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[Worldtrace]
燕返し
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少年「申し遅れました。同じくフリード・スワロウの長男でクリストファー・スワロウと言います。」
そんなに歳は離れていないとは思うが、パッと見で小学生かな?とか思うけど、ここまでハッキリ挨拶出来ると普通に感心する。
アイリスも俺と同じ歳位だと思うが10歳程と思えないくらいしっかりしている。俺が地球にいた時の頃だが10歳はもう少し軽いノリで生きていた気がする。生活環境の影響かな?
アイリス「失礼ですが、辺境伯様は辺境からは出られないと聞いていましたが?何か余程の緊急事態ですか?」
ゲイツ「"辺境伯様"は止してくれ。むず痒い。ゲイツで良いさ。それと質問の答えだが、何でも魔王が戦争仕掛けて来るんだと。だから報告の為に王都に向かってる。」
魔王と聞いて皆の表情が凍りつく。
アイリス「とにかく話は道中で聞きましょう。私達も王都に向かう途中でしたから。」
因みにさっきの盗賊達はというと、たまたま近くに街があったので生きてる盗賊は衛兵の詰め所に連れて行った。俺達はというと公爵家の人達と一緒に王都に向かう事にした。
ただ今日はこの街の宿で一泊する事になった。俺達は野宿で良いって言ったんだけど、御令嬢のご厚意で宿泊費は公爵家が出してくれると言う話になり、今日は宿に泊まれた。元々野宿をしながら進んでいたので宿に泊まれるとは考えて無かった。
一息付いてゴロ寝しようと思っていたら、何故か分からないが団長に宿の中庭へ呼び出された。その場に向かうと団長と他に執事と弟君、それから御令嬢がいた。
俺「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はシリウス。よろしく。」
アイリス「はい、よろしくお願いします。所で先程、盗賊達と戦っている間その剣を抜いてませんでしたが何か理由があるのですか?」
俺「いや、ただの気まぐれだよ。使わなかっただけ。」
アイリス「なら剣術の心得はあるのですね。」
俺「まぁ、心得って程じゃないよ。我流だし、多少は使ってるって感じかな。」
ゲイツ「多少じゃないだろう。その嬢ちゃんに頼まれて模擬戦をしてたんだ。中々やるぜ。」
模擬戦ね。稽古と言わない辺り結構実戦的な感じでやってたのかな?
アイリス「手合わせ願えますか?色々な方と試合をして経験を積んで置きたいんです。」
それで俺か?暇だから良いけど。お嬢様が木剣を渡して来る。貴族といえばフェンシングだな。俺は左手を腰に当て構える。フェンシングについてそこまで詳しく無い。だからうろ覚えな知識で構える。
アイリス「え?」
お嬢様が何かに反応した。
俺「ほら始めるんだろ?」
アイリス「あ、はい!」
練習というか試合というか、始めたのは良いけど何かお嬢様がかなりの勢いで攻めて来る。だけど多分まだ全力じゃないんだろうなと思う。正面からの突きを右に流したり左に流したり、時たま振り下ろして来る所に合わせて打ち落としたりする。
アイリス「あの!本気で相手して頂けますか?先程から手加減してますよね?」
俺「え?うん。何かあったら俺の首が飛ぶし、それに君も本気は出して無いだろう?」
お嬢様が少しムッとした様な顔をする。別に変な事は言ってないとは思うが、そんな事を考えているとさっきより速度が上がる。同じ受け流しを繰り返しているとお嬢様にしては珍しい大振りの振り下ろしが来た。右腕を左に動かしお嬢様の剣を担ぐ様に右に受け流す、何か気になりお嬢様の表情を見ると俺の動きが狙い通りだったのかニヤリと笑った。分かりやすい動きで俺にワザと防御体勢を取らせたのなら、この後の動きが重要って事になる。
