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太陽の光のような
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(なんかいやだ...。気持ち悪い...。)
僕は触られた感触を振り払うように肩をはたいて手を洗った。
MuyTVアプリをあけると映っていたのはサンがギターを練習している姿。
(サンがんばってるな...。一緒に弾きたい...。)
新堂さんスタンバイお願いしま~すと呼ぶ声にスマホを置いて立ち上がった僕は気合いを入れなおした。
初日の撮影が終わり、佳マネさんの車に乗り込むとお疲れ様、とコーヒーを渡される。
「お疲れ様です。ありがとうございます。」
{今回、このドラマのゲストに出られてよかったよ!来期からのレギュラー決定だよ!}
「えっ!本当ですか!?」
{放送開始20年の記念イヤーになる来期からいろいろと変えるらしい。すごいよ、雷音!}
「佳マネさんありがとうございます!」
{いやいや。雷音の演技が素晴らしいからだよ。それにね、拓も推してくれてたんだよ。あいつも雷音のこと、買ってるんだから。}
「拓マネさんも......。
お2人とも本当にありがとうございます...。」
{あ、それでね。明日の台本、少し追加になったみたいで、それ。}
隣の座席を見ると薄い本が置いてある。
僕は早速チェックを始めて、変更や追加のところを確認する。
{あ、そういえば、太陽も挨拶まわりで感触良かったみたいだよ。もしかしたら戦隊ヒーローもの、決まるかも。}
「え!そうなんですか?すごい!」
{なんかプロダクションの社長に気に入られたみたい。太陽、ほんとに人当たりもいいし、これからが楽しみだね。あの戦隊ヒーローものは若手の登竜門だし決まればいいね。}
僕は自分の事のように嬉しくて、どうか決まりますように、と心の中で祈った。
シェアハウスに着いて玄関を開けるとサンが走ってきておかえり!と笑ってくれる。
「ただいま。サン、今朝はおにぎりありがとうね。美味しかったよ。」
『よかった!朝少しお腹に入れたらなんとなく集中力とかも違うだろ?...............あ.........あの、ライにお願いがあるんだけど?』
僕より背が高いのに上目遣いでこっちを見てくるサン。
(可愛いい...)
そう思ってしまって顔が赤くなっていくのか自分でもわかる。
照れ隠しにどうしたの?と聞くと
サンは得意げに言った。
『ギター練習したの、聞いてくれる?』
「あ、練習してたね!少しだけだけど見たんだよ~。イヤホンしなかったから、何の曲かはわからなかったけど。」
『そうなの?ね、ね、聞いて欲しいんだ!あ、お腹すいてたらなんか作るよ?』
「ありがとう。なんとなくお弁当食べたし、大丈夫。荷物置いてくるね。」
慌てて部屋に行き手を洗って
リビングに戻るとサンはおもむろに歌い始める。
かぜの~~~♪
それは近年ヒットした女性シンガーソングライターの曲。
~~~~~~~さなぁい♪
ジャン!
僕は感動して思い切り拍手をした。
「わぁ!サン!すごいよ!」
『ほんと?やった!がんばって練習してよかった...。ライとこの曲やりたいな!今度歌ってくれる?』
「うん!またいろいろ歌おう。手、大丈夫?」
『へへ...。ちょっとだけ冷やした...。』
「え?うそ?」
思わずサンの手を掴んで指を見ると結構腫れていて...。
「冷やさないと...。手首まで冷やした!?」
『いや...先だけ...。』
キッチンに連れていきボウルに水と氷を入れてサンの左手を冷やす。
「手首まで入れると指先が冷えている状態が長続きするから...。もう...水脹れになっていなくてよかったよ...。」
『......ありがとう。』
「ほんと無理したらダメだよ!」
『うん。......あ、ライお風呂入ってきて。明日も早いんでしょ?』
「うん。..................じゃあ。」
着替えを準備してバスルームに行くととてもいい香りがしてきてそっ、と中をのぞくとLEDのキャンドルが煌めいていた。
お風呂のお湯は入浴剤なのか綺麗なイエローになっていて...。
(サン...。)
あとでお礼を言おう、と思いながらその太陽の光ような黄色に身体を預けた。
「サン、お風呂ありがとう///」
『どういたしまして!早く寝なよ?』
「うん......。」
僕は寂しく思いながらも明日のために眠りにつこうと部屋に帰りベッドに横になる。
スマホが光っているのに気づいてあけるとサンからのメッセージ。
『ライと話す時間が少なくて寂しい。でも、ドラマがんばってね。応援してる。』
涙が出る。
(僕だってサンといっぱい話したい...。さみしい...。)
