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狂愛

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 大好きな子がいた。
 同じクラスの女の子。
 最初は友達として好きなんだと思ってたけど、恋愛感情があることに気づいた。
 でも、絶対気づかれちゃいけなかった。
 だって、私も女だから。
 1番仲良くて、いつも一緒に行動してた。
 離れたくなくて、ずっと着いて回った。
 「うっとうしい」って何回も言われた。
 それでも、同じ景色を見たくて、同じ会話をしたくて、ずっと一緒にいた。
 席替えはあみだくじに細工して毎回前後の席になるようにした。
 絶対私が前。
 その方が後ろを見た時必ず顔を見れるから。
 私が後ろだったら、振り返ってもらわないといけない。
 ずっと姿を見れるのは嬉しいけど、顔を見たい。
 保体でペアを組む時は必ず一緒に組んだ。
 チーム戦でも一緒になれるように、ジャンケンは気をつけた。
 あの子が負けたら負けるように、勝ったら勝つように。
 1番近くでサポートがしたかった。
 失敗して敵チームになった時に、勝負をするのも楽しかった。
 私は運動出来ないから、他の人は手加減してくるのに、あの子だけは全力でぶつかってきてくれた。

 あの子の目に、手に、足に、声に、空気に、欲情した。


 隠すのは不可能だった。
 どうしても態度に出てしまうのが自分でもわかった。
「盗聴器仕掛けたい」
「ずっと一緒にいたい」
「ストーカーするなら○○だけ」
「○○が死んだら、私この世にいる理由がないや」
 こんなことを実際に言ったこともある。
 あの子は全部冗談にして、「きっしょw」「ストーカーやんw」なんて言ってたけど、本当にストーカー1歩手前のこともしていた気がする。
 授業中もずっと後ろ見て、昼休みも全部着いて回って、トイレもドアの前で待ってた。
 あの子が書いたメモやくれたものは全部保存してて、隠し撮りも大量にスマホに入ってる。
 愛なのか、依存なのか、自分でも分からなくなっていた。
 あの子は病気で、月に1回検診で学校を休んだ。
 寂しくて、帰りたくて、でもあの子のためにノートをとらなきゃと、その一心だけで学校に通った。
 あの子にノートを見せるのは私でありたかった。

 私はすでに、あの子なしで生きられなくなっていた。


 そして、中三の1月になってしまった。
 もうすぐ卒業。
 でも私はあの子から離れたくなかった。
 私の志望校に十分の学力があの子にはあった。
 だからきっとあの子はその高校を志望してくれると思っていた。
 それなのにあの子はそれより2ランク下げた高校を志望するといった。
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