう終わりだな。」
その時、以外な所から俺のこの言葉に物言いが出た。
アイリス「ねぇ、その顔、何か悪党みたいよ。」
俺「え!」
ジン「俺も少し不気味に見える。」
俺「は?」
俺は今日一番のダメージを身内から受けた。
喧嘩を売ってきた理由は気に入らないからみたいな動機だった筈だ。流石にうろ覚えではっきりしないけど、とにかく嫌な奴という印象だけは覚えている。名前は確か"オード・リーヴァス"だ。取り巻き達がジンに絡んでいるのに気が付くと呆れた感じで話し出す。
オード「はぁ、お前達何をしている?」
坊ちゃん中「オード様!こいつ、傭兵のクセに私を殴ったのです!」
坊ちゃん左「我等貴族に対してこの無礼!この平民共々処罰しましょう!」
厄介な事になった。こいつも乗っかって騒ぎ出すと疲れるだろうな。相手はしたく無いけど仕方ない。そう思った次の瞬間、思っていたのと違う展開になる。
オード「お前達が先に失礼な事を言ったのでは無いのか?」
坊ちゃん右「な!違います!平民は平民らしく我等を敬えと教えただけです!」
オード「それが失礼と言うのだ!敬う様に求めるならそれなりの誠意と行動で示さなければならない!そうだろう?」
あれ?何かキャラが変わっている?何かあった?俺の疑問に応える様にオードは話を続ける。
オード「私はジンに負けてから考えたのだ。私は彼の様に努力と研鑽を積んだのか?と。私が負けたのは単に私が驕っていたからだ。誰の所為でも無い。」
坊ちゃん左「そんな!偶然負けた位で弱気にならないでください!いや、寧ろあれを負けと数えるのはどうかと!」
こいつは何言ってる?結果として出た以上幾ら騒いでも変わらないだろ?貴族はやはり頭のネジが外れてる奴が多い様だ。
オード「すまない。彼等が迷惑をかけた。」
ジン「いや、良いさ。こっちも悪かったし、ほらシリウスも謝れよ。」
何故かジンが俺の保護者の様になっている。若干納得出来ないが殴ったのは事実だ。それを謝るだけで良いならまだ楽で良いか。
俺「ごめんなさい。」
オード「フッ、ジン。私はこれからもっと鍛えて強くなる。今度は負けないからな。その時はまた勝負してくれ。」
ジン「おう!分かった!」
何か良い友達風になってる。取り巻きを連れていなくなった。
俺「あいつ、何か良い奴だな?」
ジン「何か俺に負けた後、思う所があったのか急に真面目になったんだ。それから少し話す様になってさ。取り巻きの連中がいるからグループに入る訳にはいかないけど、普通に話せる友達にはなったかな?」
何と俺のお節介が巡り巡って1人の少年の性格を変えたらしい。良いのか悪いのか。考え込んでると更に見覚えのある少女が近付いて来た。アイリスだ。
俺「よ。久しぶり。」
普通に友達に話しかけたつもりだったが、相手が公爵令嬢だった事を忘れていた。例によって次の厄介事が発生する。
取り巻き「おい!貴様!無礼だぞ!」
皆んな一緒の反応だ。他に言う事無いのか?まぁ、礼儀知らずな言動をしている俺が悪いと言われたら何も言えないけど。
ジン「アイリスと知り合いなのか?」
俺「ん?3年くらい前に、盗賊に襲われてた所を助けたんだ。その時に知り合った。」
ジン「へぇ~。」
俺「お前こそどうなんだ?」
ジン「いや、さっきのオードとは別の理由で話しかけてくれる人かな。」
取り巻きは俺達が無視して話をしているのが気に入らない様子だ。
取り巻き「おい!聞いてるのか!」
アイリス「待ちなさい。彼は礼儀作法をあまり知りません。そんな彼に強要するのは酷です。」
俺を庇ってくれてるのかな?言い方があれだけど、今度からもう少し気を付けよう。すると不意にアイリスが俺に話し掛けてくる。
アイリス「少しあちらでお話したいのですが?」
2人だけで話がしたいらしい。何故だろう笑顔だけど目が笑ってない気がする。アイリスは取り巻きに何か言われてるが黙らせて俺と2人で話す為移動する。
アイリス「ちょっと!どういう事!」
俺「何が?」
アイリス「全部よ!全部!」
思い当たる事は幾つかある。どれの事か?ああ、全部か。ここは1つ先手を取ろう。
俺「ごめんなさい。」
アイリス「はぁ、ジンが心配だからって負けイベント勝つまで鍛えないでよ。お陰で孤立してるし、まぁ、その所為か少し良い方に転んだ所もあるけど。最終的な結果としてはマイナスよ。これから大丈夫?」
俺「とりあえず今日は俺が協力して乗り切るよ。後は何とか出来る所は対処するけど、他はジンに頼る以外は無いかな?なんて考えてる。・・・いえ、考えてます。」
アイリス「まさかここまで孤立するとは思わなかったわ。頭が痛い。とにかく、こうなったらとことん協力し合うしかないわ。しっかりしてよ!」
俺「はい!誠心誠意、努めさせて頂きます。」
この『世界』に来て大分経つがここまでしっかり怒られたのは久しぶりだ。参った。
