17 / 23
情愛
1
しおりを挟む
私、シャルディアは5歳の頃に親同士が仲の良かったカイトと婚約することとなりました。
お兄様のような存在であったカイトのことが私は大好きで、婚約も喜んで受け入れました。
「カイト、大好き!」
「私も好きだよ、シャル」
なんて言う会話は日常です。
毎日カイトが訪ねてきてくれるようになったことが嬉しく、婚約以前よりさらに仲良くなって、両親からも微笑ましく見守られていました。
しかし、そんな関係にヒビが入ったのは私が貴族学校高等部に入学した時です。
私は副生徒会長であったレオン様に恋をしてしまったのです。
(ちなみに生徒会長がカイトでした。)
きっかけはカイトを探しに生徒会室に行った時でした。
本来なら婚約者がいながらそんな気持ちを持つことすら許されません。
でも私はカイトと長年家族のように過ごしてきてしまったためか、カイトに気持ちを打ち明けてしまったのです。
「カイト、私ね、レオン様に恋をしてしまったの」
私はカイトを兄のように思っていました。
だからカイトも私を妹のように思っていると考えていました。
でもその考えが勘違いだったことを、私はカイトの表情を見て知りました。
「そう、なんだ。」
強ばった表情。
いつもはにこにこと微笑みながら聞いて、とても気の利いた返事をしてくれるカイト。
その歪んだ顔を一筋の涙がこぼれていきました。
言ってはいけないことを言ってしまったと理解して、青ざめてしまいました。
それから何も言えなくて、私は無言のまま部屋にかけ戻りました。
その夜は眠れなくて、なんて謝ろうって言う考えが頭の中をグルグルと回っていました。
翌日の朝、いつも通りカイトが家に迎えに来てくれました。
でもやっぱりカイトの顔を見れなくて、俯いたまま馬車に乗り込みます。
馬車が動き出して、昨日の謝罪を、と口を開こうとすると、
「シャル、昨日の件なんだけど、
ーカイトが話しだしてしまいました。
シャルがレオンのことを好きになって
しまったなら仕方がないと思う。
それでも僕は君が好きだよ。
それは変えられない。
だから僕は君のことを離したくない。
それでもそれが、君の幸せにならない
なら、「待って!」え?」
お兄様のような存在であったカイトのことが私は大好きで、婚約も喜んで受け入れました。
「カイト、大好き!」
「私も好きだよ、シャル」
なんて言う会話は日常です。
毎日カイトが訪ねてきてくれるようになったことが嬉しく、婚約以前よりさらに仲良くなって、両親からも微笑ましく見守られていました。
しかし、そんな関係にヒビが入ったのは私が貴族学校高等部に入学した時です。
私は副生徒会長であったレオン様に恋をしてしまったのです。
(ちなみに生徒会長がカイトでした。)
きっかけはカイトを探しに生徒会室に行った時でした。
本来なら婚約者がいながらそんな気持ちを持つことすら許されません。
でも私はカイトと長年家族のように過ごしてきてしまったためか、カイトに気持ちを打ち明けてしまったのです。
「カイト、私ね、レオン様に恋をしてしまったの」
私はカイトを兄のように思っていました。
だからカイトも私を妹のように思っていると考えていました。
でもその考えが勘違いだったことを、私はカイトの表情を見て知りました。
「そう、なんだ。」
強ばった表情。
いつもはにこにこと微笑みながら聞いて、とても気の利いた返事をしてくれるカイト。
その歪んだ顔を一筋の涙がこぼれていきました。
言ってはいけないことを言ってしまったと理解して、青ざめてしまいました。
それから何も言えなくて、私は無言のまま部屋にかけ戻りました。
その夜は眠れなくて、なんて謝ろうって言う考えが頭の中をグルグルと回っていました。
翌日の朝、いつも通りカイトが家に迎えに来てくれました。
でもやっぱりカイトの顔を見れなくて、俯いたまま馬車に乗り込みます。
馬車が動き出して、昨日の謝罪を、と口を開こうとすると、
「シャル、昨日の件なんだけど、
ーカイトが話しだしてしまいました。
シャルがレオンのことを好きになって
しまったなら仕方がないと思う。
それでも僕は君が好きだよ。
それは変えられない。
だから僕は君のことを離したくない。
それでもそれが、君の幸せにならない
なら、「待って!」え?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
大人な軍人の許嫁に、抱き上げられています
真風月花
恋愛
大正浪漫の恋物語。婚約者に子ども扱いされてしまうわたしは、大人びた格好で彼との逢引きに出かけました。今日こそは、手を繋ぐのだと固い決意を胸に。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる