君の視線の向かう先は。

勇黄

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どうして。

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芳岡よしおか先生、何してるんですか!」












まぁくんは鬼の形相で
先生を突き飛ばし
僕を背中に守ってくれた。













「いや…紅李翔くりと…先生が悪かった。」














必死で謝る先生にまぁくんは
殴りかかろうとする。















隅坂すみさか先輩!やめてください!
もういいですから!」













僕はまぁくんの背中に抱きついた。














はぁはぁはぁ…。まぁくんは息を乱し
怒りを抑えきれないように
僕を振り払おうとする。















「まぁくん!僕は大丈夫だから!
もう、いいからっ!
お願いっ!やめて!」















「…くーちゃん。だって!
だってこいつ………。」












「まぁくんが殴っちゃったら
まぁくんが悪くなる!
だからやめて!僕のことなんか…
僕は大丈夫だから!」













「くーちゃん…。」














ぐっ、とまぁくんは芳岡よしおか先生を睨む。














「本当にすまなかった…。」











先生はそう言って土下座した。



















「もう、行ってください。
何もなかったことにしますから。
僕も忘れますから
先生も忘れてください。」
















僕は声を絞り出し震えた声で言う。













「でもくーちゃん………。」














頭を下げて本当にごめん、と
言いながら出ていく先生の背中を
まぁくんは不服そうに見やり
ぐしゃぐしゃと頭を掻いた。















「なぁ、くーちゃん。
やっぱ他の先生に言ったほうが…。」












「大丈夫。大丈夫だから。
もう、迂闊なこと
言ってこないと思うし。」
















僕は涙をぬぐい作り笑いをする。






















ばっ!















一瞬何が起こったのかわからなかった。














僕の体がぬくもりに包まれる。















ドクンドクンドクン…













まぁくんの心臓の音が
僕の頬に伝わってきた。














抱きしめられている…。















目の前に制服の胸ポケットの
校章の刺繍が見えた。















まぁくんの腕にさらに力がこもる。














ぎゅっ…。














(ど、うし、て…。)













僕がそっとまぁくんの背中に
手をあげ抱きしめ返そうとしたその時。

















「ご、ごめん…。くーちゃん。」














ガバッと引き離され。












僕の体は瞬間に冷えた。
















「なんで謝るの?」












「いや…。」














「まぁくんは僕を落ち着かせようと
してくれただけでしょ?」
















「………。」













まぁくんは俯く。

























「ありがとう。」













僕はいつものように笑って
ふざけたようにまぁくんの手を握り
ブンブンと振り回し。




























「行きましょう!隅坂すみさか先輩!」












精一杯の虚勢をはった。
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