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憂鬱
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『じゃあライはごめん、って言ったら1回500円ね!』
「はぁ!?」
『だって俺だけじゃあ不公平だもん。プレゼントにするなら金額多い方がいいし!』
ハハハと笑ってそんな言葉を発しサンは500円玉たくさんいるよな……どうしようか、なんて考え込んでいる。全然可愛くなんてない僕にどれだけ可愛いを言うつもりなんだ…。
僕が呆然としていると
いいこと思いついた!と席を立つサン。
『このホワイトボードにこのシールを貼っていこう!よし、それがいい!最後に精算ね!……線ひいて、サン、ライと書けばいいね!俺は青、ライは赤ね!』
さっきの500円返して~!ここに1個貼ったから、と真面目な顔で手を出して言ってくるので呆れ顔で硬貨を手のひらに置いた。
「そのホワイトボードはスケジュールとか書くやつじゃん……。」
悔し紛れにそう呟く僕にサンはスケジュールはこの下に書けばいいよ、と嬉しそうにしていて。
(変な人……。)
『そういえばライ、明日のスケジュールは?』
「えっと9時にマネさん迎えに来て雑誌の取材5社とラジオ収録2本とCMの打ち合わせとドラマの衣装合わせ、かな。」
『い、忙しそうだなぁ……。』
「こんなもんだよ。」
『カッコイイ!……はノーカンだよな?』
「……バカじゃないの?そっちは?」
『ハハ!……あ、スケジュール?明日、宣材写真を撮るって言ってた。』
「……なるほど。マネは誰になるんだろう?明日宣材なんだったら早く寝てコンディション整えなきゃ。」
僕はやっと逃げられる、とばかりにそう言う。
『そういうもんなの?……じゃああと片付けして寝ようか。………………あああ!!』
「!!びっくりした!なんなのもう!」
『手の傷だよライ!ちゃんと消毒した?』
「……あ。」
ほらもう……!となぜかプリプリ怒りながら消毒薬を持ってくるサンにもう大丈夫だから!と言ったら手を掴まれ傷を観察された。
『もうちゃんと塞がってそうだから大丈夫だと思うけど気をつけてよ?』
「……ごめん。」
『はい!罰金~!』
「え!?……ちょっとわざとじゃん!?」
違う違う!と言いながら嬉々としてシールを貼り、手早くあと片付けをしてじゃあおやすみ!と部屋へと入っていったサンの背中を見やり僕はため息をつく。
(これ1ヶ月やっていけるのかなぁ……。)
憂鬱な気分になりながら足取り重く自室へ入った僕はまた深いため息をついた。
ピロン。
スマホが鳴ってふと見ると
佳マネ、の文字。
{明日のスケジュールなんだけどラジオ収録の時、太陽を連れてくから。見学させてやってよ。拓がマネージャーにつくから。}
(めんどくせえー……。)
心底ウンザリして僕は仕方なく了解のスタンプを返した。
(それにしても……拓マネさんがつくってことは相当力をいれてんだな……。)
うちの事務所は社長とマネージャーが3人、所属俳優が6人、と小規模な事務所だ。
しかも家族経営。
社長が篠宮太郎、マネージャーが双子の息子篠宮拓郎と篠宮佳郎。ちなみに二卵性双生児で外見はあまり似てはいない。その姉の圭が総括マネージャー。
拓マネのほうが敏腕で佳マネは少しおっとりした感じで僕は佳マネで助かってる。
(拓マネ苦手なんだよ……。)
あとの5人は30代のノリにのった俳優さん。女性3人と男性2人。
僕の先輩たちだ。
とにかく。明日のために寝ないと。
そう思いベッドに入った。
「はぁ!?」
『だって俺だけじゃあ不公平だもん。プレゼントにするなら金額多い方がいいし!』
ハハハと笑ってそんな言葉を発しサンは500円玉たくさんいるよな……どうしようか、なんて考え込んでいる。全然可愛くなんてない僕にどれだけ可愛いを言うつもりなんだ…。
僕が呆然としていると
いいこと思いついた!と席を立つサン。
『このホワイトボードにこのシールを貼っていこう!よし、それがいい!最後に精算ね!……線ひいて、サン、ライと書けばいいね!俺は青、ライは赤ね!』
さっきの500円返して~!ここに1個貼ったから、と真面目な顔で手を出して言ってくるので呆れ顔で硬貨を手のひらに置いた。
「そのホワイトボードはスケジュールとか書くやつじゃん……。」
悔し紛れにそう呟く僕にサンはスケジュールはこの下に書けばいいよ、と嬉しそうにしていて。
(変な人……。)
『そういえばライ、明日のスケジュールは?』
「えっと9時にマネさん迎えに来て雑誌の取材5社とラジオ収録2本とCMの打ち合わせとドラマの衣装合わせ、かな。」
『い、忙しそうだなぁ……。』
「こんなもんだよ。」
『カッコイイ!……はノーカンだよな?』
「……バカじゃないの?そっちは?」
『ハハ!……あ、スケジュール?明日、宣材写真を撮るって言ってた。』
「……なるほど。マネは誰になるんだろう?明日宣材なんだったら早く寝てコンディション整えなきゃ。」
僕はやっと逃げられる、とばかりにそう言う。
『そういうもんなの?……じゃああと片付けして寝ようか。………………あああ!!』
「!!びっくりした!なんなのもう!」
『手の傷だよライ!ちゃんと消毒した?』
「……あ。」
ほらもう……!となぜかプリプリ怒りながら消毒薬を持ってくるサンにもう大丈夫だから!と言ったら手を掴まれ傷を観察された。
『もうちゃんと塞がってそうだから大丈夫だと思うけど気をつけてよ?』
「……ごめん。」
『はい!罰金~!』
「え!?……ちょっとわざとじゃん!?」
違う違う!と言いながら嬉々としてシールを貼り、手早くあと片付けをしてじゃあおやすみ!と部屋へと入っていったサンの背中を見やり僕はため息をつく。
(これ1ヶ月やっていけるのかなぁ……。)
憂鬱な気分になりながら足取り重く自室へ入った僕はまた深いため息をついた。
ピロン。
スマホが鳴ってふと見ると
佳マネ、の文字。
{明日のスケジュールなんだけどラジオ収録の時、太陽を連れてくから。見学させてやってよ。拓がマネージャーにつくから。}
(めんどくせえー……。)
心底ウンザリして僕は仕方なく了解のスタンプを返した。
(それにしても……拓マネさんがつくってことは相当力をいれてんだな……。)
うちの事務所は社長とマネージャーが3人、所属俳優が6人、と小規模な事務所だ。
しかも家族経営。
社長が篠宮太郎、マネージャーが双子の息子篠宮拓郎と篠宮佳郎。ちなみに二卵性双生児で外見はあまり似てはいない。その姉の圭が総括マネージャー。
拓マネのほうが敏腕で佳マネは少しおっとりした感じで僕は佳マネで助かってる。
(拓マネ苦手なんだよ……。)
あとの5人は30代のノリにのった俳優さん。女性3人と男性2人。
僕の先輩たちだ。
とにかく。明日のために寝ないと。
そう思いベッドに入った。
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