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憔悴
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それから俊詩は
スマホを手放さなくなった。
いつアキから
LINEが来てもいいように。
シャワーもスマホを気にしながら
手早く済ませる。
授業中も試験中でさえも
机の下で握りしめ
眠るときは枕の下に入れた。
頭の中はアキのことばかり。
しかしアキからは
なかなかLINEはこなかった。
毎日のように
【アキ、どうしてる?】
【アキ、会いたい】
【アキ、なんで既読にならないの?】
【アキ、アキ。】
【アキ、どうして?】
【アキ、なにかあったのか?】
いくら俊詩がLINEを送っても
既読にはならず。
それでも俊詩は
毎日毎日LINEし続けた。
当然、試験の結果は1位どころか
圏外にまで下がった。
みんなが心配する声も聞かず
ぼーっとスマホを握りしめる俊詩。
学校の行き帰りも
スマホを握りしめるのに
自転車は邪魔、と歩きに変える。
アキに会ってから
ちょうど1週間目のことだった。
学校からの帰り道。
握りしめる手のひらに振動が伝わる。
「!………アキ!!!」
当たり構わず叫んで俊詩は
スマホをあける。
しかし画面に浮かび上がったのは
神宮寺、という文字だった。
道路に座りこみガックリと
うなだれる 俊詩。
しばらく脱力したあと
神宮寺のLINEをあける。
《【神田くん、こんにちは。
どうしたの?大丈夫?】》
(試験の結果を見て
LINEしてきたのかな…
俺…大丈夫、じゃない……)
【神宮寺。会える?】
《【今日の夜9時ぐらいに
あの公園で、なら。】》
【うん。もしドタキャンしたら…
ごめんな。】
《【うん。じゃ、とりあえず夜ね。】》
スマホを手に呆然と佇む俊詩。
(なぜ…神宮寺に会おうと思ったのか…)
「自分でもわからない。」
そう呟きクラクラする頭で
家に向かった。
それからも玄関に座り
アキからのLINEを待っていた
俊詩だったが
神宮寺と約束した時間、9時に
近づいてきたので
ため息をつき、家を出てきた。
ちょうど公園の前で神宮寺に会う。
「!!ちょっと、神田くん!
ちゃんとごはん食べてるの?
すごい痩せてない?」
「…そう?」
「顔色も悪いし…」
「そう?」
「うん…大丈夫?
コンビニでなんか買ってこようか?」
「…いらない。」
「ほんとにどうしたの?」
「……。お前は元気そうだな?」
「…うん。このところ寝起きがよくて。」
「そっか。睡眠障害治った?」
「…治りはしないとは思うけども。」
「…。俺、もうダメかも。」
「なにがあったの?」
「……………。」
「…話せない、こと?」
「……………。」
「恋煩い、とか?」
「!…………。」
「…え?あってるの?」
「ん~………。」
「………。そっか。ごめん。
僕、恋愛経験ないから
アドバイスしてあげられないな…。」
「……………………………。
連絡がこないんだ。」
「LINE?」
「うん。」
「…どれくらい?」
「1週間、かな。」
「…………。恋愛経験のない僕に
言われたくないかもだけど…。
もう少し、信じて待ってて
あげたら?
彼女になにか事情があるのかもだし。」
「…彼女。」
「うん。どんな女の子だろう?
