13 / 187
[Worldtrace]
現在
しおりを挟む
色々あったが、ゲイツは仲間達の協力で何とか領地の運営を頑張っていた。
ここ数年の間にも魔物達の"氾濫"はあったが凌げる規模で済んでいた。しかし最近はやたらと大群に襲われている。軍隊の様に隊列を組み、人並みの統率と連携など知的な行動をしていた。
何やら不穏な空気を感じ、王都へ連絡を入れた。しかし応援が来る所か返事が返ってくる気配すらない。
魔物の森と隣合わせのこの都市が潰されれば他の街、果ては王都も危険だ。何故、何もしないのか?そんなイライラを募らせながらゲイツは今日も傭兵の詰め所に行く。するとティムとダンが子供と話をしていた。
入団希望だろう。話を聞く限り頭は良さそうな子供だとゲイツは思った。子供が傭兵になるという事は余程の事情かあるのだろう。とは言え無駄に死なせる訳にはいかない。しかし簡単に追い返すのも気が引ける。
ゲイツはとりあえず試しに魔物と戦わせてみる事にする。駄目だとしても働きたいなら雑用をさせれば良い。ここ数年でそういう人間も増えた。それに子供ならば多少勉強すれば文字くらいは直ぐに覚えられる。そうなれば仕事の幅が広がり生活出来る様になるだろうと考える。ただ結果はゲイツの予想と違っていた。少年は危なげ無く魔物を倒す。傭兵になる為に来たのだ。戦うのが初めてという事は無いと理解はしていた。それでももう少し時間が掛かると思っていた。簡単に魔物を倒せるなら戦力としては申し分無い。
そんな時だ。最近の日課になっている"氾濫"を知らせる鐘が鳴る。少年を仲間に加えた傭兵団は戦場に向かう。
そして開戦から数分後、ゲイツは目の前の魔物を一太刀で両断する。[料理人]の職業と包丁に見える鉈のお陰か次々と敵を解体していく。だが気が付くと少年の姿を見失う。
ゲイツ「あ?・・・小僧は?」
ティム「え?さっきまでその辺にいた筈。あ!いた!あそこだ!」
ゲイツ「チッ、いつの間にあんな所まで!急いで向かうぞ!」
ゲイツとティムが助けに行こうと走り出すと横からデカイ鬼の魔物、オーガが現れ斧を振り被る。
ゲイツは攻撃を躱し気を引くと、すかさずティムがオーガの左膝をハンマーで叩く。
ゲイツはオーガがティムに狙いを変えた瞬間、今度は首を狙って鉈を振る。位置的には当たらないが敵の動きを限定するには十分だ。そこから更にティムが残った右膝にハンマーを打ちつける。両膝に攻撃を喰らったオーガは体勢を崩し地面に両手を突いた。この機を逃すまいとゲイツは一気に距離を詰め首を落とす。
ゲイツ「行くぞ!」
ティム「あ!ヤバい!」
ゲイツ「?」
オーガは間違いなく絶命している。続けて周りを見るが、今は乱戦状態だが自分達は囲まれていない。そこではっと思い出し少年を見る。持っていた剣が折れ少年は窮地に立たされていた。
ただそこからは早かった。
少年は魔物の攻撃を躱し投げ飛ばすと武器を奪い、次々と押し寄せる魔物を倒して行く。少年はゲイツの予想を遥かに超えた活躍を見せた。
ゲイツ「アッハッハ!見たかアイツの動き!最高じゃねぇか!あんなに強いとはな。」
ティム「俺は気に入らないな。俺やあんたの初陣はもっと悲惨だったろ?」
ゲイツ「まぁ、良いじゃねぇか。」
ゲイツは傭兵達の方を向き叫ぶ。
ゲイツ「お前ら!新人に全部持って行かれて良いのか?戦うのが俺達の仕事だぞ!小僧に続け!」
ティム「突撃!」
傭兵達は一斉に突進する。
そんな中、少年が走り出す。その先を珍しい姿の魔物が走っている。少年はあれを追い掛けていた。
ゲイツ「ティム!指揮を任せる!」
ティム「良いけど、あんたはどうする?」
ゲイツ「小僧が指揮官らしい魔物を見つけたみたいだ。だから奴を仕留めに行く!」
ティム「分かった!」
ゲイツはティムに指揮を任せ、少年と魔物を追った。
ここ数年の間にも魔物達の"氾濫"はあったが凌げる規模で済んでいた。しかし最近はやたらと大群に襲われている。軍隊の様に隊列を組み、人並みの統率と連携など知的な行動をしていた。
何やら不穏な空気を感じ、王都へ連絡を入れた。しかし応援が来る所か返事が返ってくる気配すらない。
魔物の森と隣合わせのこの都市が潰されれば他の街、果ては王都も危険だ。何故、何もしないのか?そんなイライラを募らせながらゲイツは今日も傭兵の詰め所に行く。するとティムとダンが子供と話をしていた。
入団希望だろう。話を聞く限り頭は良さそうな子供だとゲイツは思った。子供が傭兵になるという事は余程の事情かあるのだろう。とは言え無駄に死なせる訳にはいかない。しかし簡単に追い返すのも気が引ける。
ゲイツはとりあえず試しに魔物と戦わせてみる事にする。駄目だとしても働きたいなら雑用をさせれば良い。ここ数年でそういう人間も増えた。それに子供ならば多少勉強すれば文字くらいは直ぐに覚えられる。そうなれば仕事の幅が広がり生活出来る様になるだろうと考える。ただ結果はゲイツの予想と違っていた。少年は危なげ無く魔物を倒す。傭兵になる為に来たのだ。戦うのが初めてという事は無いと理解はしていた。それでももう少し時間が掛かると思っていた。簡単に魔物を倒せるなら戦力としては申し分無い。