「サンありがとう。がんばる。サンもがんばってね。」
応援旗をふっているライオンのスタンプとともにそう返した。
僕は触られた感触を振り払うように肩をはたいて手を洗った。
MuyTVアプリをあけると映っていたのはサンがギターを練習している姿。
(サンがんばってるな...。一緒に弾きたい...。)
新堂さんスタンバイお願いしま~すと呼ぶ声にスマホを置いて立ち上がった僕は気合いを入れなおした。
初日の撮影が終わり、佳マネさんの車に乗り込むとお疲れ様、とコーヒーを渡される。
「お疲れ様です。ありがとうございます。」
{今回、このドラマのゲストに出られてよかったよ!来期からのレギュラー決定だよ!}
「えっ!本当ですか!?」
{放送開始20年の記念イヤーになる来期からいろいろと変えるらしい。すごいよ、雷音!}
「佳マネさんありがとうございます!」
{いやいや。雷音の演技が素晴らしいからだよ。それにね、拓も推してくれてたんだよ。あいつも雷音のこと、買ってるんだから。}
「拓マネさんも......。
お2人とも本当にありがとうございます...。」
{あ、それでね。明日の台本、少し追加になったみたいで、それ。}
隣の座席を見ると薄い本が置いてある。
僕は早速チェックを始めて、変更や追加のところを確認する。
{あ、そういえば、太陽も挨拶まわりで感触良かったみたいだよ。もしかしたら戦隊ヒーローもの、決まるかも。}
「え!そうなんですか?すごい!」
{なんかプロダクションの社長に気に入られたみたい。太陽、ほんとに人当たりもいいし、これからが楽しみだね。あの戦隊ヒーローものは若手の登竜門だし決まればいいね。}
僕は自分の事のように嬉しくて、どうか決まりますように、と心の中で祈った。
シェアハウスに着いて玄関を開けるとサンが走ってきておかえり!と笑ってくれる。
「ただいま。サン、今朝はおにぎりありがとうね。美味しかったよ。」
『よかった!朝少しお腹に入れたらなんとなく集中力とかも違うだろ?...............あ.........あの、ライにお願いがあるんだけど?』
僕より背が高いのに上目遣いでこっちを見てくるサン。
(可愛いい...)
そう思ってしまって顔が赤くなっていくのか自分でもわかる。
照れ隠しにどうしたの?と聞くと
サンは得意げに言った。
『ギター練習したの、聞いてくれる?』
「あ、練習してたね!少しだけだけど見たんだよ~。イヤホンしなかったから、何の曲かはわからなかったけど。」
『そうなの?ね、ね、聞いて欲しいんだ!あ、お腹すいてたらなんか作るよ?』
「ありがとう。なんとなくお弁当食べたし、大丈夫。荷物置いてくるね。」
慌てて部屋に行き手を洗って
リビングに戻るとサンはおもむろに歌い始める。
かぜの~~~♪
それは近年ヒットした女性シンガーソングライターの曲。
~~~~~~~さなぁい♪
ジャン!
僕は感動して思い切り拍手をした。
「わぁ!サン!すごいよ!」
『ほんと?やった!がんばって練習してよかった...。ライとこの曲やりたいな!今度歌ってくれる?』
「うん!またいろいろ歌おう。手、大丈夫?」
『へへ...。ちょっとだけ冷やした...。』
「え?うそ?」
思わずサンの手を掴んで指を見ると結構腫れていて...。
「冷やさないと...。手首まで冷やした!?」
『いや...先だけ...。』
キッチンに連れていきボウルに水と氷を入れてサンの左手を冷やす。
「手首まで入れると指先が冷えている状態が長続きするから...。もう...水脹れになっていなくてよかったよ...。」
『......ありがとう。』
「ほんと無理したらダメだよ!」
『うん。......あ、ライお風呂入ってきて。明日も早いんでしょ?』
「うん。..................じゃあ。」
着替えを準備してバスルームに行くととてもいい香りがしてきてそっ、と中をのぞくとLEDのキャンドルが煌めいていた。
お風呂のお湯は入浴剤なのか綺麗なイエローになっていて...。
(サン...。)
あとでお礼を言おう、と思いながらその太陽の光ような黄色に身体を預けた。
「サン、お風呂ありがとう///」
『どういたしまして!早く寝なよ?』
「うん......。」
僕は寂しく思いながらも明日のために眠りにつこうと部屋に帰りベッドに横になる。
スマホが光っているのに気づいてあけるとサンからのメッセージ。
『ライと話す時間が少なくて寂しい。でも、ドラマがんばってね。応援してる。』
涙が出る。
(僕だってサンといっぱい話したい...。さみしい...。)
「サンありがとう。がんばる。サンもがんばってね。」
応援旗をふっているライオンのスタンプとともにそう返した。
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