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理解してほしい
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「どう、した、の?」
『うん...。』
夕日をみつめているサンの横顔はとてもキラキラして綺麗で。
なぜか僕は泣きたくなった。
『あの、ね...。
俺、阪上龍之介と父親違いの兄弟なんだ。むこうは俺のことなんて知らない。弟がいるなんて夢にも思ってないと思う。母親は彼の父、大俳優の阪上肇の最初の妻だった。妊娠がわかって結婚したんだけど、本意じゃなかったんだろうね。結婚生活わずか1年で離縁されたんだ。』
「えっ...............。」
『彼...。阪上龍之介を産んですぐ捨てられた。身を切られる思いで子供を置いてきたんだ。』
「そんな...。」
『そのあと知り合ったアメリカと日本のハーフである俺の父親と再婚してアメリカへ渡った。
でも。.........すぐに俺の父親は交通事故にあって亡くなったらしい。その時、俺を妊娠してることを母親はまだ知らなかった。』
「え.....................。」
『俺の父親の父親、つまり俺のおじいちゃん、は日本人でね。おじいちゃんのもとで俺を産んだ。だから俺の姓はおじいちゃんの姓なんだ。おばあちゃんはもう亡くなっていた。母親は外国での生活が合わなかったのと子供を置いてきたことの後悔からだと思うんだけど精神を病んでしまって。』
「..................。」
『ずっと精神病院に入ったり出たりしてて、病気で亡くなったのが俺が9歳の時。それでおじいちゃんは俺を連れて日本に帰ってきたんだ。そのおじいちゃんが亡くなったのが俺が12の時だった。』
「............お母様のご両親、は?」
『早くに亡くなってる。』
「じゃあ...。」
『そう。天涯孤独、ってやつ?家族いない、って言っただろ?』
「サン............。阪上龍之介は!?」
『彼は関係ない。
いきなり弟って言ったって困るだろうし。変に金目当てとか思われたくないし。だから俺は彼を無視して生きてきた。
.............................................。
だから...。彼、とライが一緒に写真撮ってるの見た時、すごく嫌だった。俺がこんなこと言う権利なんてないのに。わかってるんだ。でも...。彼の顔を見るのがいやだった。彼と笑ってるライを見るのがやだった...ぐずっ。』
「..................。ごめん、サン。
僕、彼とドラマをやることになる。恋愛ものなんだ。」
『えっ......れん、あ、い?』
「いわゆる、ボーイズラブってやつ。」
『やだ!やめてよ、ライ!
いやだよ!俺.........。』
「僕はやるよ。役だし。演技だし。相手が誰だろうと、嫌な人だろうと、どんな内容だろうと僕はやるんだ。俳優でいたいから。...僕は俳優なんだ。」
『ライ!.....................。』
「サン。僕を理解して欲しい。」
『........................。』
僕はそっと立ち上がり意図を持ってカメラの前にバケツを置いて映らないようにする。
そしてサンを抱きしめた。
「サン...。」
『...っ!..................ライ。』
サンのシャツの胸元を引っ張って、唇を押し付ける。
『...っ!ん.........。.........んっ。
ライ...............。』
「...っ。サン。ごめん。」
『謝るな。』
「.....................。」
サンがカメラのところにしゃがみこんだ。
そしてマイクをオンにし、バケツの中の釣果をカメラに映して見せて笑顔で...。
『これだけとれたので、帰って天ぷらにします!じゃあ、のちほどっ!』
カメラを切ってまた僕に抱きつく。
「サン...。」
『ライを理解できるようにがんばる。ライのことをいろいろと教えて?』
「サンのことももっと教えて...」
今度はサンから深いキスが降りてきた。
『.........個人のメッセージアプリ、内緒で交換してくれる?』
「...!う、うん。」
『ライ赤くなってるね。可愛い...。』
「...!こら!シール貼るよ!」
『え!?今はカメラまわってないからノーカンだよ!』
アハハ!と笑いあって個人のメッセージアプリを交換すると、サンからハートをいっぱい飛ばす白いヤギのスタンプがきて。
