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Eternal Rain ~僕と彼の場合~外伝
Eternal Rain ~俺と彼の場合~⑨
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明朝、一張羅のリクルートスーツを
着て準備をしていた俺に
あいつはなんだか高級そうな
生地のフォーマルスーツを
差し出してこれを着て!と言った。
[は?なんだ、これ。]
【これ素敵でしょ?
寛、似合うと思うんだ~!
俺の見立てに間違いはない!
ほら、脱いで!】
無理矢理脱がされる俺は
しばらく抵抗したが
観念してその妙に
テラテラ光ったスーツに袖を通す。
天士はすでにフォーマルスーツを
身に纏っていた。
スタイルもよくて端正な顔立ちの
そのいでたちはとても品があって
似合っている。
いっぽう鏡にうつった俺ときたら。
似合わねぇ…キモ……。
なのにあいつは甘い声を出し
似合う、と言う。
そして抱きつきキスしていい?と
聞いてきた。
俺は心臓が跳ね上がり
ドキドキが増していく。
していいわけないだろっ!と
怒鳴りつつも熱くなる顔。
キスなんてしたことないのも
バレバレで天士は俺とが
ファーストキス?とのたまい
満面の笑顔を見せる。
俺はそうなったらいいな…、と
思いながら悪態をついた。
車に乗りチャペルに向かう車の中で
俺はやっと思い当たる。
あの時、服の採寸は
このためだったのか…
最初からあいつは俺に
フォーマルを着せるつもりで…。
そして靴もこれに合うように
選んだんだ…。
[おい、この服代も請求してくれよ?]
天士は困ったような顔をした。
【俺からのプレゼントだから。】
[おまえ、人に金使いすぎだ!
バカじゃねぇの?
弁護士は儲かるかもしんねぇが…
自分で儲けた金、自分のために使え!]
【うん。俺のために使ったよ。
寛にそれを着せたい俺のために。
だから。いいだろ?】
[っ…馬鹿野郎!もうそんなこと
しなくていいからなっ!]
【俺はいつでも俺のために
俺のお金を使う。だから俺が
プレゼントしたら
快くうけとってくれ。】
[おま…ば、バカじゃねぇの?
………ありが、とう。]
ふふふ、と天士は嬉しそうに笑った。
チャペルに到着して
礼拝堂の椅子に2人で腰かける。
【綺麗だねぇ…】
瞳をキラキラさせて
周りを見渡す天士。
俺はその横顔にみとれて
ボーッとしていた。
【寛?栄醐たち遅いなぁ…
ちょっと見てきてくれる?】
[あ、ああ。行ってくる。]
案内図を見ると控え室がある。
ここかな?と思い
そちらのほうに向けて歩きだした。
「……だめ、だよ…」
ん?星斗の声?
そちらのほうへ向かう。
そしてそこで繰り広げられていた
光景に俺は固まってしまった…。
「………あ…んむっ……んぅ…。
んあっ…んん…。」
星斗と咲鞍さんがキスしてる。
それも…あんな……。あんなキス…。
なんなんだ?あれ…。
ぱっ、と星斗が咲鞍さんの腕から
逃げてこっちを向いて…。
真っ赤な顔で今の見てた?と問う。
謝って慌てて戻ってきた。
どうしよう…体が熱い。
あんな…あんな…。
キスってあんな、の?
慈しむように蕩けた表情で
相手だけを見つめ…
唇や舌を食みあう…。
【寛?どうした?】
俺の足音に気づいた天士が
こちらに歩いてくる。
[く、来るな…]
【えっ!どうしたの?
そんな真っ赤な顔して?
え?熱でもある?】
額を触ってこようとする
天士の手を俺は
払いのけてしまった。
[な、なんでもねぇ!ほっとけ!]
