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僕達こんなに愛し合えて幸せだね…。
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目を開けると涙を流すまぁくんの顔が
薄ぼんやりと見える。
(えっ…。)
「紅李翔!紅李翔?大丈夫か?」
「まぁくん…?」
「ああ…紅李翔…くーちゃん…。
よかった…。気分悪くないか?」
「ぼ、く…どう…したの?」
「ぅぅ…急に気を失って………
ビックリした…。もう…。グズッ…。」
「…ここ…。病院?」
「いや、ホテル内のクリニックだ。
フロント電話してアンビュランス
呼んでもらおうと思ったら
ホテルの中にクリニックがある、って
言うからきてもらったんだ。
そしたらクリニックで点滴したら
大丈夫だろう、ってこっちにきて…
1時間ぐらいかな?
紅李翔眠ってたんだよ…。」
「………ごめん。心配かけちゃった…。
僕もう大丈夫だよ。部屋帰りたい…。
まぁくん…真仁…。」
手続きしてくるから、と
まぁくんが行ってしまって
僕はやってしまったと後悔していた。
(あー…。まさか気を失うなんて…。
ちゃんと薬も飲んだのに…。
まぁくんごめん…。)
「紅李翔…。帰っていいって。
部屋戻ろうか。大丈夫?」
「うん、ごめんね…。」
「謝ることないよ…。行こう。」
そう言って僕を姫抱きに
しようとしてくれるまぁくんに
僕はびっくりした。
「ちょ、まぁくん、僕歩ける、よ?」
「歩かせない。もう離さない。」
「えっ…?」
僕を姫抱きにして堂々とホテル内を
歩くまぁくんに僕はすっかり体を委ね
目を閉じる。
部屋に戻りそっとベッドに
寝かせてもらうとすぐさま
口移しで水を飲ませてくれた。
「もう観光もやめてさ。
ずっとここにいよう。
片時も離さないよ。」
「まぁくん…。ごめん…。僕も
自律神経ちょっとやられてたんだ…。
よくなってたんだよ?
でも…。疲れが出たんだと思う。
本当に心配させてごめんなさい。」
だろうと思ったよ…とまぁくんは
僕を思い切り抱きしめる。
「小学校の時、紅李翔が俺の手を
握ったまま倒れてさ…。
あん時のことすごい思い出した…。
俺、廊下でガタガタ震えてて…。
お義母さんがついてたから
さすがに病室に入れなくて。
そしたらさ、女医さんが来て
大丈夫だよ、って言ってくれて…。
一緒に中に入れてもらったの。
それで紅李翔に飛びついて
手を握ってさ…。」
「まあ、く、ん?」
「あの時の女医さん元気かな…。
実はさ。俺がなんだか混乱して
頭抱えてたらさ…。」
そう言って僕の頭を撫でながら
その時のことを話してくれた。
「自分は男になりたいんだ、って。
体は女だけど心は男で。
違和感がつらい、って。
みんな何かしらつらい思いを
抱えているから、だから大丈夫だよ
一人じゃないよ、って。」
「まぁくん。この間偶然、彼女…
いや、彼に会ったんだよ。
今、診てもらってるの、彼なんだ。」
「彼…!じゃあ…?」
「うん。性転換した、って。
でもね…。好きな彼女とは
うまくいかないみたい…。」
「!!………そう、か…。」
「だからね…。好きな人と
愛し合えるのは本当に奇跡だから
大事にしなさい、って。」
「……………………うん。紅李翔…。
俺、3ヶ月繰り上げて
あと2ヶ月で日本へ帰る。」
「え?………大丈夫なの?まぁくん…」
「あと1年延長するか
3ヶ月繰り上げて帰るか…。
選択を迫られてたんだ。」
「ええっ…でも、それって………。
まぁくんのキャリアに
傷ついたりしないの?
僕のためだったら、いい、んだよ?
