鬼ごっこ

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 スタートの合図でみんな叫びながら一斉に逃げ出した。

「ねぇ、文波、早く逃げようよ!」

 まだ体育館に残ってるのは私と濡羽だけだ。

「ねぇねぇ、なんで逃げないの!」

 ここがどこか分からないから無闇に動くのは危険?

「ねぇ、文波、時間たっちゃうよ?」

 でも、ここにいても一瞬で見つかる。

「ねぇ、聞いてる?逃げようよ!」

「あぁもう、うるさいな。考えてるの!1人で逃げたら?」

「...なんで、そんな酷いこと言うの。もう文波なんて知らない。」

 濡羽は体育館から出ていった。

 あー、拗ねた。どうしよう。拗ねると周り見えなくなるから今は危ないよなぁ。んー、まぁいっか。1人で頑張ってもらお。

 そんな私たちを眺めていたヤワが

「いいんですか?一緒に行かなくて。そこにいてもすぐに捕まりますよ?」

とニコニコしながら言ってくる。

「逃げたところで捕まる時は捕まります。まぁ、捕まる気はないですけど。」

「そんなに自信があるのですか?」

「まぁ、何とかなるんじゃないですか?」

「ほぉ、それは頼もしい。」

 それからは2人で無言。ヤワの隣では筋川がワサワサ動いている。

「そうやって鬼化?した場合戻るんですか?」

「さぁ、どうでしょう?自分が鬼になれば分かりますよ。」

「あ、そうですか。」

 ダメだ、埒が明かない。しょうがない。なんも思いつかないしとりあえず逃げるか。

 くるりと後ろを向いて歩き出す。

「お、ご出発ですか?頑張ってくださいね。」

 後ろを向いたまま手を振って体育館を出た。
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