【………。はい、お水。】
あいつは少し悲しい顔をして
ペットボトルを差し出し
また席に戻っていった。
俺はゆっくり天士の隣に座り
水を飲む。
[ご、ごめん。熱、あるわけじゃ
ない、んだ。大丈夫だから。]
【うん。】
あいつは微笑んで
あ、そうだ、結婚行進曲
流せるように準備しとかなきゃ、と
スマホを開いた。
カチャ。
扉が開く音と共に
天士が結婚行進曲を流す。
咲鞍さんと星斗が
純白のスーツに身を包み
手をしっかりと繋ぎ
祭壇のほうへとゆっくりと
歩いてきて向かい合う。
俺はもう感極まっていた。
星斗の幸せそうな顔に
泣きそうだ…。
天士は満面の笑み。
曲が終わり静けさが戻ってくると
2人は誓いの言葉を宣言しあって…
誓いのキスをする。
星斗は一筋の涙を流した。
それがとても綺麗で…。
咲鞍さんも愛おしそうに
その涙を拭う。
天士が養子縁組の手続きが
終わったことを告げると
星斗は咲鞍さんに抱きついて
涙を流しまたあのキスをした。
その様子に俺は嗚咽した。
よかった…星斗が幸せそう…。
俺の肩に手を置いてくれたあいつの
胸で思いきり泣いた。
あいつに頭を撫でてもらって…。
本当に星斗の幸せが嬉しくて…。
結婚っていいもんだな、という
あいつの言葉にも素直に頷いていた。
だが…あいつから……
俺たちも結婚しようと
言われたとき頭が真っ白で…
なんか柔らかいものが
俺の唇に当たって…
ぬるっと生温かいものが
口ん中に入ってかき混ぜられた。
キスをされたんだ…。
俺のファーストキス…
天士…天士が…。
脳が追い付く暇もなく
あいつが誓いの言葉を言う。
ちゃんとフルネーム
言ってくれなかった…
それだけが俺の頭を支配した。
悲しかった。
俺は全身が震えてしかたなくて…
星斗が手を握ってくれて
少しだけ本音を言えた。
でも全部は言うことは
できずにいるとそのままの寛で
俺の横にいてくれたら
もう俺は他になにもいらない、と
言った天士が
俺のフルネームを言って
結婚を前提に付き合ってくださいと
のたまう。
俺は悪態をつきながらも
やっとのことでよろしく頼む、の
言葉が出た。
その後咲鞍さんと星斗の
指輪の交換が行われて…。
俺と天士は初めて
お互いに意識して手を繋いだ。
今、俺は咲鞍さんの別荘からの帰り道
あいつが運転する車の助手席で
ずっと無言で外を眺めていて…。
気まずい雰囲気が流れている中
家の駐車場に着いた。
俺は意を決して…でも顔は見れずに
視線をはずしたまま話しかける。
[………あれ。本気、なのか?]
【ん?】
[け、っこん前提って、やつ。]
【ああ。本気。もちろん。】
[おとこどうし、だぜ?]
【今はパートナーシップの
制度も始まってきてる。】
[そういうことじゃなくて…
おまえは子供、欲しくない、のか?]
【俺はいらない、と思ってる。
正直親になれる気がしないし…。
…でも、寛は子供、ほしいのか…。】
[正直…。わからない。]
【そう…か…………。】
そう言ったっきり天士は
黙ってしまった。
俺は沈黙にたえられずに
恥をしのんで呟く。
[俺…。さ…っき、の…
ファ、ーストキ、ス…頭真っ白で
よ、く覚えてねぇ、んだ…。
だから…今、してく、れよ…。]
【えっ!】
俺はやっとのことで
あいつの顔を見た。
天士は真っ赤になって
固まっている。
【……………っつ…。寛。】
あいつの両手が俺の肩に伸びて
ガシッと掴んできた。
こころなしか震えているようにも
思える。
俺を見るあいつの熱い眼差し。
目からだんだんと目線が
下に降りて唇を見ている。
その熱にうかされたような
蕩けた顔にドキドキする。
天士の綺麗な顔が近づいてきた。
お互いにゴクっ、と喉をならす。
ちゅ、と唇を重ねたあと
離れて俺の目を見る天士。
そして深く下唇に吸いついてきた。
着て準備をしていた俺に
あいつはなんだか高級そうな
生地のフォーマルスーツを
差し出してこれを着て!と言った。
[は?なんだ、これ。]
【これ素敵でしょ?
