推しを眺めていたら推しが近づいてきた

かしあ

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それから何度か昴と接触を試みようと行動してみるも俺が近づく度昴は逃げていく。
昴の前で物を落とせば人を経由して俺の元に届くし、同じ講義で昴の隣を座れば話しかける前に教室から出ていってしまった。

俺もしかして避けられるほど嫌われてる?と一瞬思ったが相変わらず遠くから昴に見られている視線は感じる。

うーん、どうしたら昴との距離が縮むだろうか。そもそも俺を見てるのに俺が近づくと逃げるって何?俺は試されてる?


「ねぇ、どうしたらいいと思う?稔」


ちょうど俺の前に歩いていた幼なじみを捕まえて食堂で昼ごはんを食べている。

女共が寄ってこないよう席は壁側だ。ちなみにこの席に座るとたま~に昴の顔が見える、たまにね。今日はいないけど。


「ん?何が?」


「昴の事。2ヶ月も経つのに未だに会話すらできないなんて俺自身ビックリなんだけど」


「あー春兎が近づくと高城が逃げるもんな」


「それ、どうにかして逃げないようにしたいんだけどこれといっていいアイディアが浮かばないし…稔なんかない?」


「んー男同士の恋愛なら同じゼミのアイツが詳しいぞ。腐女子で有名な佐々木」


「いや、名前だけ言われても知らないし」


「えー残念な美人って言われてんのも春兎知らんの?」


「知らないし興味ない」


俺が興味あるのは昴だけ。こんなに執着するのも昴だけ。
昴の存在が俺の欲求を満たしてくれる。はぁー早く俺の昴に会いたい。今日はまだ大学で一度も姿を見かけていない。


「おいおい、心の声ダダ漏れだぞ?落ち着け春兎。高城はまだお前のものじゃないしなんならお互い初対面だろ」


「うるさい、そのうちなる予定だから俺の昴でいいんだよ」


「すっごい独占欲だな。お前の独占欲を察して高城は逃げてんじゃないか?」


「なに?俺に喧嘩売ってる?」


「なになに宇都宮君って高城君の事好きなの??」


俺と稔の会話に急に入ってきた女に眉を寄せる。

誰こいつ、初対面なのに馴れ馴れしく話しかけないでほしいんだけど。
めんどくさい奴に絡まれた…と俺が思っていると稔の知り合いみたいだ。仲良さげに2人で話している。


「ごめんな佐々木、急に呼び出して」


「全然大丈夫!!爽やか王子の初恋なんでしょ??全力で応援しなきゃだよね!!宇都宮君×高城君とか最高なカップリングだ思う!!やっぱり受けは高城君だよね??あ、でも普段ホワホワしてる高城君が夜の時だけ男になって宇都宮君を攻めるリバでもありかもしれない!!どっちでもいける!!」


俺の方を向いて手をグーにして親指を立てている女がさっき稔の言っていた腐女子の佐々木らしい。

馴れ馴れしいな…俺の苦手なタイプだ。しかも後半興奮気味で意味わかんない言葉を言われ思わず顔が引きつった。
それに気づいた稔がすかさずフォローしてくれる。


「あーでな佐々木、春兎が高城と会話するきっかけがほしいみたいなんだが、高城が逃げずに春兎と話してくれる方法なんかないか?」


「あ、それなら宇都宮君が誰かにストーカーされてるから助けてほしいって言うのはどうかな??」

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