9 / 29
近すぎる距離
しおりを挟む
カシャカシャ、カシャ……
微かな物音に意識が浮上する。
(ん……なん、のおと?)
「はっ!何時?」
スマホを確認すると朝の6時半を過ぎたあたりで、ほっと胸を撫でおろすと同時にその音の正体に気づいた。
(サン、朝ごはん作ってる、ぽいよな……)
少し乱れた髪を整えながらリビングへ行くとおはようライ!と明るい声がする。
「あ、おはよう……サン早いね?」
『アハ!なんかバッチリ目が覚めちゃってさ!……あ、ミッションカードきてたよ!』
「え?そうなの?また取りに行かせてごめん。」
『あ!やった!ごめん、って言った!シール貼るよ!』
「!……え?あぁあ!だってさ!」
『決まりは決まり!』
嬉々として赤いシールを貼るサン。
(もう、最悪だ……。)
「ふぅ……。えっとミッションは?」
『俺が1人で朝ごはん作る、ってミッションと、もう1つはこれ。』
差し出されたカードを読む。
「リクエストミッション。この企画のSNSアカウントを作ったので2人で更新してくださ、い?」
その文字の下にはログインIDとパスワード、そしてハッシュタグが記されていた。
早速、リビングのタブレットでログインするとraion_taiyo公式アカウントが出来上がっていてフォロワーが200万人を越している。
「……すげえフォローしてくれてる、よ?」
『マジで?じゃあなにかあげなきゃ!……って俺まったくやったことないんだけど。友達のをちらっと見た事あるくらいでさ……。』
「何作ってくれたの?」
『へ?』
「……朝ごはん。」
『……あ、ほら。パンと卵あったから卵サンド作った。コーヒー飲める?』
「うん。入れて。」
『……?う、うん。…………はい。』
パシャ。
僕は撮ったその写真に加工アプリでキラキラのフレームをつけそのサンドイッチをアップした。
サンが作ったサンドイッチ。byライ
#新堂雷音
#raionsindo
#来栖太陽
#taiyokurusu
#雷音と太陽1ヶ月シェアハウスチャレンジ
#raion_taiyo_1monthsharehousechallenge
そうキャプションをつけて。
『なるほどー!こんなふうに載せるんだね!』
サンは僕の手の中にあるタブレットを覗き込み感激している。
「まぁ、フツーでしょ。あ、朝食ありがとう。いただきます。それにしても……っ!な、なに?ち、近すぎない?」
『?そう?……ねぇ夜に加工アプリ?教えてね!いただきます!』
「……あ、おいしい。」
『でしょでしょ?……コラ!ライ!キュウリ抜かない!』
「ええ~」
『昨日も野菜残してたでしょ?』
「嫌いなんだって~」
『バランスよく食べなきゃダメじゃんか。』
「……しらない。野菜食べなくても生きてるし。……ごちそうさま。洗い物はするよ。置いといて。」
『絶対ライに野菜食わしてみせるっ!これは俺の密かなるミッションだ!』
なにやら握りこぶしをふってそう意気込んでいるサンをしりめに僕はバスルームへと滑り込んだ。
「じゃあいってきます。あとでね。」
迎えにきた佳マネにラジオ収録の見学の話を聞いたサンは上機嫌で。
『いってらっしゃあい!先輩!後ほどよろしくお願いします!』
(やっぱりくそめんどくせえ……。)
{じゃあ太陽、あとで拓マネがくるからね。……あ、これ太陽のミッションだよ。}
『お、カード!……はい、わかりました!』
僕はその陽気な声を背に
車に乗り込んだ。
微かな物音に意識が浮上する。
(ん……なん、のおと?)
「はっ!何時?」
スマホを確認すると朝の6時半を過ぎたあたりで、ほっと胸を撫でおろすと同時にその音の正体に気づいた。
(サン、朝ごはん作ってる、ぽいよな……)
少し乱れた髪を整えながらリビングへ行くとおはようライ!と明るい声がする。
「あ、おはよう……サン早いね?」
『アハ!なんかバッチリ目が覚めちゃってさ!……あ、ミッションカードきてたよ!』
「え?そうなの?また取りに行かせてごめん。」
『あ!やった!ごめん、って言った!シール貼るよ!』
「!……え?あぁあ!だってさ!」
『決まりは決まり!』
嬉々として赤いシールを貼るサン。
(もう、最悪だ……。)
「ふぅ……。えっとミッションは?」
『俺が1人で朝ごはん作る、ってミッションと、もう1つはこれ。』
差し出されたカードを読む。
「リクエストミッション。この企画のSNSアカウントを作ったので2人で更新してくださ、い?」
その文字の下にはログインIDとパスワード、そしてハッシュタグが記されていた。
早速、リビングのタブレットでログインするとraion_taiyo公式アカウントが出来上がっていてフォロワーが200万人を越している。
「……すげえフォローしてくれてる、よ?」
『マジで?じゃあなにかあげなきゃ!……って俺まったくやったことないんだけど。友達のをちらっと見た事あるくらいでさ……。』
「何作ってくれたの?」
『へ?』
「……朝ごはん。」
『……あ、ほら。パンと卵あったから卵サンド作った。コーヒー飲める?』
「うん。入れて。」
『……?う、うん。…………はい。』
パシャ。
僕は撮ったその写真に加工アプリでキラキラのフレームをつけそのサンドイッチをアップした。
サンが作ったサンドイッチ。byライ
#新堂雷音
#raionsindo
#来栖太陽
#taiyokurusu
#雷音と太陽1ヶ月シェアハウスチャレンジ
#raion_taiyo_1monthsharehousechallenge
そうキャプションをつけて。
『なるほどー!こんなふうに載せるんだね!』
サンは僕の手の中にあるタブレットを覗き込み感激している。
「まぁ、フツーでしょ。あ、朝食ありがとう。いただきます。それにしても……っ!な、なに?ち、近すぎない?」
『?そう?……ねぇ夜に加工アプリ?教えてね!いただきます!』
「……あ、おいしい。」
『でしょでしょ?……コラ!ライ!キュウリ抜かない!』
「ええ~」
『昨日も野菜残してたでしょ?』
「嫌いなんだって~」
『バランスよく食べなきゃダメじゃんか。』
「……しらない。野菜食べなくても生きてるし。……ごちそうさま。洗い物はするよ。置いといて。」
『絶対ライに野菜食わしてみせるっ!これは俺の密かなるミッションだ!』
なにやら握りこぶしをふってそう意気込んでいるサンをしりめに僕はバスルームへと滑り込んだ。
「じゃあいってきます。あとでね。」
迎えにきた佳マネにラジオ収録の見学の話を聞いたサンは上機嫌で。
『いってらっしゃあい!先輩!後ほどよろしくお願いします!』
(やっぱりくそめんどくせえ……。)
{じゃあ太陽、あとで拓マネがくるからね。……あ、これ太陽のミッションだよ。}
『お、カード!……はい、わかりました!』
僕はその陽気な声を背に
車に乗り込んだ。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる