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佐々木の言葉に俺と稔は顔を見合わせた。


「「はい??」」



俺は今昴のバイトの終わりを見計らって昴の家の近くの路地まで歩いていた。
佐々木が言うには俺が昴の帰りを待ち伏せして、ストーカーに後をつけられてるから助けてほしいと言えば大丈夫だと言われたけど…。


「はぁ…本当にこんなんで大丈夫なわけ?昴が逃げていく未来しか想像できないんだけども」


俺はパーカーのフードを深く被り、サングラスをかけているため確実に怪しい人だ。なんならお前がストーカーなんじゃないの?って疑われるレベル。
こんな姿で話しかけても昴はちゃんと返事してくれるのか心配だなー。

噂をすれば昴がこちらに歩いてくる姿が見えた。
はぁー話しかけてみるかな、昴の反応が気になりつつも知らない人ですという雰囲気で昴に声をかけたのだった。



「今も後つけられてるんですか?」


「うーん、どうだろう、後ろを振り向く勇気がないかな…」


結論、昴と会話する事には成功した。しかもこんなに怪しい人を家に泊めてくれるらしい。

そんな簡単に知らない人を家に招く昴が心配なんだけど。
…いや、家に泊まるのが今回俺だったからよかったけど本当に怪しい人泊めたりして襲われたらどうするわけ?って言いたくなった。
しかも手料理何が食べたい?と聞くとハンバーグって。
うん、可愛いよ、可愛いんだけどね?自分から言い出してなんだけど知らない人の手料理を疑わずに食べたら危ないでしょ。媚薬とか入ってたらどうするの。

はぁ…危機感がない昴は俺が守らないとだよね。そう思いながら俺はコンビニでハンバーグの材料とデザートを購入した。


「ここが僕の家です。狭いけど我慢してくださいね」


「お邪魔します」


昴に案内されて部屋へと入る。へぇ~昴の部屋番号は201ね、覚えとこ。

さて昴の部屋に泊めてもらえることになってるしハンバーグも作らないといけないからそろそろ俺の正体を明かそうかな。
ついでに自己紹介しないとだね。

俺はフードを脱ぎ、サングラスを外すと、とびきりの笑顔を忘れず昴に挨拶をした。


「初めまして、俺は宇都宮春兎です」


「…えっ」


俺の姿を見た昴はビックリして目を見開き固まってしまった。それから両手で顔を隠し、えっえっえぇ!?っと1人パニックになりながら叫んでいた。

ふふふ、1人でパニックになってる昴も可愛い。顔隠しちゃって。指の隙間からこっち見てるのバレてるよ?


「春兎って呼んでね。春兎だよ?言ってみて?」


「は、はははりゅと」


「うーん、違うよ、春兎だよ?」


「はる、はりゅと」


はぁー何その呼び方、可愛すぎ。はるまで言えて緊張しすぎてはりゅとって噛んじゃう昴が可愛すぎて辛い。
そういえば今日バイト先に行った時も噛みながら接客してくれたっけ?「カヒェ…オレです」って顔真っ赤にして手渡しでお釣りをくれたから思わず昴の手をギュッて握っちゃった。

驚いた昴の肩がビクってなってたのも可愛かったなー。
可愛すぎてついいじめたくなっちゃうけど俺の本性出しすぎると昴逃げちゃいそう。
とりあえず人好きのする笑顔を浮かべた。

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