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色々あったが、ゲイツは仲間達の協力で何とか領地の運営を頑張っていた。
ここ数年の間にも魔物達の"氾濫"はあったが凌げる規模で済んでいた。しかし最近はやたらと大群に襲われている。軍隊の様に隊列を組み、人並みの統率と連携など知的な行動をしていた。
何やら不穏な空気を感じ、王都へ連絡を入れた。しかし応援が来る所か返事が返ってくる気配すらない。
魔物の森と隣合わせのこの都市が潰されれば他の街、果ては王都も危険だ。何故、何もしないのか?そんなイライラを募らせながらゲイツは今日も傭兵の詰め所に行く。するとティムとダンが子供と話をしていた。
入団希望だろう。話を聞く限り頭は良さそうな子供だとゲイツは思った。子供が傭兵になるという事は余程の事情かあるのだろう。とは言え無駄に死なせる訳にはいかない。しかし簡単に追い返すのも気が引ける。
ゲイツはとりあえず試しに魔物と戦わせてみる事にする。駄目だとしても働きたいなら雑用をさせれば良い。ここ数年でそういう人間も増えた。それに子供ならば多少勉強すれば文字くらいは直ぐに覚えられる。そうなれば仕事の幅が広がり生活出来る様になるだろうと考える。ただ結果はゲイツの予想と違っていた。少年は危なげ無く魔物を倒す。傭兵になる為に来たのだ。戦うのが初めてという事は無いと理解はしていた。それでももう少し時間が掛かると思っていた。簡単に魔物を倒せるなら戦力としては申し分無い。
そんな時だ。最近の日課になっている"氾濫"を知らせる鐘が鳴る。少年を仲間に加えた傭兵団は戦場に向かう。
そして開戦から数分後、ゲイツは目の前の魔物を一太刀で両断する。[料理人]の職業と包丁に見える鉈のお陰か次々と敵を解体していく。だが気が付くと少年の姿を見失う。

ゲイツ「あ?・・・小僧は?」

ティム「え?さっきまでその辺にいた筈。あ!いた!あそこだ!」

ゲイツ「チッ、いつの間にあんな所まで!急いで向かうぞ!」

ゲイツとティムが助けに行こうと走り出すと横からデカイ鬼の魔物、オーガが現れ斧を振り被る。
ゲイツは攻撃を躱し気を引くと、すかさずティムがオーガの左膝をハンマーで叩く。
ゲイツはオーガがティムに狙いを変えた瞬間、今度は首を狙って鉈を振る。位置的には当たらないが敵の動きを限定するには十分だ。そこから更にティムが残った右膝にハンマーを打ちつける。両膝に攻撃を喰らったオーガは体勢を崩し地面に両手を突いた。この機を逃すまいとゲイツは一気に距離を詰め首を落とす。

ゲイツ「行くぞ!」

ティム「あ!ヤバい!」

ゲイツ「?」

オーガは間違いなく絶命している。続けて周りを見るが、今は乱戦状態だが自分達は囲まれていない。そこではっと思い出し少年を見る。持っていた剣が折れ少年は窮地に立たされていた。
ただそこからは早かった。
少年は魔物の攻撃を躱し投げ飛ばすと武器を奪い、次々と押し寄せる魔物を倒して行く。少年はゲイツの予想を遥かに超えた活躍を見せた。

ゲイツ「アッハッハ!見たかアイツの動き!最高じゃねぇか!あんなに強いとはな。」

ティム「俺は気に入らないな。俺やあんたの初陣はもっと悲惨だったろ?」

ゲイツ「まぁ、良いじゃねぇか。」

ゲイツは傭兵達の方を向き叫ぶ。

ゲイツ「お前ら!新人に全部持って行かれて良いのか?戦うのが俺達の仕事だぞ!小僧に続け!」

ティム「突撃!」 

傭兵達は一斉に突進する。
そんな中、少年が走り出す。その先を珍しい姿の魔物が走っている。少年はあれを追い掛けていた。

ゲイツ「ティム!指揮を任せる!」

ティム「良いけど、あんたはどうする?」

ゲイツ「小僧が指揮官らしい魔物を見つけたみたいだ。だから奴を仕留めに行く!」

ティム「分かった!」

ゲイツはティムに指揮を任せ、少年と魔物を追った。
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