寛、似合うと思うんだ~!
俺の見立てに間違いはない!
ほら、脱いで!】
無理矢理脱がされる俺は
しばらく抵抗したが
観念してその妙に
テラテラ光ったスーツに袖を通す。
天士はすでにフォーマルスーツを
身に纏っていた。
スタイルもよくて端正な顔立ちの
そのいでたちはとても品があって
似合っている。
いっぽう鏡にうつった俺ときたら。
似合わねぇ…キモ……。
なのにあいつは甘い声を出し
似合う、と言う。
そして抱きつきキスしていい?と
聞いてきた。
俺は心臓が跳ね上がり
ドキドキが増していく。
していいわけないだろっ!と
怒鳴りつつも熱くなる顔。
キスなんてしたことないのも
バレバレで天士は俺とが
ファーストキス?とのたまい
満面の笑顔を見せる。
俺はそうなったらいいな…、と
思いながら悪態をついた。
車に乗りチャペルに向かう車の中で
俺はやっと思い当たる。
あの時、服の採寸は
このためだったのか…
最初からあいつは俺に
フォーマルを着せるつもりで…。
そして靴もこれに合うように
選んだんだ…。
[おい、この服代も請求してくれよ?]
天士は困ったような顔をした。
【俺からのプレゼントだから。】
[おまえ、人に金使いすぎだ!
バカじゃねぇの?
弁護士は儲かるかもしんねぇが…
自分で儲けた金、自分のために使え!]
【うん。俺のために使ったよ。
寛にそれを着せたい俺のために。
だから。いいだろ?】
[っ…馬鹿野郎!もうそんなこと
しなくていいからなっ!]
【俺はいつでも俺のために
俺のお金を使う。だから俺が
プレゼントしたら
快くうけとってくれ。】
[おま…ば、バカじゃねぇの?
………ありが、とう。]
ふふふ、と天士は嬉しそうに笑った。
チャペルに到着して
礼拝堂の椅子に2人で腰かける。
【綺麗だねぇ…】
瞳をキラキラさせて
周りを見渡す天士。
俺はその横顔にみとれて
ボーッとしていた。
【寛?栄醐たち遅いなぁ…
ちょっと見てきてくれる?】
[あ、ああ。行ってくる。]
案内図を見ると控え室がある。
ここかな?と思い
そちらのほうに向けて歩きだした。
「……だめ、だよ…」
ん?星斗の声?
そちらのほうへ向かう。
そしてそこで繰り広げられていた
光景に俺は固まってしまった…。
「………あ…んむっ……んぅ…。
んあっ…んん…。」
星斗と咲鞍さんがキスしてる。
それも…あんな……。あんなキス…。
なんなんだ?あれ…。
ぱっ、と星斗が咲鞍さんの腕から
逃げてこっちを向いて…。
真っ赤な顔で今の見てた?と問う。
謝って慌てて戻ってきた。
どうしよう…体が熱い。
あんな…あんな…。
キスってあんな、の?
慈しむように蕩けた表情で
相手だけを見つめ…
唇や舌を食みあう…。
【寛?どうした?】
俺の足音に気づいた天士が
こちらに歩いてくる。
[く、来るな…]
【えっ!どうしたの?
そんな真っ赤な顔して?
え?熱でもある?】
額を触ってこようとする
天士の手を俺は
払いのけてしまった。
[な、なんでもねぇ!ほっとけ!]
