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光の玉
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「う、あああぁぁぁ!」
ベッドに寝かされても
なお叫び続けていた彩明は
ふいに意識の底に沈んだ。
その闇の中、自分の肩を抱きしめ震える彩明。
ふあ、と遠くに光が灯った。
吸い寄せられるように
その光に近寄っていく。
そこには光の玉を大事そうに
手にしたアキがいた。
「…………アキ。」
「彩明。これで本当に最後。
これはボクからのエール。」
そういうと光の玉を彩明にそっと渡す。
「じゃあ、ね。」
「アキ!アキ…ぅゎぁぁ…
あ、りがとう…!」
アキは微笑み、闇の中に消えていった。
また別の場所に光が灯る。
そちらのほうによろよろと
行くと子供たちがいた。
「っくぅ………。
たっくん…。みきちゃん。
さくら。みっちー。」
「お前、もう、さみしくないよな。
お母さんもいるし。
俺たちはお役ごめんだ。」と
微笑むたっくん。
「これ。はぁい!」と口々に言い
光の玉をくれる子供たち。
最後にたっくんも光の玉をくれた。
「俺、お前が産まれた日に
お前に会ってるんだぜ。」
彩明の手の中の光の玉は
ひとつになって大きくなる。
「じゃあな。」「ばいばーい!」
闇の中に消えていく子供たち。
「ぅぅぅ…み、んな!
ありがとう!あり、がとう…」
次に灯った光は大小の光。
明穂と幼き日の彩明、あーくんだ。
「いまはもう、ないてにゃいよ。
だかりゃ、らいじょーぶらよ。」
そう言ってあーくんは光の玉を
彩明に渡す。
「ありが、とう…」
明穂は少し眩しそうに
彩明を見た。
「……………。
彩人さんに似てきた。」
薄く笑って光の玉を差し出した。
「おか...さん。
…………………ありがとう。」
「じゃあね!」とあーくん。
明穂と手を繋ぎ
片方の手をふって2人は
微笑みあって暗闇に消えた。
「あああああああああ!」
彩明は泣き叫ぶ。
手の中の光の玉がまたひとつになり
いつのまにか映像を映し出していた。
「あやあき。おまえはあやあきだ。
俺と明穂の子供だからな。
大きくなれよ~!」
「アヤトさん…。可愛いですね…」
若き日の彩人と明穂が
赤ちゃんの彩明の
名付けをして微笑みあっている
幸せな光景。
赤ちゃんの彩明を
愛おしそうに抱く彩人の姿。
あーくんの頭を愛おしそうに撫でる
明穂の優しい顔。
あーくんがたっくんや
みきちゃんやさくらやみっちーと
青空の下、元気に遊んでいる姿。
そしてアキからは…
父親彩人が最期に
彩明の名前を呼んだ、あの海での
光景が映し出された。
「うわぁぁぁぁあああああ!」
「彩明くん!」
「ああああああああああああ…
ぅぅぅぅう!ああぁぁぁぁ…」
「彩明くん!」
「うわぁぁ…っく、、ぁ…。
先生!柏葉先生…
ぁぁぁっ…くぅ...。
僕は今、あーくんに
教えてもらいました。
お母さんが愛おしそうに
僕の頭を撫でている優しい顔を。
たっくんに教えてもらいました…
僕が産まれた時のお父さんと
お母さんの幸せそうな顔を。
お母さんに教えてもらいました。
赤ちゃんの僕を抱くお父さんの
愛おしそうな顔を。
アキに教えてもらいました…
お父さんが自ら海に車ごと
飛んだ時、僕の名前を呼んだこと。
守ってくれたことを。
最期の微笑んだ顔を。
先生…。先生…。
ぼくは、ぼ、くは…
お父さんとお母さんに
愛されていたんですね…。
愛してくれていたんですね。
2人の子供として。愛されていた…。
うわぁぁぁぁあ!
ああああぁぁぁぁ!」
柏葉は彩明を抱きしめた。
「ああ!彩明くん!そうだよ…。
君は、君はとても愛されて
いるんだよ。愛されるべき
存在なんだよ…。
大丈夫。大丈夫。
もう、大丈夫。
幸せになっていいんだよ。
彩明くん。幸せになるんだよ!
彩明くん!彩明くん!」
「先生…。柏葉先生!
