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「お疲れ様でした~」
バイトも終わり、今日一日を振り返りながら真っ暗な夜道を上機嫌で歩く。
今日はついてる日だった。
「ふふふ、講義だけじゃなくてバイト先でも会っちゃった~」
そうなのだ、なんとなんと僕が働いているカフェに宇都宮君が来たのだ!!
彼はカフェオレを頼んで1人静かに窓際の席に座っていた。
ちょうどレジ担当だった僕は宇都宮君との初会話にドキドキしすぎて所々噛みながらの対応しかできなかったけど…。
だってだって推しだよ!?推しとの初会話なんて誰だって緊張するよね!?
嬉しすぎて失神しそうになったけどバイト中だった事を思い出して耐えた僕を誰か褒めてほしいぐらいやばかった!!
お釣りを渡した時なんて手が触れちゃってプチパニックだったし。
あと髪の毛なのか洋服なのかわからないけど宇都宮君からふわっと香ったシトラスの匂い。
「いい匂いだった…香水?それとも柔軟剤なのかな?」
どっちかわからないけどやっぱモテる人は香りからも普通とは違った。
さすが僕の推し、匂いまでも完璧!!
そんなこんなで僕は今日1日の幸せをかみしめながら家へと帰る途中、事件は起きた。
「あ、そこの君、ちょっと匿ってくれないかな?」
「…え?僕ですか?」
突然パーカーのフードを深く被ってサングラスをし、顔を隠している背の高い男の人に声をかけられた。
しかも電柱に隠れてこちらに手招きをしている…明らかに怪しい人だ。
「そうそう君、申し訳ないんだけど助けてくれないかな?」
「…どうかされたんですか?」
とりあえず僕は声を掛けられたので怪しいと思いつつその人に近づくことにした。
決して怪しい人の声が宇都宮君に似てるなと思ったからではない、いや少し似てるなって思ったけど。
「誰かに後をつけられているみたいなんだ…」
「え?それってストーカーですか?」
「そうみたい、実は今日も後をつけられてて…」
なるほどなるほど聞けば聞くほど宇都宮君の声に似ている怪しい人は誰かにストーカーされているらしい。
え、こわすぎ…警察に相談した方がよさそうだよね??
「警察に相談しても男だからってとりあってくれなかったんだ、申し訳ないんだけど今日君の家泊まれたりするかな?」
「へ?家ですか??いいですけど…?」
宇都宮君の声に似ているからという理由で何も考えずに答えた僕に怪しい人は一瞬黙り込んだ。
そしてその数秒後、僕の両手は怪しい人に包み込まれていた。
「ありがとう、君のおかげで今日は安心して眠れるよ」
そう言って顔は隠れて見えていないが笑顔を見せてくれているであろう怪しい人からは宇都宮君みたいにキラキラしたオーラが見えた。
…うん、きっと宇都宮君と声が似ているからそういうふうに思ってしまったのかもしれないだけだよね?
バイトも終わり、今日一日を振り返りながら真っ暗な夜道を上機嫌で歩く。
今日はついてる日だった。
「ふふふ、講義だけじゃなくてバイト先でも会っちゃった~」
そうなのだ、なんとなんと僕が働いているカフェに宇都宮君が来たのだ!!
彼はカフェオレを頼んで1人静かに窓際の席に座っていた。
ちょうどレジ担当だった僕は宇都宮君との初会話にドキドキしすぎて所々噛みながらの対応しかできなかったけど…。
だってだって推しだよ!?推しとの初会話なんて誰だって緊張するよね!?
嬉しすぎて失神しそうになったけどバイト中だった事を思い出して耐えた僕を誰か褒めてほしいぐらいやばかった!!
お釣りを渡した時なんて手が触れちゃってプチパニックだったし。
あと髪の毛なのか洋服なのかわからないけど宇都宮君からふわっと香ったシトラスの匂い。
「いい匂いだった…香水?それとも柔軟剤なのかな?」
どっちかわからないけどやっぱモテる人は香りからも普通とは違った。
さすが僕の推し、匂いまでも完璧!!
そんなこんなで僕は今日1日の幸せをかみしめながら家へと帰る途中、事件は起きた。
「あ、そこの君、ちょっと匿ってくれないかな?」
「…え?僕ですか?」
突然パーカーのフードを深く被ってサングラスをし、顔を隠している背の高い男の人に声をかけられた。
しかも電柱に隠れてこちらに手招きをしている…明らかに怪しい人だ。
「そうそう君、申し訳ないんだけど助けてくれないかな?」
「…どうかされたんですか?」
とりあえず僕は声を掛けられたので怪しいと思いつつその人に近づくことにした。
決して怪しい人の声が宇都宮君に似てるなと思ったからではない、いや少し似てるなって思ったけど。
「誰かに後をつけられているみたいなんだ…」
「え?それってストーカーですか?」
「そうみたい、実は今日も後をつけられてて…」
なるほどなるほど聞けば聞くほど宇都宮君の声に似ている怪しい人は誰かにストーカーされているらしい。
え、こわすぎ…警察に相談した方がよさそうだよね??
「警察に相談しても男だからってとりあってくれなかったんだ、申し訳ないんだけど今日君の家泊まれたりするかな?」
「へ?家ですか??いいですけど…?」
宇都宮君の声に似ているからという理由で何も考えずに答えた僕に怪しい人は一瞬黙り込んだ。
そしてその数秒後、僕の両手は怪しい人に包み込まれていた。
「ありがとう、君のおかげで今日は安心して眠れるよ」
そう言って顔は隠れて見えていないが笑顔を見せてくれているであろう怪しい人からは宇都宮君みたいにキラキラしたオーラが見えた。
…うん、きっと宇都宮君と声が似ているからそういうふうに思ってしまったのかもしれないだけだよね?
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