「ふふ...。」
思わず笑って僕もライオンがハートを持ってるスタンプを返した。
『うん...。』
夕日をみつめているサンの横顔はとてもキラキラして綺麗で。
なぜか僕は泣きたくなった。
『あの、ね...。
俺、阪上龍之介と父親違いの兄弟なんだ。むこうは俺のことなんて知らない。弟がいるなんて夢にも思ってないと思う。母親は彼の父、大俳優の阪上肇の最初の妻だった。妊娠がわかって結婚したんだけど、本意じゃなかったんだろうね。結婚生活わずか1年で離縁されたんだ。』
「えっ...............。」
『彼...。阪上龍之介を産んですぐ捨てられた。身を切られる思いで子供を置いてきたんだ。』
「そんな...。」
『そのあと知り合ったアメリカと日本のハーフである俺の父親と再婚してアメリカへ渡った。
でも。.........すぐに俺の父親は交通事故にあって亡くなったらしい。その時、俺を妊娠してることを母親はまだ知らなかった。』
「え.....................。」
『俺の父親の父親、つまり俺のおじいちゃん、は日本人でね。おじいちゃんのもとで俺を産んだ。だから俺の姓はおじいちゃんの姓なんだ。おばあちゃんはもう亡くなっていた。母親は外国での生活が合わなかったのと子供を置いてきたことの後悔からだと思うんだけど精神を病んでしまって。』
「..................。」
『ずっと精神病院に入ったり出たりしてて、病気で亡くなったのが俺が9歳の時。それでおじいちゃんは俺を連れて日本に帰ってきたんだ。そのおじいちゃんが亡くなったのが俺が12の時だった。』
「............お母様のご両親、は?」
『早くに亡くなってる。』
「じゃあ...。」
『そう。天涯孤独、ってやつ?家族いない、って言っただろ?』
「サン............。阪上龍之介は!?」
『彼は関係ない。
いきなり弟って言ったって困るだろうし。変に金目当てとか思われたくないし。だから俺は彼を無視して生きてきた。
.............................................。
だから...。彼、とライが一緒に写真撮ってるの見た時、すごく嫌だった。俺がこんなこと言う権利なんてないのに。わかってるんだ。でも...。彼の顔を見るのがいやだった。彼と笑ってるライを見るのがやだった...ぐずっ。』
「..................。ごめん、サン。
僕、彼とドラマをやることになる。恋愛ものなんだ。」
『えっ......れん、あ、い?』
「いわゆる、ボーイズラブってやつ。」
『やだ!やめてよ、ライ!
いやだよ!俺.........。』
「僕はやるよ。役だし。演技だし。相手が誰だろうと、嫌な人だろうと、どんな内容だろうと僕はやるんだ。俳優でいたいから。...僕は俳優なんだ。」
『ライ!.....................。』
「サン。僕を理解して欲しい。」
『........................。』
僕はそっと立ち上がり意図を持ってカメラの前にバケツを置いて映らないようにする。
そしてサンを抱きしめた。
「サン...。」
『...っ!..................ライ。』
サンのシャツの胸元を引っ張って、唇を押し付ける。
『...っ!ん.........。.........んっ。
ライ...............。』
「...っ。サン。ごめん。」
『謝るな。』
「.....................。」
サンがカメラのところにしゃがみこんだ。
そしてマイクをオンにし、バケツの中の釣果をカメラに映して見せて笑顔で...。
『これだけとれたので、帰って天ぷらにします!じゃあ、のちほどっ!』
カメラを切ってまた僕に抱きつく。
「サン...。」
『ライを理解できるようにがんばる。ライのことをいろいろと教えて?』
「サンのことももっと教えて...」
今度はサンから深いキスが降りてきた。
『.........個人のメッセージアプリ、内緒で交換してくれる?』
「...!う、うん。」
『ライ赤くなってるね。可愛い...。』
「...!こら!シール貼るよ!」
『え!?今はカメラまわってないからノーカンだよ!』
アハハ!と笑いあって個人のメッセージアプリを交換すると、サンからハートをいっぱい飛ばす白いヤギのスタンプがきて。
「ふふ...。」
思わず笑って僕もライオンがハートを持ってるスタンプを返した。
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