今日のイベントは正確には課題の方では無く、魔族の正規軍による奇襲だ。魔物が多勢で攻める辺境での戦いとは違い軍人との戦いだ。慣れては来たが今回は流石に少し緊張する。
学園の課題としては近くの村に出た魔物を、雇った冒険者で弱らせて貴族の坊ちゃん達がトドメを刺し、魔物退治の体験をさせるという内容だ。このメインイベントはその貴族の坊ちゃん達を魔族が襲い、その存在を世に知らしめる。っていう目的で、ジンがそれを阻む。そういうイベントだ。そろそろ襲撃時刻だな。その時、爆発音が鳴る。後ろを振り返ると
ドワイト「フッ、やはり運命か。貴様がいるのは。予感でしかなかったが当たるとはな。」
俺「よう、わざわざあんたがここまで来なくても良かったんじゃ無いか?」
ドワイト「そうはいかない。人族の英雄を討つのは使命だからな。」
ジン「誰だ!こいつ!」
俺「魔族軍の第一師団長様だよ。」
ジン「こいつが俺達の町を!」
さっき久しぶりに会ったついでに故郷の話をしたけどしない方が良かったか?冷静さを欠いて何かあったら大変だ。
俺「落ち着け。」
ジン「だけど!」
俺「腹が立ってるのは俺も一緒だ。」
ジン「ぐ!」
俺「それよりアイリスの援護してやれ。坊ちゃん達だけだと何もできないし、大変だろ?」
ジン「こいつはどうするんだよ!」
俺「俺が片付ける。心配するな。」
ジン「・・・気を付けろよ。」
ジンは心配そうに俺に言った後、アイリス達の所へ向かった。皆んな浮き足立って何も出来ていない。いきなりだから慌てるのは分かるが少しは落ち着いて欲しい。未来の騎士だろうに。
ドワイト「別れは済んだのか?」
俺「んな訳あるか。あんた倒して俺も早く行かないとな。」
ドワイトを挑発する為に言ったが、その後ある変化に気付く。よく見ると斧が戦鎚、ハンマーに変わっていた。あれ?武器変えるの確か3回目のラストだった様な気が。というか変えるとしても剣だ。何故ハンマー?そんな事を考えているうちに戦闘開始になった。剣や斧に比べ、幅や厚さが違うから受け流しが使えない。完全に射程外に脱出する形で躱すが、言うまでもなく俺の攻撃も射程外で攻撃しようと近付くと、奴は既に次の攻撃モーションに入っている。それを躱せば更に外側へ移動する事になる。
横はまだ良い。重力が下に引っ張るのを逆らいながら横に振る。色んな方向に力が掛かるから速度はあまり上がらない。ちゃんと見れば今の所は大丈夫だ。しかし真上や斜め上からの振り下ろしは駄目だ。重力も味方するし、ほぼ力を使わず重さだけで攻撃する。その所為で横の動きより速い、意識して無いと死ぬ。その時、不意に声を掛けられる。
冒険者男「おい!退け!傭兵!」
坊ちゃん達の護衛というか露払い要員の冒険者が割って入る。
冒険者男「こいつは俺達がやる。お前じゃ荷が重いだろ?」
俺「まぁ、片付けてくれるなら助かる。」
冒険者男「フッ、じゃあそこで見てな。」
ドワイト「貴様等!邪魔をするのか!」
冒険者男「あいつはここにたまたまいた傭兵だぞ。そんなのと戦って何になる。お前はここで終わりだがな。」
ドワイトがチッと舌打ちし、ハンマーを振る。冒険者の仲間の盾持ちが身体強化の魔法と盾を使い弾く。正面からは受けず力を流しながら弾き、その隙を突いてさっきのリーダーっぽいのと盗賊みたいなナイフを持ったのが左右から攻撃する。俺は言われた通り離れて見てるが、俺の近くにいる弓を持った姉ちゃんが矢を放つ。言うだけある様で中々善戦してる。俺は感心しながら見物している。
流石に刀をしまう程休む気は無いけど、少し休憩出来て助かる。しかしどうするか?前の斧や剣なら良いけど。ハンマーって考えると面倒だ。遠距離から鎌鼬で斬るか?俺の持ち技だと他は武器破壊って事になるけど、手が無い事は無いけど。
はぁ、とにかく面倒だ。
対策を考えながら奴を見るとかなりイライラしていた。いきなり現れた訳の分からない奴等に挑まれ、しかも無駄に時間を喰うと余計に腹が立つ。更に冷静さを欠いて、また時間を使う。
その悪循環は一度嵌ると中々抜け出せない。俺が気を使う必要は無いがあいつも大変だなと思う。
ドワイト「鬱陶しい!邪魔だ!」
盾の奴を押し退け、ナイフの奴が吹き飛ばされる。続けてリーダーを狙うが盾が素早く防御に入る。しかし盾が慌てたのか、もしくわドワイトが合わせたのか今度は盾の中心を捉えフルスイングで吹き飛ばす。驚いている間にリーダーに蹴りを喰らわす。
リーダー「ぐは!」
奴はその勢いのまま弓使いの方に突進する。一瞬で形勢が逆転したからか反応出来ていない。俺とは関係ない人間だ。気にする必要は無かったのだが、気が付くと弓使いを庇い押し退けていた。俺は刀を自分の身体とハンマーの間に入れるだけしか出来ず、思いっ切り吹っ飛ばされた。
俺「うぐっ、・・・がふ!」
ドワイト「こんな形で決着が付くとは思わなかったが、これも運命だな仕方がない。」
と言うドワイトの言葉が聞こえる。
ああ、呼吸が、折れた骨が肺に刺さってるかな?血が出る。このまま死ぬのか?