【………。はい、お水。】
あいつは少し悲しい顔をして
ペットボトルを差し出し
また席に戻っていった。
俺はゆっくり天士の隣に座り
水を飲む。
[ご、ごめん。熱、あるわけじゃ
ない、んだ。大丈夫だから。]
【うん。】
あいつは微笑んで
あ、そうだ、結婚行進曲
流せるように準備しとかなきゃ、と
スマホを開いた。
カチャ。
扉が開く音と共に
天士が結婚行進曲を流す。
咲鞍さんと星斗が
純白のスーツに身を包み
手をしっかりと繋ぎ
祭壇のほうへとゆっくりと
歩いてきて向かい合う。
俺はもう感極まっていた。
星斗の幸せそうな顔に
泣きそうだ…。
天士は満面の笑み。
曲が終わり静けさが戻ってくると
2人は誓いの言葉を宣言しあって…
誓いのキスをする。
星斗は一筋の涙を流した。
それがとても綺麗で…。
咲鞍さんも愛おしそうに
その涙を拭う。
天士が養子縁組の手続きが
終わったことを告げると
星斗は咲鞍さんに抱きついて
涙を流しまたあのキスをした。
その様子に俺は嗚咽した。
よかった…星斗が幸せそう…。
俺の肩に手を置いてくれたあいつの
胸で思いきり泣いた。
あいつに頭を撫でてもらって…。
本当に星斗の幸せが嬉しくて…。
結婚っていいもんだな、という
あいつの言葉にも素直に頷いていた。
だが…あいつから……
俺たちも結婚しようと
言われたとき頭が真っ白で…
なんか柔らかいものが
俺の唇に当たって…
ぬるっと生温かいものが
口ん中に入ってかき混ぜられた。
キスをされたんだ…。
俺のファーストキス…
天士…天士が…。
脳が追い付く暇もなく
あいつが誓いの言葉を言う。
ちゃんとフルネーム
言ってくれなかった…
それだけが俺の頭を支配した。
悲しかった。
俺は全身が震えてしかたなくて…
星斗が手を握ってくれて
少しだけ本音を言えた。
でも全部は言うことは
できずにいるとそのままの寛で
俺の横にいてくれたら
もう俺は他になにもいらない、と
言った天士が
俺のフルネームを言って
結婚を前提に付き合ってくださいと
のたまう。
俺は悪態をつきながらも
やっとのことでよろしく頼む、の
言葉が出た。
その後咲鞍さんと星斗の
指輪の交換が行われて…。
俺と天士は初めて
お互いに意識して手を繋いだ。
今、俺は咲鞍さんの別荘からの帰り道
あいつが運転する車の助手席で
ずっと無言で外を眺めていて…。
気まずい雰囲気が流れている中
家の駐車場に着いた。
俺は意を決して…でも顔は見れずに
視線をはずしたまま話しかける。
[………あれ。本気、なのか?]
【ん?】
[け、っこん前提って、やつ。]
【ああ。本気。もちろん。】
[おとこどうし、だぜ?]
【今はパートナーシップの
制度も始まってきてる。】
[そういうことじゃなくて…
おまえは子供、欲しくない、のか?]
【俺はいらない、と思ってる。
正直親になれる気がしないし…。
…でも、寛は子供、ほしいのか…。】
[正直…。わからない。]
【そう…か…………。】
そう言ったっきり天士は
黙ってしまった。
俺は沈黙にたえられずに
恥をしのんで呟く。
[俺…。さ…っき、の…
ファ、ーストキ、ス…頭真っ白で
よ、く覚えてねぇ、んだ…。
だから…今、してく、れよ…。]
【えっ!】
俺はやっとのことで
あいつの顔を見た。
天士は真っ赤になって
固まっている。
【……………っつ…。寛。】
あいつの両手が俺の肩に伸びて
ガシッと掴んできた。
こころなしか震えているようにも
思える。
俺を見るあいつの熱い眼差し。
目からだんだんと目線が
下に降りて唇を見ている。
その熱にうかされたような
蕩けた顔にドキドキする。
天士の綺麗な顔が近づいてきた。
お互いにゴクっ、と喉をならす。
ちゅ、と唇を重ねたあと
離れて俺の目を見る天士。
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