推しを眺めていたら推しが近づいてきた

かしあ

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さすがにゾワッとした。なぜ2日前僕が大学を休んだことを知ってるんだろうって。
しかも僕のバイト先まで知られている。

僕何か恨まれてるのかな…。この写真送ってくる人に何かしちゃったとか?
うーん、図書室の本とれなくてぴょんぴょんしてたら通りかかった人にぶつかった時?
それともバイト中に転んでドリンクお客さんにぶちまけちゃった時かな??

…色々とやらかしてて恨まれる要素しかない。


「どうした?何かあったのか?」


将人が心配そうな顔で僕を見ていた。うーん、将人に相談してもいいのか迷うなー。


「…もしかして誰かに隠し撮りされてんのか?」


「…そのまさかです」


言うか言わないか悩んでいたら将人に言い当てられた。


「まぢか…昴ストーカーされてんの?」


「ストーカー?え、これストーカーされてる事になるの?…でも僕だよ?」


「でも隠し撮りされてんだろ?それ家に送られてきたりしてんだろ?」


「え、すごい将人、話してないのによく分かるね!」


将人も宇都宮君と同じでエスパーだったのか!将人に全部言い当てられて僕はビックリだよー。
思わず拍手をした。


「拍手してる場合じゃないぞ昴。ストーカーされてんぞ」


「うーん、そうなのかなーでも写真だけだし、僕がやらかして恨まれてる可能性の方がしっくりくるんだよね…」


「好意だけじゃなくて嫌悪する相手にもストーカーになる奴いるらしいぞ」


「え、それ本当??じゃあ僕をストーカーしている人は僕に対して嫌悪する相手?」


「いや…どうだろ…好意かもしれんぞ?(隠し撮りされてるって事は明らかに好意…だよな?)」


「いや、好意はないよー」


ないない、こんな平凡な僕をストーカーなんてしたってメリットないじゃんー。
キラキライケメンの宇都宮君ならわかるけど。あ、そういえば宇都宮君、ストーカーされてるって言ってたけどあれから大丈夫なのかな??

僕は将人の言葉を無視して持っていたチョコを食べはじめた。
すると急に視界が真っ暗になる。というより誰かに目を覆われている?


「だーれだ?」


急に背後から聞こえてくる声に僕の体は固まる。


「う、うう宇都宮君!?」


「正解~昴僕の声よく分かったね!」


そ、そりゃあ~僕の推しだもん、間違えるわけにはいかない。

気づいてもらえた事がよほど嬉しかったのか宇都宮君は笑顔でよしよしと僕の頭を撫でて、後ろから抱きしめてきた。

ふわぁ!!椅子越しに抱きしめられているとはいえこの距離だと宇都宮君の香水の香りが…バレない程度にクンクンと嗅ぐ。
今日は柑橘系の香りみたい、いい匂い。


「昴?今日の講義終わったよね?僕と一緒に帰らない?」


ぼけーっとしていた僕の顔を覗き込んで上目遣いで見てくる宇都宮君は絶対確信犯だと思います。とりあえず直視はできないため顔を隠す。


「う、うん。わかった」


「じゃあ、帰ろっか。昴連れてくね~三島」


何か言いたげな将人は宇都宮君と僕の方を交互に見ていたが諦めて溜息をつく。そして早く行けと言わんばかりにヒラヒラと手を振っていた。


「バイバイ将人」


「じゃあな昴」


将人に別れを告げ、僕は宇都宮君と食べ歩きをしながら家まで帰ったのだった。

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