僕がんばる、から…。」
「違うんだ…。俺がダメなんだ。」
「まぁ、く、ん?」
「俺、自分がこんなに弱くなると
思わなかった。紅李翔いないと
生きていけないんだ。」
まるで一回り小さくなったかのように
体を縮めて泣くまぁくん。
僕はそおっと包むように抱きしめ
背中をさすった。
「真仁…。僕がこっちに来る、よ。」
「ダメだ、紅李翔そんなこと!」
「まぁくんには飛行機を
好きでいて欲しい。
時々嫉妬しちゃうくらい愛おしい目で
見ているもん。
僕と離れたせいでまぁくんが
ダメになっちゃうの、イヤだ。」
「…なぁ、紅李翔…。」
「まぁくん。僕がこっちに来る。
だから。まぁくん………。」
「俺だって!俺だって
料理が、イタリアンが大好きな
くーちゃんから取り上げたくない!」
「真仁!!」
僕はまぁくんをベッドに押し倒し
腕を縫いつけた。
「ぅ…ぅぅぅ………くーちゃん…。」
「僕が、こっちに来る。
前にも言ったでしょ?
どこでも修行はできる。
だからまぁくんは安心して
お仕事をして。」
「あああ!紅李翔!紅李翔!く………
んっ………。ん…。」
薄く開いていた唇から
舌を強引に入れて絡めとる。
溶け合ってしまえばいいのに、と
隙間なく吸いつき
呼吸もできないほどのキスをした。
「…っは……はぁ、はぁ…真仁。
もう大丈夫。僕がそばにいる。
ね?そうして?
僕も心の底からそうしたい。
もし、まぁくんが降格されてまで
あと2ヶ月で帰る、って言っても
僕、2ヶ月も我慢できない。
真仁のそばにいたいんだ。
だから…僕。僕、すぐ来るから。
ね?またキャリアアップを目指して
がんばって?僕自身も店を変ることも
また経験に繋がるから。
大丈夫だから。」
「あああぁぁぁ…紅李翔…!
くーちゃん…。ぅわぁぁ…」
僕を抱きしめて子供のように
思い切り泣くまぁくん。
(こんなになるまで…。
よほど切羽詰っていたんだな…。
僕も同じ…。)
「ねぇ、僕も。僕も、だよ。
まぁくんのいない日々がこんなに
しんどいと思わなかった。
僕達こんなに愛し合えて幸せだね…。
だから。やっぱり一緒ににいよう。」
「紅李翔…紅李翔…紅李翔…。」
「まぁくん…。」
抱きしめあってそのまま2人で眠りに落ちた。
薄ぼんやりと見える。
(えっ…。)
「紅李翔!紅李翔?大丈夫か?」
「まぁくん…?」
「ああ…紅李翔…くーちゃん…。
よかった…。気分悪くないか?」
「ぼ、く…どう…したの?」
「ぅぅ…急に気を失って………
ビックリした…。もう…。グズッ…。」
「…ここ…。病院?」
「いや、ホテル内のクリニックだ。
フロント電話してアンビュランス
呼んでもらおうと思ったら
ホテルの中にクリニックがある、って
言うからきてもらったんだ。
そしたらクリニックで点滴したら
大丈夫だろう、ってこっちにきて…
1時間ぐらいかな?
紅李翔眠ってたんだよ…。」
「………ごめん。心配かけちゃった…。
僕もう大丈夫だよ。部屋帰りたい…。
まぁくん…真仁…。」
手続きしてくるから、と
まぁくんが行ってしまって
僕はやってしまったと後悔していた。
(あー…。まさか気を失うなんて…。
ちゃんと薬も飲んだのに…。
まぁくんごめん…。)
「紅李翔…。帰っていいって。
部屋戻ろうか。大丈夫?」
「うん、ごめんね…。」
「謝ることないよ…。行こう。」
そう言って僕を姫抱きに
しようとしてくれるまぁくんに
僕はびっくりした。
「ちょ、まぁくん、僕歩ける、よ?」
「歩かせない。もう離さない。」
「えっ…?」
僕を姫抱きにして堂々とホテル内を
歩くまぁくんに僕はすっかり体を委ね
目を閉じる。
部屋に戻りそっとベッドに
寝かせてもらうとすぐさま
口移しで水を飲ませてくれた。
「もう観光もやめてさ。
ずっとここにいよう。
片時も離さないよ。」
「まぁくん…。ごめん…。僕も
自律神経ちょっとやられてたんだ…。
よくなってたんだよ?