その時ある事を思い出した。刀を大振りし相手に回避する様に仕向け、その後チャンスと思わせて誘い込む。突撃して来た所で刀を返し斬り上げる。佐々木小次郎の"燕返し"ってヤツを思い出した。両刃の剣なら返す事なく上に持ち上げるだけだ。
思った通りお嬢様は木剣を振り上げる。俺はそれに合わせる様に木剣を振り下ろして受け止める。
アイリス「な!」
ゲイツ「へぇ。」
クリストファー「あ!お姉様の燕返しが防がれた。」
技名そのまま?と聞きたかったが今はそれ所じゃない。更に速度を上げ、お嬢様が一際大きく踏み込み突きを繰り出す。俺も合わせる様に突きを出し、お互いの切先がぶつかり合うと双方が弾け飛ぶ形で離れる。
アイリス「まだまだ!」
俺「いや、もう止めよう。」
俺の持っていた木剣の先が砕けていた。お嬢様の本気の突き身体に喰らったらと思うと身震いする。
アイリス「あ!済みません。熱くなって本気を。」
ゲイツ「気にするなよ。誰も怪我してないしな。それよりお嬢ちゃんのあの斬り返す動きは凄いな。それにお前も良く反応出来たな?」
"気にするな"は俺が言うべきで本気では挑まれてないであろうあんたが言う事じゃないだろう。
俺「はぁ・・・いや、佐々木小次郎が・・・」
ゲイツ「ん?」
アイリス「え!」
俺「いや、似た様な動きを伝え聞いた事があってそれをたまたまあのタイミングで思い出しただけだ。」
ゲイツ「ふ~ん。」
団長は納得したのかどうなのか、よく分からない返事を返す。お嬢様は何故か驚いた表情をしている。何か思う所があるのだろうか?
クリストファー「お姉様の燕返しを初見で受け止めた方は貴方が初めてです!凄いです!」
お坊ちゃんが興奮している。確かに初見で躱すのは大変だろう。それに連続攻撃の間に組み込まれていた。反応出来たのはたまたまだ。
ゲイツ「とりあえず今日の所はお開きにして休もう明日も早いからな。」
若干お嬢様の視線が気になったが、今日はこのまま部屋で寝る事にした。
そんなに歳は離れていないとは思うが、パッと見で小学生かな?とか思うけど、ここまでハッキリ挨拶出来ると普通に感心する。
アイリスも俺と同じ歳位だと思うが10歳程と思えないくらいしっかりしている。俺が地球にいた時の頃だが10歳はもう少し軽いノリで生きていた気がする。生活環境の影響かな?
アイリス「失礼ですが、辺境伯様は辺境からは出られないと聞いていましたが?何か余程の緊急事態ですか?」
ゲイツ「"辺境伯様"は止してくれ。むず痒い。ゲイツで良いさ。それと質問の答えだが、何でも魔王が戦争仕掛けて来るんだと。だから報告の為に王都に向かってる。」
魔王と聞いて皆の表情が凍りつく。
アイリス「とにかく話は道中で聞きましょう。私達も王都に向かう途中でしたから。」
因みにさっきの盗賊達はというと、たまたま近くに街があったので生きてる盗賊は衛兵の詰め所に連れて行った。俺達はというと公爵家の人達と一緒に王都に向かう事にした。
ただ今日はこの街の宿で一泊する事になった。俺達は野宿で良いって言ったんだけど、御令嬢のご厚意で宿泊費は公爵家が出してくれると言う話になり、今日は宿に泊まれた。元々野宿をしながら進んでいたので宿に泊まれるとは考えて無かった。
一息付いてゴロ寝しようと思っていたら、何故か分からないが団長に宿の中庭へ呼び出された。その場に向かうと団長と他に執事と弟君、それから御令嬢がいた。
俺「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はシリウス。よろしく。」
アイリス「はい、よろしくお願いします。所で先程、盗賊達と戦っている間その剣を抜いてませんでしたが何か理由があるのですか?」
俺「いや、ただの気まぐれだよ。使わなかっただけ。」
アイリス「なら剣術の心得はあるのですね。」
俺「まぁ、心得って程じゃないよ。我流だし、多少は使ってるって感じかな。」
ゲイツ「多少じゃないだろう。その嬢ちゃんに頼まれて模擬戦をしてたんだ。中々やるぜ。」
模擬戦ね。稽古と言わない辺り結構実戦的な感じでやってたのかな?