あぁぁぁぁぁ!」
「よしよし、彩明くん。
偉かった。偉かったよ。
今までよくがんばったよ。
よしよし。よしよし…。」
柏葉は彩明が
眠りに入るまで頭を撫で続けた。
ベッドに寝かされても
なお叫び続けていた彩明は
ふいに意識の底に沈んだ。
その闇の中、自分の肩を抱きしめ震える彩明。
ふあ、と遠くに光が灯った。
吸い寄せられるように
その光に近寄っていく。
そこには光の玉を大事そうに
手にしたアキがいた。
「…………アキ。」
「彩明。これで本当に最後。
これはボクからのエール。」
そういうと光の玉を彩明にそっと渡す。
「じゃあ、ね。」
「アキ!アキ…ぅゎぁぁ…
あ、りがとう…!」
アキは微笑み、闇の中に消えていった。
また別の場所に光が灯る。
そちらのほうによろよろと
行くと子供たちがいた。
「っくぅ………。
たっくん…。みきちゃん。
さくら。みっちー。」
「お前、もう、さみしくないよな。
お母さんもいるし。
俺たちはお役ごめんだ。」と
微笑むたっくん。
「これ。はぁい!」と口々に言い
光の玉をくれる子供たち。
最後にたっくんも光の玉をくれた。
「俺、お前が産まれた日に
お前に会ってるんだぜ。」
彩明の手の中の光の玉は
ひとつになって大きくなる。
「じゃあな。」「ばいばーい!」
闇の中に消えていく子供たち。
「ぅぅぅ…み、んな!
ありがとう!あり、がとう…」
次に灯った光は大小の光。
明穂と幼き日の彩明、あーくんだ。
「いまはもう、ないてにゃいよ。
だかりゃ、らいじょーぶらよ。」
そう言ってあーくんは光の玉を
彩明に渡す。
「ありが、とう…」
明穂は少し眩しそうに
彩明を見た。
「……………。
彩人さんに似てきた。」
薄く笑って光の玉を差し出した。
「おか...さん。
…………………ありがとう。」
「じゃあね!」とあーくん。
明穂と手を繋ぎ
片方の手をふって2人は
微笑みあって暗闇に消えた。
「あああああああああ!」
彩明は泣き叫ぶ。
手の中の光の玉がまたひとつになり
いつのまにか映像を映し出していた。
「あやあき。おまえはあやあきだ。
俺と明穂の子供だからな。
大きくなれよ~!」
「アヤトさん…。可愛いですね…」
若き日の彩人と明穂が
赤ちゃんの彩明の
名付けをして微笑みあっている
幸せな光景。
赤ちゃんの彩明を
愛おしそうに抱く彩人の姿。
あーくんの頭を愛おしそうに撫でる
明穂の優しい顔。
あーくんがたっくんや
みきちゃんやさくらやみっちーと
青空の下、元気に遊んでいる姿。
そしてアキからは…
父親彩人が最期に
彩明の名前を呼んだ、あの海での
光景が映し出された。
「うわぁぁぁぁあああああ!」
「彩明くん!」
「ああああああああああああ…
ぅぅぅぅう!ああぁぁぁぁ…」
「彩明くん!」
「うわぁぁ…っく、、ぁ…。
先生!柏葉先生…
ぁぁぁっ…くぅ...。
僕は今、あーくんに
教えてもらいました。
お母さんが愛おしそうに
僕の頭を撫でている優しい顔を。
たっくんに教えてもらいました…
僕が産まれた時のお父さんと
お母さんの幸せそうな顔を。
お母さんに教えてもらいました。
赤ちゃんの僕を抱くお父さんの
愛おしそうな顔を。
アキに教えてもらいました…
お父さんが自ら海に車ごと
飛んだ時、僕の名前を呼んだこと。
守ってくれたことを。
最期の微笑んだ顔を。
先生…。先生…。
ぼくは、ぼ、くは…
お父さんとお母さんに
愛されていたんですね…。
愛してくれていたんですね。
2人の子供として。愛されていた…。
うわぁぁぁぁあ!
ああああぁぁぁぁ!」
柏葉は彩明を抱きしめた。
「ああ!彩明くん!そうだよ…。
君は、君はとても愛されて
いるんだよ。愛されるべき
存在なんだよ…。
大丈夫。大丈夫。
もう、大丈夫。
幸せになっていいんだよ。
彩明くん。幸せになるんだよ!
彩明くん!彩明くん!」
「先生…。柏葉先生!
あぁぁぁぁぁ!」
「よしよし、彩明くん。
偉かった。偉かったよ。
今までよくがんばったよ。
よしよし。よしよし…。」
柏葉は彩明が
眠りに入るまで頭を撫で続けた。
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