1番納得出来ないのは俺の刀だ。刀身に傷が1つも無い。刀の後ろにあった俺の身体の方がボロボロだ。そんな余計な事を考えてたら少し冷静さを取り戻す。
意識を集中して心臓の辺りを思い浮かべる。そこから肺に意識を広げ、痛覚の感じからダメージを受けた箇所を想像し[気]を集中する。折れて邪魔になった骨を分解し傷口を修復。さっき分解した骨を折れた場所に再構築。
全身をくまなくイメージして自分の健康な時の身体と照らし合わせトレースする様に身体を治す。
仰向けからうつ伏せになり肺に残っていた血を吐き出す。顔を上げると心配そうにこちらを見ているジンと目が合う。俺が頷くと安心したのかジンも頷き敵に向き直った。俺は身体の異常が無いか確かめながら立ち上がる。
ドワイト「馬鹿な!何故生きている!貴様は不死身か!」
俺「いや、流石にさっきのはギリギリだった。次、同じ状態になったら助からないだろうな。はぁ~、疲れた。」
ドワイト「ほう、もう一度当てれば今度こそ貴様を殺せるのか?」
俺は刀の方に手を向けると一瞬で手の中に移動して来た。本当に普通の剣じゃないなと思うが今はそれどころじゃない。ドワイトに向き直ると言い放つ。
俺「当たればな。」
ドワイト「貴様!」
色々あって腹を立ててるのかドワイトは渾身の力を込めてハンマーを振り上げる。そのハンマーの中心辺りに素早く突きを当てる。
ドワイト「何!」
ハンマーの重さでよろめくドワイトに斬りかかる。奴は攻撃を諦め柄の部分で俺の刀を受け止める。2、3度受けると今度は横薙ぎに振ろうとする。俺はもう一度、突きでハンマーを押し返す。
ドワイト「チッ、舐めるな!」
今度こそはと強引にハンマーを振り下ろそうとする。俺は一気に奴の攻撃の射程外に移動し、居合い抜きの構えをする。勿論この位置だと普通は当たらない。だが鎌鼬なら当たる。ハンマーが地面に当たると同時にドワイトの悲鳴が上がる。
ドワイト「ぐわぁ!何だと!いつの間に!」
腹の所を真一文字に斬られ片膝を付く。
冒険者「何なんだこいつ等。」
一連の状況を見て驚いている冒険者達。そのタイミングで誰かがこっちに向かってくる。
女剣士「ドワイト様ぁ!貴様ぁ!」
ドワイトの部下が俺に襲い掛かってきた。確かさっきまでジンと戦ってた奴だと思う。目立つ感じだからもしかしたら敵将か?
女剣士「3魔将が1人、エリス・ブライト!参る!」
何とも行業しい言い回しだが、敵将ってのは当たりだった。細身のレイピアを躱しながらドワイトを見ると肩で息をしている。しかしまだ余裕がある様でこっちの隙を窺っている。魔将は俺を引き離すつもりらしく、ドワイトとの距離が徐々に離れて来た。その時、魔力を纏わせた剣を持って走る人影が見える。ジンだ。狙いは俺の前にいる魔将では無く。
ドワイト「な!くそ!」
ジンはドワイト目掛け、剣を振り下ろす。奴も当然防ぐがジンのフルパワーの一太刀にハンマーの柄が耐えられず切断される。それと同時にドワイトの左肩から腰にかけて斬り付けた。ドワイトは呻き声を上げながら後ろに倒れる。
エリス「貴様!」
ジン「しまった!」
アイリス「は!」
3魔将のエリスが隙だらけになったジンを攻撃しようと仕掛けたが、直ぐ近くまで来ていたアイリスに防がれる。もう動けないであろうドワイトを庇いながら俺達3人を相手に戦うのは不可能だろう。完全に形勢逆転した。俺はこの状況に安心してつい笑みを浮かべる。
俺「もう終わりだな。」
その時、以外な所から俺のこの言葉に物言いが出た。
アイリス「ねぇ、その顔、何か悪党みたいよ。」
俺「え!」
ジン「俺も少し不気味に見える。」
俺「は?」
俺は今日一番のダメージを身内から受けた。
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初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
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クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
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考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
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