でも…。疲れが出たんだと思う。
本当に心配させてごめんなさい。」
だろうと思ったよ…とまぁくんは
僕を思い切り抱きしめる。
「小学校の時、紅李翔が俺の手を
握ったまま倒れてさ…。
あん時のことすごい思い出した…。
俺、廊下でガタガタ震えてて…。
お義母さんがついてたから
さすがに病室に入れなくて。
そしたらさ、女医さんが来て
大丈夫だよ、って言ってくれて…。
一緒に中に入れてもらったの。
それで紅李翔に飛びついて
手を握ってさ…。」
「まあ、く、ん?」
「あの時の女医さん元気かな…。
実はさ。俺がなんだか混乱して
頭抱えてたらさ…。」
そう言って僕の頭を撫でながら
その時のことを話してくれた。
「自分は男になりたいんだ、って。
体は女だけど心は男で。
違和感がつらい、って。
みんな何かしらつらい思いを
抱えているから、だから大丈夫だよ
一人じゃないよ、って。」
「まぁくん。この間偶然、彼女…
いや、彼に会ったんだよ。
今、診てもらってるの、彼なんだ。」
「彼…!じゃあ…?」
「うん。性転換した、って。
でもね…。好きな彼女とは
うまくいかないみたい…。」
「!!………そう、か…。」
「だからね…。好きな人と
愛し合えるのは本当に奇跡だから
大事にしなさい、って。」
「……………………うん。紅李翔…。
俺、3ヶ月繰り上げて
あと2ヶ月で日本へ帰る。」
「え?………大丈夫なの?まぁくん…」
「あと1年延長するか
3ヶ月繰り上げて帰るか…。
選択を迫られてたんだ。」
「ええっ…でも、それって………。
まぁくんのキャリアに
傷ついたりしないの?
僕のためだったら、いい、んだよ?
僕がんばる、から…。」
「違うんだ…。俺がダメなんだ。」
「まぁ、く、ん?」
「俺、自分がこんなに弱くなると
思わなかった。紅李翔いないと
生きていけないんだ。」
まるで一回り小さくなったかのように
体を縮めて泣くまぁくん。
僕はそおっと包むように抱きしめ
背中をさすった。
「真仁…。僕がこっちに来る、よ。」
「ダメだ、紅李翔そんなこと!」
「まぁくんには飛行機を
好きでいて欲しい。
時々嫉妬しちゃうくらい愛おしい目で
見ているもん。
僕と離れたせいでまぁくんが
ダメになっちゃうの、イヤだ。」
「…なぁ、紅李翔…。」
「まぁくん。僕がこっちに来る。
だから。まぁくん………。」
「俺だって!俺だって
料理が、イタリアンが大好きな
くーちゃんから取り上げたくない!」
「真仁!!」
僕はまぁくんをベッドに押し倒し
腕を縫いつけた。
「ぅ…ぅぅぅ………くーちゃん…。」
「僕が、こっちに来る。
前にも言ったでしょ?
どこでも修行はできる。
だからまぁくんは安心して
お仕事をして。」
「あああ!紅李翔!紅李翔!く………
んっ………。ん…。」
薄く開いていた唇から
舌を強引に入れて絡めとる。
溶け合ってしまえばいいのに、と
隙間なく吸いつき
呼吸もできないほどのキスをした。
「…っは……はぁ、はぁ…真仁。
もう大丈夫。僕がそばにいる。
ね?そうして?
僕も心の底からそうしたい。
もし、まぁくんが降格されてまで
あと2ヶ月で帰る、って言っても
僕、2ヶ月も我慢できない。
真仁のそばにいたいんだ。
だから…僕。僕、すぐ来るから。
ね?またキャリアアップを目指して
がんばって?僕自身も店を変ることも
また経験に繋がるから。
大丈夫だから。」
「あああぁぁぁ…紅李翔…!
くーちゃん…。ぅわぁぁ…」
僕を抱きしめて子供のように
思い切り泣くまぁくん。
(こんなになるまで…。
よほど切羽詰っていたんだな…。
僕も同じ…。)
「ねぇ、僕も。僕も、だよ。
まぁくんのいない日々がこんなに
しんどいと思わなかった。
僕達こんなに愛し合えて幸せだね…。
だから。やっぱり一緒ににいよう。」
「紅李翔…紅李翔…紅李翔…。」
「まぁくん…。」
抱きしめあってそのまま2人で眠りに落ちた。
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