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理解不能な気持ちとアザ
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またLINEがきた。
溜息をつき画面を見る。
アキ、とやらからではなく
母親だった。
<【アンタ倒れたんだって?
大丈夫なの?】>
(遅っ…どいつもこいつも胸くそ悪い。)
またLINEだ。
【【この景色、覚えていない?】】
そして写真が送られてきた。
(見覚えが…ある。)
それはどこかの雪山の展望台から
見た景色だった。
体がビクン、と跳ね
その場所で誰かときつく
抱き合った光景が一瞬だけ頭をよぎる。
(ハァハアハァハア…なんなんだ!)
【【見覚え、あったでしょ?】】
【なにをしたんだ?
宗教の催眠術かなんか?
なんなんだよ!】
【【そんなんじゃない。
ボク達は前世でそこに一緒に
行ってるんだ。その場所の写真だよ。
だからキミは見覚えがあって
当然なんだ。】】
【わけわからないこと言うな!】
【【そのうちわかるときがくる。
ボクがヒントを送るよ。
だからこのLINE消さないでね。】】
【おい!さっさと種明かしをしろよ!
催眠術なんだろ?】
しかしヒントを送る、とのLINEから
既読にはならずに
俊詩はまたスマホを投げた。
いつしか眠りに入った俊詩は
夢を見ていた。
大きな木の下で
ただ微睡んでいる自分。
あたたかい。
誰かが腰に抱きついてくる。
自然と微笑む。
「…○○……愛してる。」
名前を呼んでいるようだが
肝心なところがわからない。
こんな夢、今まで見たことないのに…
いや。果たしてそうだろうか。
覚えていないだけで
よく見ているような気もした。
いつになく穏やかな目覚めの朝。
「…。」
不思議な気分で起き上がり
ふとスマホに目をやった。
点滅している…
開けてみるとLINEだった。
アキ、からだ。
【【この写真はどう?】】
添付されていたのは大きな木の写真。
(さっき夢に出てきた…
間違いない、この木だ。)
妙に胸が高鳴る。
なんなんだろう、この高揚感は…
【【この木はね…。
2人が1番幸せだった時にいた
場所の木だよ。
ここでよく2人で抱き合って
昼寝をしていた。
キミはボクにいつも愛してる、と
言ってくれたんだ。】】
無意識に俊詩は涙を流していた。
あたたかい涙。なぜだろう。
切なくて幸せな感覚。
【話を、もっと聞かせてくれないか。】
気づけばそうLINEをしていた。
【【会おうか。】】
この言葉を見て急に俊詩は躊躇した。
返信できずにずっと
そのスマホの画面のその字を見ていた。
【いや。もっと教えて。】
そう送った。
【【わかった。無理は言わないよ。
でも近いうちにきっと会うよ。】】
【【ボク達は前世でも同性同士でね。
今よりも、もっともっと
偏見と差別がすごくて。
結局最後は一緒に死んだんだ。
あの雪山でわざと遭難した。
山のどこかにボク達の遺体は
抱き合った状態で残っているはず。】】
【なんで前世、なんてわかるんだ?】
【【ボク、中学の終わりに
交通事故にあってね。
その時、1ヶ月ぐらい意識不明で。
その間、ずっと前世を体感してた。
目覚めてからいろいろ調べて調べて。
それが事実だったと確認した。
でも顔がはっきりわからなくてね。
それでよく似た男性を探し続けてた。
やっと、見つけたんだよ。キミを。】】
【じゃあ、まだ俺じゃない可能性も
あるんじゃないの?】
【【いや、間違いなくキミだ。
会った瞬間にわかったんだ。】】
【他には?】
【【キミ、左腕の裏側に
アザがない?
少し星の形に似たアザ。】】
確かに俊詩の左腕の裏には
アザがあった。
星に似た形…そう言われれば
そう見えなくもない。
でもそんなの親以外に知らない…
いや、親も知らないんじゃないか…。
【ある】
【【そうだろう。やっぱりキミは
あの人の生まれ変わりだ。
あの人にもアザがあったから。】】
【信じられない。】
【【そうだね…急にそんなこと
言われても、だよね。また話そう。】】
スマホを見つめ茫然とする俊詩は
(なにがおこっているのだろう…)
そう思いながら愕然とする他はなかった。
溜息をつき画面を見る。
アキ、とやらからではなく
母親だった。
<【アンタ倒れたんだって?