アイリス「手合わせ願えますか?色々な方と試合をして経験を積んで置きたいんです。」
それで俺か?暇だから良いけど。お嬢様が木剣を渡して来る。貴族といえばフェンシングだな。俺は左手を腰に当て構える。フェンシングについてそこまで詳しく無い。だからうろ覚えな知識で構える。
アイリス「え?」
お嬢様が何かに反応した。
俺「ほら始めるんだろ?」
アイリス「あ、はい!」
練習というか試合というか、始めたのは良いけど何かお嬢様がかなりの勢いで攻めて来る。だけど多分まだ全力じゃないんだろうなと思う。正面からの突きを右に流したり左に流したり、時たま振り下ろして来る所に合わせて打ち落としたりする。
アイリス「あの!本気で相手して頂けますか?先程から手加減してますよね?」
俺「え?うん。何かあったら俺の首が飛ぶし、それに君も本気は出して無いだろう?」
お嬢様が少しムッとした様な顔をする。別に変な事は言ってないとは思うが、そんな事を考えているとさっきより速度が上がる。同じ受け流しを繰り返しているとお嬢様にしては珍しい大振りの振り下ろしが来た。右腕を左に動かしお嬢様の剣を担ぐ様に右に受け流す、何か気になりお嬢様の表情を見ると俺の動きが狙い通りだったのかニヤリと笑った。分かりやすい動きで俺にワザと防御体勢を取らせたのなら、この後の動きが重要って事になる。
その時ある事を思い出した。刀を大振りし相手に回避する様に仕向け、その後チャンスと思わせて誘い込む。突撃して来た所で刀を返し斬り上げる。佐々木小次郎の"燕返し"ってヤツを思い出した。両刃の剣なら返す事なく上に持ち上げるだけだ。
思った通りお嬢様は木剣を振り上げる。俺はそれに合わせる様に木剣を振り下ろして受け止める。
アイリス「な!」
ゲイツ「へぇ。」
クリストファー「あ!お姉様の燕返しが防がれた。」
技名そのまま?と聞きたかったが今はそれ所じゃない。更に速度を上げ、お嬢様が一際大きく踏み込み突きを繰り出す。俺も合わせる様に突きを出し、お互いの切先がぶつかり合うと双方が弾け飛ぶ形で離れる。
アイリス「まだまだ!」
俺「いや、もう止めよう。」
俺の持っていた木剣の先が砕けていた。お嬢様の本気の突き身体に喰らったらと思うと身震いする。
アイリス「あ!済みません。熱くなって本気を。」
ゲイツ「気にするなよ。誰も怪我してないしな。それよりお嬢ちゃんのあの斬り返す動きは凄いな。それにお前も良く反応出来たな?」
"気にするな"は俺が言うべきで本気では挑まれてないであろうあんたが言う事じゃないだろう。
俺「はぁ・・・いや、佐々木小次郎が・・・」
ゲイツ「ん?」
アイリス「え!」
俺「いや、似た様な動きを伝え聞いた事があってそれをたまたまあのタイミングで思い出しただけだ。」
ゲイツ「ふ~ん。」
団長は納得したのかどうなのか、よく分からない返事を返す。お嬢様は何故か驚いた表情をしている。何か思う所があるのだろうか?
クリストファー「お姉様の燕返しを初見で受け止めた方は貴方が初めてです!凄いです!」
お坊ちゃんが興奮している。確かに初見で躱すのは大変だろう。それに連続攻撃の間に組み込まれていた。反応出来たのはたまたまだ。
ゲイツ「とりあえず今日の所はお開きにして休もう明日も早いからな。」
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