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情愛
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私、シャルディアは5歳の頃に親同士が仲の良かったカイトと婚約することとなりました。
お兄様のような存在であったカイトのことが私は大好きで、婚約も喜んで受け入れました。
「カイト、大好き!」
「私も好きだよ、シャル」
なんて言う会話は日常です。
毎日カイトが訪ねてきてくれるようになったことが嬉しく、婚約以前よりさらに仲良くなって、両親からも微笑ましく見守られていました。
しかし、そんな関係にヒビが入ったのは私が貴族学校高等部に入学した時です。
私は副生徒会長であったレオン様に恋をしてしまったのです。
(ちなみに生徒会長がカイトでした。)
きっかけはカイトを探しに生徒会室に行った時でした。
本来なら婚約者がいながらそんな気持ちを持つことすら許されません。
でも私はカイトと長年家族のように過ごしてきてしまったためか、カイトに気持ちを打ち明けてしまったのです。
「カイト、私ね、レオン様に恋をしてしまったの」
私はカイトを兄のように思っていました。
だからカイトも私を妹のように思っていると考えていました。
でもその考えが勘違いだったことを、私はカイトの表情を見て知りました。
「そう、なんだ。」
強ばった表情。
いつもはにこにこと微笑みながら聞いて、とても気の利いた返事をしてくれるカイト。
その歪んだ顔を一筋の涙がこぼれていきました。
言ってはいけないことを言ってしまったと理解して、青ざめてしまいました。
それから何も言えなくて、私は無言のまま部屋にかけ戻りました。
その夜は眠れなくて、なんて謝ろうって言う考えが頭の中をグルグルと回っていました。
翌日の朝、いつも通りカイトが家に迎えに来てくれました。
でもやっぱりカイトの顔を見れなくて、俯いたまま馬車に乗り込みます。
馬車が動き出して、昨日の謝罪を、と口を開こうとすると、
「シャル、昨日の件なんだけど、
ーカイトが話しだしてしまいました。
シャルがレオンのことを好きになって
しまったなら仕方がないと思う。
それでも僕は君が好きだよ。
それは変えられない。
だから僕は君のことを離したくない。
それでもそれが、君の幸せにならない
なら、「待って!」え?」
お兄様のような存在であったカイトのことが私は大好きで、婚約も喜んで受け入れました。
「カイト、大好き!」
「私も好きだよ、シャル」
なんて言う会話は日常です。
毎日カイトが訪ねてきてくれるようになったことが嬉しく、婚約以前よりさらに仲良くなって、両親からも微笑ましく見守られていました。
しかし、そんな関係にヒビが入ったのは私が貴族学校高等部に入学した時です。
私は副生徒会長であったレオン様に恋をしてしまったのです。
(ちなみに生徒会長がカイトでした。)
きっかけはカイトを探しに生徒会室に行った時でした。
本来なら婚約者がいながらそんな気持ちを持つことすら許されません。
でも私はカイトと長年家族のように過ごしてきてしまったためか、カイトに気持ちを打ち明けてしまったのです。
「カイト、私ね、レオン様に恋をしてしまったの」
私はカイトを兄のように思っていました。
だからカイトも私を妹のように思っていると考えていました。
でもその考えが勘違いだったことを、私はカイトの表情を見て知りました。
「そう、なんだ。」
強ばった表情。
いつもはにこにこと微笑みながら聞いて、とても気の利いた返事をしてくれるカイト。
その歪んだ顔を一筋の涙がこぼれていきました。
言ってはいけないことを言ってしまったと理解して、青ざめてしまいました。
それから何も言えなくて、私は無言のまま部屋にかけ戻りました。
その夜は眠れなくて、なんて謝ろうって言う考えが頭の中をグルグルと回っていました。
翌日の朝、いつも通りカイトが家に迎えに来てくれました。
でもやっぱりカイトの顔を見れなくて、俯いたまま馬車に乗り込みます。
馬車が動き出して、昨日の謝罪を、と口を開こうとすると、
「シャル、昨日の件なんだけど、
ーカイトが話しだしてしまいました。
シャルがレオンのことを好きになって
しまったなら仕方がないと思う。
それでも僕は君が好きだよ。
それは変えられない。
だから僕は君のことを離したくない。
それでもそれが、君の幸せにならない
なら、「待って!」え?」
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