君を射止めたのは。」
「…………………………。
オトコだ、って言ったら
どうする?」
「え?」
「いや、なんでもない。
忘れて。俺帰るね。ありがとう。」
そう言って俊詩は
神宮寺を振り返らずに
走って帰った。
神宮寺からのLINE。
《【神田くん。
僕は異性だって同性だって
いいと思うんだ。
そんなになるまで愛する人が
いるって、とてもうらやましい。
きっとLINE、くれるよ。
とりあえずきちんとご飯食べて
寝て健康でいないと
恋人から連絡あっても動けないよ。
それに恋人もきっと神田くんの
今の状態を喜ばない。
だからちゃんと自分のことを
大事にして。】》
(神宮寺………。)
【ありがとう。そう、だよな。】
《【おやすみ、神田くん。】》
【おやすみ】
なぜ神宮寺に
素直にしゃべったのだろう。
そう疑問に思いながらも
少しでも吐き出したことで
落ち着いたのか
久しぶりに眠気がやってくる。
(とりあえず寝よう。)
枕の下にスマホを入れ俊詩は
横になった。
スマホを手放さなくなった。
いつアキから
LINEが来てもいいように。
シャワーもスマホを気にしながら
手早く済ませる。
授業中も試験中でさえも
机の下で握りしめ
眠るときは枕の下に入れた。
頭の中はアキのことばかり。
しかしアキからは
なかなかLINEはこなかった。
毎日のように
【アキ、どうしてる?】
【アキ、会いたい】
【アキ、なんで既読にならないの?】
【アキ、アキ。】
【アキ、どうして?】
【アキ、なにかあったのか?】
いくら俊詩がLINEを送っても
既読にはならず。
それでも俊詩は
毎日毎日LINEし続けた。
当然、試験の結果は1位どころか
圏外にまで下がった。
みんなが心配する声も聞かず
ぼーっとスマホを握りしめる俊詩。
学校の行き帰りも
スマホを握りしめるのに
自転車は邪魔、と歩きに変える。
アキに会ってから
ちょうど1週間目のことだった。
学校からの帰り道。
握りしめる手のひらに振動が伝わる。
「!………アキ!!!」
当たり構わず叫んで俊詩は
スマホをあける。
しかし画面に浮かび上がったのは
神宮寺、という文字だった。
道路に座りこみガックリと
うなだれる 俊詩。
しばらく脱力したあと
神宮寺のLINEをあける。
《【神田くん、こんにちは。
どうしたの?大丈夫?】》
(試験の結果を見て
LINEしてきたのかな…
俺…大丈夫、じゃない……)
【神宮寺。会える?】
《【今日の夜9時ぐらいに
あの公園で、なら。】》
【うん。もしドタキャンしたら…
ごめんな。】
《【うん。じゃ、とりあえず夜ね。】》
スマホを手に呆然と佇む俊詩。
(なぜ…神宮寺に会おうと思ったのか…)
「自分でもわからない。」
そう呟きクラクラする頭で
家に向かった。
それからも玄関に座り
アキからのLINEを待っていた
俊詩だったが
神宮寺と約束した時間、9時に
近づいてきたので
ため息をつき、家を出てきた。
ちょうど公園の前で神宮寺に会う。
「!!ちょっと、神田くん!
ちゃんとごはん食べてるの?
すごい痩せてない?」
「…そう?」
「顔色も悪いし…」
「そう?」
「うん…大丈夫?
コンビニでなんか買ってこようか?」
「…いらない。」
「ほんとにどうしたの?」
「……。お前は元気そうだな?」
「…うん。このところ寝起きがよくて。」
「そっか。睡眠障害治った?」
「…治りはしないとは思うけども。」
「…。俺、もうダメかも。」
「なにがあったの?」
「……………。」
「…話せない、こと?」
「……………。」
「恋煩い、とか?」
「!…………。」
「…え?あってるの?」
「ん~………。」
「………。そっか。ごめん。
僕、恋愛経験ないから
アドバイスしてあげられないな…。」
「……………………………。
連絡がこないんだ。」
「LINE?」
「うん。」
「…どれくらい?」
「1週間、かな。」
「…………。恋愛経験のない僕に
言われたくないかもだけど…。
もう少し、信じて待ってて
あげたら?
彼女になにか事情があるのかもだし。」
「…彼女。」
「うん。どんな女の子だろう?
君を射止めたのは。」
「…………………………。
オトコだ、って言ったら
どうする?」
「え?」
「いや、なんでもない。
忘れて。俺帰るね。ありがとう。」
そう言って俊詩は
神宮寺を振り返らずに
走って帰った。
神宮寺からのLINE。
《【神田くん。
僕は異性だって同性だって
いいと思うんだ。
そんなになるまで愛する人が
いるって、とてもうらやましい。
きっとLINE、くれるよ。
とりあえずきちんとご飯食べて
寝て健康でいないと
恋人から連絡あっても動けないよ。
それに恋人もきっと神田くんの
今の状態を喜ばない。
だからちゃんと自分のことを
大事にして。】》
(神宮寺………。)
【ありがとう。そう、だよな。】
《【おやすみ、神田くん。】》
【おやすみ】
なぜ神宮寺に
素直にしゃべったのだろう。
そう疑問に思いながらも
少しでも吐き出したことで
落ち着いたのか
久しぶりに眠気がやってくる。
(とりあえず寝よう。)
枕の下にスマホを入れ俊詩は
横になった。
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