そんな時だ。最近の日課になっている"氾濫"を知らせる鐘が鳴る。少年を仲間に加えた傭兵団は戦場に向かう。
そして開戦から数分後、ゲイツは目の前の魔物を一太刀で両断する。[料理人]の職業と包丁に見える鉈のお陰か次々と敵を解体していく。だが気が付くと少年の姿を見失う。
ゲイツ「あ?・・・小僧は?」
ティム「え?さっきまでその辺にいた筈。あ!いた!あそこだ!」
ゲイツ「チッ、いつの間にあんな所まで!急いで向かうぞ!」
ゲイツとティムが助けに行こうと走り出すと横からデカイ鬼の魔物、オーガが現れ斧を振り被る。
ゲイツは攻撃を躱し気を引くと、すかさずティムがオーガの左膝をハンマーで叩く。
ゲイツはオーガがティムに狙いを変えた瞬間、今度は首を狙って鉈を振る。位置的には当たらないが敵の動きを限定するには十分だ。そこから更にティムが残った右膝にハンマーを打ちつける。両膝に攻撃を喰らったオーガは体勢を崩し地面に両手を突いた。この機を逃すまいとゲイツは一気に距離を詰め首を落とす。
ゲイツ「行くぞ!」
ティム「あ!ヤバい!」
ゲイツ「?」
オーガは間違いなく絶命している。続けて周りを見るが、今は乱戦状態だが自分達は囲まれていない。そこではっと思い出し少年を見る。持っていた剣が折れ少年は窮地に立たされていた。
ただそこからは早かった。
少年は魔物の攻撃を躱し投げ飛ばすと武器を奪い、次々と押し寄せる魔物を倒して行く。少年はゲイツの予想を遥かに超えた活躍を見せた。
ゲイツ「アッハッハ!見たかアイツの動き!最高じゃねぇか!あんなに強いとはな。」
ティム「俺は気に入らないな。俺やあんたの初陣はもっと悲惨だったろ?」
ゲイツ「まぁ、良いじゃねぇか。」
ゲイツは傭兵達の方を向き叫ぶ。
ゲイツ「お前ら!新人に全部持って行かれて良いのか?戦うのが俺達の仕事だぞ!小僧に続け!」
ティム「突撃!」
傭兵達は一斉に突進する。
そんな中、少年が走り出す。その先を珍しい姿の魔物が走っている。少年はあれを追い掛けていた。
ゲイツ「ティム!指揮を任せる!」
ティム「良いけど、あんたはどうする?」
ゲイツ「小僧が指揮官らしい魔物を見つけたみたいだ。だから奴を仕留めに行く!」
ティム「分かった!」
ゲイツはティムに指揮を任せ、少年と魔物を追った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。

王女殿下の死神
三笠 陣
ファンタジー
アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。
産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。
エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。
そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。
リュシアン・エスタークス。
魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。
そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。
そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。
友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。
そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。
魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。
(本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る
イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。
《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。
彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。
だが、彼が次に目覚めた時。
そこは十三歳の自分だった。
処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。
これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる