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手紙とLINE

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2日間、学校を休み
週末を引きこもって過ごした俊詩としふみ
久しぶりに登校した。


もう大丈夫なの?とすれ違う人々が
次々に俊詩としふみに声をかける。

微笑んで手をあげ、こたえ歩いていく。

教室へ入ると叶愛のあがなにもなかったように
話してくる。

「フミちゃん!もういいの?
気をつけてね…」

「…あぁ。」

そうこたえ自分の椅子に座る。


そして授業が始まった。
ふと、俊詩としふみが机の中に手をやると
何かが入っている。

(え?手紙?それもふたつ。)

ひとつを出してみる。
叶愛のあからだった。

[フミちゃん。ごめんね。
勝手なことして…
もうなにも言わないから。
普通の友達に戻って?お願い。
本当にごめんなさい。]

目線を叶愛のあに向けると
手を合わせ謝っている。

俊詩としふみは軽くうなづいた。

叶愛のあは泣き笑いのような表情をし
また前を向いた。



(もう一通…これはなんだろう。)

慎重に取り出す。

中には一言だけ。

[ボクのLINE]と書かれ
QRコードが貼り付けてあった。


(ボクって誰だよ…なんかの間違いか?
間違いだったら間違いで
知らせてやったほうがいいのかな…)

これは休憩時間にしよう。
そう思い俊詩としふみは授業を聞いた。

でも休憩時間は友人たちに
よって奪われた。

みんながひっきりなしに話しかけてくる。

少し苦笑いで俊詩としふみは応対した。

(結局LINE出来なかったな…)







放課後、家に帰りやっとLINEを開ける。

実は俊詩としふみはまわりに
LINEはやらない、と公言していた。

だから叶愛のあは原始的な手紙、と
いう手段を使ったのだ。

ただめんどくさい、その一心で
LINEはやらない、の一点張りで
通してきた。


ただひとり俊詩としふみのLINEを知っている人物。

それは母親だった。

俊詩としふみからは決して連絡をしなかったが
それでも母親は俊詩としふみを心配するLINEを
ちょこちょこよこしていた。

(アイツ、親の自覚まだあんのかな…)

ただ既読にするだけ。
それがせめてもの俊詩としふみの意思表示だった。



意を決してQRコードを読み込む。

アキ、と名前が出て
画面には蓮の花のプロフィール画像。

そして俊詩としふみは打ち込む。

【誰か知らないけど…
間違えてQRコードが俺の机に入ってた。
ちゃんと本人に渡せよ。
既読になったらこれは消すから。】


そして一息つく。

夜中まで既読にはならなかった。

(これ、どうしよう…。)

そう思いながらLINEの画面を見つめる。

すると、着信音。


【【待って】】


(は?なんなの?)

既読になったことだし消そう。
俊詩としふみはそう思い操作をし始める。

するとまたLINE。

【【消さないで。間違いなくキミと
LINEしたかったんだ】】


【俺?】


【【そう。かんだとしふみくん。】】


【なんで俺の名前知ってんの?
お前、誰?】

(俺のLINEの名前には〈とし〉としか

書いてない。)


【【アキ、だよ。】】


【だから、誰?】


【【ボク達、むかーーーしから
よく知ってる仲だよ。】 】


【お前なんか知らない。】


【【きっと思い出す。】 】


【お前、ストーカー?】


【【違うよ。ボク達…。
前世から結ばれていたんだよ。】】


【はぁ?新手の宗教?
そんなのいらないから。消すよ。】


【【待って!】】


【【あの時、見ていたでしょう?
学校の廊下の隅で。】】


【は?】


【【キミは真っ赤な顔して
走ってった。】】


【あの時の…】


【【そう…男に首筋を舐められて
よがってた。それがボク。アキだよ。】】


【もう二度とLINEすんな!
消すからな。】


【【待って。ボクの話を聞いて。】】


消してやろう、そう思うのに
体が言うことを聞かない。
なにかに支配されている。
そんな感触が体全体を包んでいた。



「くそぅ!なんなんだよ!」

スマホを投げつけて俊詩としふみは叫ぶ。
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