大丈夫なの?】>
(遅っ…どいつもこいつも胸くそ悪い。)
またLINEだ。
【【この景色、覚えていない?】】
そして写真が送られてきた。
(見覚えが…ある。)
それはどこかの雪山の展望台から
見た景色だった。
体がビクン、と跳ね
その場所で誰かときつく
抱き合った光景が一瞬だけ頭をよぎる。
(ハァハアハァハア…なんなんだ!)
【【見覚え、あったでしょ?】】
【なにをしたんだ?
宗教の催眠術かなんか?
なんなんだよ!】
【【そんなんじゃない。
ボク達は前世でそこに一緒に
行ってるんだ。その場所の写真だよ。
だからキミは見覚えがあって
当然なんだ。】】
【わけわからないこと言うな!】
【【そのうちわかるときがくる。
ボクがヒントを送るよ。
だからこのLINE消さないでね。】】
【おい!さっさと種明かしをしろよ!
催眠術なんだろ?】
しかしヒントを送る、とのLINEから
既読にはならずに
俊詩はまたスマホを投げた。
いつしか眠りに入った俊詩は
夢を見ていた。
大きな木の下で
ただ微睡んでいる自分。
あたたかい。
誰かが腰に抱きついてくる。
自然と微笑む。
「…○○……愛してる。」
名前を呼んでいるようだが
肝心なところがわからない。
こんな夢、今まで見たことないのに…
いや。果たしてそうだろうか。
覚えていないだけで
よく見ているような気もした。
いつになく穏やかな目覚めの朝。
「…。」
不思議な気分で起き上がり
ふとスマホに目をやった。
点滅している…
開けてみるとLINEだった。
アキ、からだ。
【【この写真はどう?】】
添付されていたのは大きな木の写真。
(さっき夢に出てきた…
間違いない、この木だ。)
妙に胸が高鳴る。
なんなんだろう、この高揚感は…
【【この木はね…。
2人が1番幸せだった時にいた
場所の木だよ。
ここでよく2人で抱き合って
昼寝をしていた。
キミはボクにいつも愛してる、と
言ってくれたんだ。】】
無意識に俊詩は涙を流していた。
あたたかい涙。なぜだろう。
切なくて幸せな感覚。
【話を、もっと聞かせてくれないか。】
気づけばそうLINEをしていた。
【【会おうか。】】
この言葉を見て急に俊詩は躊躇した。
返信できずにずっと
そのスマホの画面のその字を見ていた。
【いや。もっと教えて。】
そう送った。
【【わかった。無理は言わないよ。
でも近いうちにきっと会うよ。】】
【【ボク達は前世でも同性同士でね。
今よりも、もっともっと
偏見と差別がすごくて。
結局最後は一緒に死んだんだ。
あの雪山でわざと遭難した。
山のどこかにボク達の遺体は
抱き合った状態で残っているはず。】】
【なんで前世、なんてわかるんだ?】
【【ボク、中学の終わりに
交通事故にあってね。
その時、1ヶ月ぐらい意識不明で。
その間、ずっと前世を体感してた。
目覚めてからいろいろ調べて調べて。
それが事実だったと確認した。
でも顔がはっきりわからなくてね。
それでよく似た男性を探し続けてた。
やっと、見つけたんだよ。キミを。】】
【じゃあ、まだ俺じゃない可能性も
あるんじゃないの?】
【【いや、間違いなくキミだ。
会った瞬間にわかったんだ。】】
【他には?】
【【キミ、左腕の裏側に
アザがない?
少し星の形に似たアザ。】】
確かに俊詩の左腕の裏には
アザがあった。
星に似た形…そう言われれば
そう見えなくもない。
でもそんなの親以外に知らない…
いや、親も知らないんじゃないか…。
【ある】
【【そうだろう。やっぱりキミは
あの人の生まれ変わりだ。
あの人にもアザがあったから。】】
【信じられない。】
【【そうだね…急にそんなこと
言われても、だよね。また話そう。】】
スマホを見つめ茫然とする俊詩は
(なにがおこっているのだろう…)
そう思いながら愕然とする他はなかった。
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