推しを眺めていたら推しが近づいてきた

かしあ

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「昴?」


「な、なんでもないよ宇都宮君!僕の見間違いだったみたい」


そうだよ、最初から女の人なんて居なかったんだ。うん、そういう事にしておこう!じゃないとストーカーより幽霊の方がこわいよ…。


「そう?ならいいけどバイトもう終わったの?」


「う、うん、今日は助っ人で出勤しただけだから早めに上がらせてもらえたんだ~」


「そっか。お疲れ様」


宇都宮君がポンポンと頭を撫でてくれた。
はぅ…推しからの頭ポンポン嬉しいです、今日は頭洗えない。


「あ、そうだ昴。夜ご飯まだなら俺の家で一緒に食べない?最近引っ越したばかりで少し散らかってるけど…」


「へ!?」


そ、それはつまり宇都宮君の新築にお呼ばれ!?そんな僕なんかが推しの聖域にお邪魔するなんて…いいのだろうか??


「遠慮しなくていいよ、バイト終わって疲れてるでしょ?ちょうど1人分多く作ってたんだ昴も食べてって」


何も答えない僕の手を繋いで歩きだす宇都宮君。

ふぇ!?ゆ、指と指を絡めて繋ぐのはもはや恋人繋ぎでは!?僕と宇都宮君はそんな関係じゃないのに恋人繋ぎなんて…推しのファンサに涙でそう。今日は手も洗えないよー。


「着いたよ、ここが俺の家」


「ほぇ…僕の家とわりと近いんだね、お邪魔します」


僕の家から歩いて五分ぐらいのとこに宇都宮君のアパートがあった。
ふぁー新築の匂いがする。部屋の中も広かくて荷解きされていないダンボール箱が2つあるだけで他はきちんと整理整頓されていた。
推しは部屋まで綺麗だ…どうしよう、僕がいることによって部屋の中が汚染されてそうで心配だ。
落ち着かなくて立ったまま辺りをキョロキョロしているとキッチンからいい匂いがした。


「何してるの?そこのソファ座っていいんだよ?」


「は、はい」


思わず敬語になり、宇都宮君から許しをもらったソファに正座で座った。


「ふふふ、なんで正座?緊張してる?そんな昴にはい、カルボナーラ。食べたいって言ってたでしょ?」


「ふぁ~美味しそう!!」


「あとオニオンスープもあるよ。冷めないうちに食べちゃおっか」


「ありがとう宇都宮君、いただきます!!」


カルボナーラがあまりにも美味しそうだったので緊張なんかどこかに吹き飛び、カルボナーラを食べ始める。
ふわぁ~ソースが濃過ぎないから無限に食べれる気がする~美味しい!!

おかわりもあるよと言われたので僕は遠慮なくおかわりをして宇都宮君の手料理を堪能したのだった。


ご飯を食べた後は宇都宮君とアイスを食べながらソファで他愛もない話をして楽しでいたんだけど…なんだろう、ちょっと眠たくなってきた。

うとうとしている僕に気づいた宇都宮君が毛布をかけてくれた。


「昴、眠たいの?」


「うーん、少しだけ…」


「寝てもいいよ?バイト疲れたでしょ」


「うーん、でも僕家帰らなきゃ…」


「とま…て……なよ」


ううーん、宇都宮君が何か言っているのに眠たくて僕の頭が働いてくれない。
推しに返事しないといけないのに…起きろ~僕!!頬をパンパンと軽く叩いたが効果がない。
うぅ…ダメだ、だんだん目が開かなくなってきた…。

そして僕はソファの上で意識を失った。

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