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情愛
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え、とカイトを見上げますが、カイトはまっすぐ前を向いて歩き始めています。
私はいそいで追いかけました。
そして、曲が始まると、カイトは周りに気づかれないようにそっと話しかけてきます。
「しばらくごめんね、離れていて。
その間、シャルの婚約者でなければ、シャルの好きな人なんて聞かなくて済んだのに、なんて思ったりもした。
でもそのおかげで今までシャルのいちばん近くにいることが出来た。
だから僕はもう十分なんだよ。
このまま話させてはいけない。止めないと、そう思うのに、喉が詰まったように声が出ません。
シャルのご両親にも話は通してあるし、僕の両親にも伝えている。
レオンにもシャルの気持ちは隠して色々頼んである。
だから心配しなくても大丈夫。
君の記憶に少しでも残ればいい、ってこんな手段をとる僕を許してね。
今までシャルのことを僕にしばりつけてごめん。
僕はシャルのことをずっと愛してるよ。
シャル、あなたとの婚約を破棄します
これからは自由に生きて。」
曲が終わったタイミングでちょうどよく伝えられた言葉。
会場にいる誰もがその言葉を聞くことになりました。
それでも私には、カイトが私のことを精一杯思ってくれていることが分かって、
自分の気持ちを押し殺して、私を優先しようとしているカイトが見えて、
どうしようもなく愛おしくなったんです
「ありがとう、ございます。」
カイトの想いが嬉しくて、涙まで出てしまいました。
「でも、私はカイトと婚約破棄したくないです。
婚約破棄を破棄してください。」
カイトがポカンとした顔をして固まってしまいました。
周りのざわめきは大騒ぎのレベルにまで達していそうです。
「カイト?やっぱり実は、カイトは私のことが嫌い?」
その言葉でカイトがやっと動きました。
「そんなわけが無い!
僕はシャルのことが大好きで!
でも、シャルはレオンが好きなんだろう、、?」
「ふふっ、わたしもそう思ってたんだけど、やっぱりカイトの方が好きみたい。
カイトは家族愛だって言うかもしれないけど、レオン様よりカイトの方が大事ということは絶対変わらないの。
それで許して?」
そう言って微笑むと、カイトは苦笑いをして溜息をつきました。
「僕はずっとシャルに振り回されてばっかりだよ。」
そうして私とカイトはまた婚約関係に戻り、私は死ぬまでカイトを振り回し続けました。
(カイトはシャルが死んだ後もシャルの落し物に振り回され続けたそうです。)
私はいそいで追いかけました。
そして、曲が始まると、カイトは周りに気づかれないようにそっと話しかけてきます。
「しばらくごめんね、離れていて。
その間、シャルの婚約者でなければ、シャルの好きな人なんて聞かなくて済んだのに、なんて思ったりもした。
でもそのおかげで今までシャルのいちばん近くにいることが出来た。
だから僕はもう十分なんだよ。
このまま話させてはいけない。止めないと、そう思うのに、喉が詰まったように声が出ません。
シャルのご両親にも話は通してあるし、僕の両親にも伝えている。
レオンにもシャルの気持ちは隠して色々頼んである。
だから心配しなくても大丈夫。
君の記憶に少しでも残ればいい、ってこんな手段をとる僕を許してね。
今までシャルのことを僕にしばりつけてごめん。
僕はシャルのことをずっと愛してるよ。
シャル、あなたとの婚約を破棄します
これからは自由に生きて。」
曲が終わったタイミングでちょうどよく伝えられた言葉。
会場にいる誰もがその言葉を聞くことになりました。
それでも私には、カイトが私のことを精一杯思ってくれていることが分かって、
自分の気持ちを押し殺して、私を優先しようとしているカイトが見えて、
どうしようもなく愛おしくなったんです
「ありがとう、ございます。」
カイトの想いが嬉しくて、涙まで出てしまいました。
「でも、私はカイトと婚約破棄したくないです。
婚約破棄を破棄してください。」
カイトがポカンとした顔をして固まってしまいました。
周りのざわめきは大騒ぎのレベルにまで達していそうです。
「カイト?やっぱり実は、カイトは私のことが嫌い?」
その言葉でカイトがやっと動きました。
「そんなわけが無い!
僕はシャルのことが大好きで!
でも、シャルはレオンが好きなんだろう、、?」
「ふふっ、わたしもそう思ってたんだけど、やっぱりカイトの方が好きみたい。
カイトは家族愛だって言うかもしれないけど、レオン様よりカイトの方が大事ということは絶対変わらないの。
それで許して?」
そう言って微笑むと、カイトは苦笑いをして溜息をつきました。
「僕はずっとシャルに振り回されてばっかりだよ。」
そうして私とカイトはまた婚約関係に戻り、私は死ぬまでカイトを振り回し続けました。
(カイトはシャルが死んだ後もシャルの落し物に振り回され続けたそうです。)
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