Eternal Rain ~僕と彼の場合~

勇黄

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零雨

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「え…ご……。助けて…」








星斗せいとに声をかけた男は
ツカツカと歩み寄ってきて
星斗せいとにつかみかからんばかりに
手を伸ばした。












星斗せいと!探したんだぞ?]










「嫌!」










栄醐えいごは盾になり星斗せいと
自分の後ろに隠し言った。











『おい!誰か知らないが
怖がってるからやめろ。』










[おっさん、なんなんだよ!
俺は星斗せいとを子供の頃から
知ってるんだ!おっさんこそ!
誘拐したんじゃねぇのか!?]










かん!!栄醐えいごはそんなんじゃない!」









[4年前おまえが突然消えて
俺がどんだけ心配したか!]










「なに言ってるんだ!
僕を売ったくせに!」











[売っ、た??なに言って…]










「あの時…僕が17歳のあの時
かんがアイツに僕を
売り渡したんでしょ!」










[ちょ、待て!なに言ってるの?]










「僕はあの時さらに売られて…
わぁぁぁ!」











星斗せいと栄醐えいごの背中に
抱きつき泣き出した。











[…おい。今なんつった?
俺が?星斗せいとを売り渡す?
そんなことするわけないよ!
さらに売られて?なに言ってんだ!]










『ちょっと待て。おい、おまえ…
かん、と言ったか?
怒鳴らないで話してみろ。

星斗せいと。大丈夫だから。な。』









怯えるように首をふり栄醐えいご
背中にぎゅっと抱きつき動かない
星斗せいとを宥めるように
手を握って落ち着かせ
栄醐えいごかんに話しかける。











『どういうことだ?』










[それよりおっさんは誰なんだ?
星斗せいととどんな関係?]











『俺は星斗せいとの恋人だ。』











[恋、人だぁ?なに言ってんだ!
おっさん、正気か?]











『あぁ。いたって正気だ。
星斗せいとはもう俺のだからな。』











[俺のって…星斗せいとはものじゃねぇ!]











『おい、4年前何があったんだ?』











[くっ…あの時虎家とらいえさんが…
星斗せいとにウエイターの仕事が
あるからって言って…

俺は星斗せいとを連れてった。
星斗せいとが仕事を辞めて
焦ってたから…。

それで次の日に店に行ったら
もう星斗せいとはいなくて
虎家とらいえさんは星斗せいとがどこかに
行ってしまった、って
涙を流してて…だから…
だから俺は星斗せいとはまた
なんかがあって逃げてしまったんだと
思って…探してた。

でも全然見つからなくて…
俺にまったく連絡してこない
星斗せいとにだんだん腹がたってきて…
もう、忘れようとしてた。

そしたら今日あんたらを
見かけたんだ…]












『………。その虎家とらいえとやらの
店を教えろ。』











[やだよ!そんなこと!
ボスを売るわけねぇじゃん!]










『おい!星斗せいとはその後
どこのなにものか知らんオヤジに
性奴隷として売られたんだぞ!
その虎家とらいえとやらに!
それでもそいつをかばうのか?』










[な、…に?]











「そうだよ…気持ち悪いおじさんに
全部奪われて…うくぅ…」










泣き出した星斗せいと
腕の中に抱きしめる栄醐えいご











[信じられない…虎家とらいえさんが
そんなこと…俺は世話になってんだ…]












『お前はそこでどんな仕事を
してるんだ?』











[護衛とか見張りとか…
送り迎えだとか…。]












『なんの見張りだよ?
護衛が必要な職業?ハングレ?
反社会的勢力か?
そんなのおかしいだろう?』











[と、虎家とらいえさんはそんなんじゃ…]











かんっ!僕、かんには
感謝してた。中学出て何もわからない
僕にいろいろ教えてくれたのは
かんだ。コンビニで期限切れの
廃棄の弁当とかもらってきてくれたり
こんな僕を気にかけてくれてたから…
でも!あんな裏切りかた…
酷いよ!…ひどい………」












[俺はそんなつもりは…
おまえ、仕事がいると思って…
そんなことになってるなんて
まったく知らなかったんだ…

だって…虎家とらいえさん、あの時
<俺がちょっと強く叱ったばっかりに
星斗せいとがいなくなった>って泣いて…]











「嘘だ!そんなの!アイツは!
僕に優しくしといて…
地獄に突き落としたんだからっ…
わぁぁぁ!」










『…星斗せいと。大丈夫。
俺がいるから…泣かないで…。
星斗せいと星斗せいと………。』












星斗せいとをぎゅっと抱きしめて
栄醐えいごかんに自分の名刺を渡した。











『かん。おまえ、なんか困ったことが
あったらその携帯番号に連絡して。』












「でもっ!栄醐えいご…っ!」












星斗せいと。大丈夫だ。俺がついてる。』










栄醐えいご…。」











栄醐えいごはさっと星斗せいとを抱き抱え
車へ向かい助手席に乗せて
ドアを閉じる。










かんを見やると遠くから
呆然とこちらを見ていた。










「うくっ…ぅぅ…っく……。」









『ほら、星斗せいと。車に乗ったら?』










星斗せいとは泣きながら
シートベルトを締める。









『よくできました。』










栄醐えいご星斗せいとにちゅ、とキスすると
星斗せいとは泣き止んだ。











「え…ご……。連絡先なんて
渡しちゃってよかったの?」










『あぁ。大丈夫。俺はあの大病院の
副院長だぜ?地元には
太いパイプがあるし
いい弁護士も知ってる。

俺に任せとけ。星斗せいと

ハンバーガーでも食べるか?』












コクと頷く星斗せいとを見て
微笑んだ栄醐えいご
ドライブスルーに寄り
ハンバーガーのセットを注文した。










買ったハンバーガーセットの袋を
膝の上に置きじっとしている
星斗せいと栄醐えいごはわざと声を張り上げた。










『あー!おなかすいた!
誰か食べさせてくれないかなー?』










「んくっ…ふふふ!
車で食べていいの?」











星斗せいとは目を輝かせる。










『ああ、いいよ。その右側の
ボックスの中に手拭きが
入ってるから。』











星斗せいとはパカッとボックスを
開けて除菌ティッシュを取り出し
丁寧に手を拭きポテトを
数本掴んで運転中の栄醐えいごに食べさせた。











『んぐ!うまい!星斗せいと
食べさせてもらうポテトは
世界一うまいな!』











「ふふ…変わらないよ?」









『いや、変わるね!
どんな三ツ星シェフがいるお店の
よりもうまい!星斗せいともっと!あーん…』











何度もポテトやハンバーガー
ジュースなどを栄醐えいごに食べさせたり
飲ませたりして笑う星斗せいと











星斗せいとも食べろよ?
ハンバーガー食べてないんじゃ?』











栄醐えいごのほうが
おなかすいたでしょ?
僕はポテト食べたから。」 










『ったく、おまえは~…
ほらもっと食えよ。』









「うん。んぐ、ふぁい、栄醐えいご。」










ふたつめのハンバーガーを
自分もひとかじりして栄醐えいご
食べさせる星斗せいと










『ねぇ、ちょっと…
可愛すぎるんだけど…
星斗せいとキスさせて…』











「ちょ!ちょっと!栄醐えいご前見て!」











栄醐えいごは路肩に車を止めた。










星斗せいと…。』










「!えい…んんっ…んう………
んは…ぅぅん…も…」










『早く帰って続きしよう…』










「えぇご…」
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