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きみは晶一朗、ぼくは維。⑤
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高校の卒業式が終わって僕は
晶一朗に誘われて
一緒に海へ出掛けた。
『わぁ~!冬の海もいいね!晶一朗!』
「ああ!そうだなぁ~!
ねぇ、維。ここ座ろうか。」
うん、と返事をしてとなりに座り
肩に頭をもたせかける。
『晶一朗。高校生活楽しかったね…。』
「そうだな…。うん。
いつも一緒にいられて。
………………でもこれから社会人だ。」
『うん…。』
「がんばらなきゃな…。」
晶一朗は僕の手を
ぎゅっと握り言った。
「連れていきたいところが
あるんだ。」
『…?…どこ?』
「来て。」
手を引かれ晶一朗について行く。
少し暗くなった砂浜を歩いていくと
何かが光って見えた。
近づいていくとそれは
ハートの形に並べられたLEDライト。
『わぁぁ…』
僕をそのハートの中に立たせると
晶一朗は緊張したように手汗を拭き
コホンと咳をしてから話し出した。
「俺たちきっと、さ。
この地球が始まった時からずっと
何度も繰り返し愛し合ってきた。
だからこの地球が終わる時まで
これからも何度でも愛し合いたい。
ずっと俺についてきてほしい。」
『晶一朗…。うん…グズッ………。
ずっと、ずっとずっとついていきます。
何度でも何度でも愛し合いましょう。
よろしくお願いします。』
これ…、とそっと僕の左手を持ち上げて
薬指に指輪をはめてくれた。
「俺、自分の買えなかったんだ…。
お金足りなくて…。
取り置きしてもら………」
『晶一朗。手、出して。』
「え?」
『手、だして 。』
僕はポケットから指輪を出した。
「な、なんで、それっ…。」
『実はうちの母親がね…。
晶一朗が指輪買ってるのを
見かけて、声かけようと思ったら
ちょうどタイミング悪くて
かけそびれて…。
たまたまそのアクセサリー屋さんの
店員さんと知り合いで
指輪の取り置きの話を聞いちゃって…。
それで僕に教えてくれたの。
だから僕、バイトしてそれを
買ったんだ。はい、はめてあげる。』
呆然と涙を流し佇んでいる晶一朗の
左手を持ち上げて薬指に指輪をはめる。
『前に晶一朗がプロポーズ
してくれたときあったでしょ?
僕、ロマンチックじゃない、なんて
照れ隠しで言っちゃって
後悔してたの。
今日こんなに素敵なプロポーズ
してくれて本当にありがとう。
嬉しかった。
僕からもプロポーズします。
僕は君と繰り返しずっとずっと
愛し合えてとても幸せです。
君がいるから僕がいるんだよ。
これからもずっと必ず僕のところに
きてください。
いつも待っているから。』
「維…。」
『晶一朗…。』
ふふふふ…と僕達は笑って
ハートの中に座った。
『これ、いつの間に?』
「実は親父に手伝ってもらった。」
『えっ!お義父さん?』
僕はキョロキョロと辺りを見回す。
「もう、帰ったよ。ふふふ…。
今度両家の顔合わせしような。
…………あ、それから…。」
『ん?』
「ごめん、俺18になったら
パートナーシップ宣誓しよう、って
言ったのに20歳からだった…。」
『そんなこと…謝らなくてもいいよ。
どのみちこの春から
一緒に住むんだし。』
「ああ。楽しみだなぁ…。」
『んふふ…うん。』
「それはそうと維
いつバイトなんてしてたの?」
『あぁ…あのね。うちの母親がね。
いろんな事情で学校に行けない
子供たちを支援する会社を
立ち上げたんだ。
ひきこもりとかで外に出ることが
できない子達にオンラインで
家庭教師をするバイトを
させてもらってた。』
「それは…。安心だ。」
『え?』
「外で襲われる心配がない。」
『!!もう!晶一朗ったら!
子供のときじゃないんだし
もう襲われないよ…。んふふ…。
でね。僕まだ就職決まってないでしょ?
このまま母親の会社に入らない?って
言われてるんだけどどう思う?』
「俺は大賛成だよ!
家でする仕事だろっ?」
『う、うん…。だいたいは。』
「それがいい!そうしな!」
僕を抱きしめる晶一朗。
これで安心だ…と耳元で囁かれる。
「これで維に変な虫が
つく心配が減る………。よし。」
『逆に僕は晶一朗が心配だ。
そんなかっこいい顔して爽やかだし
優しいし…。営業職なんて…。
狙われまくるよ…。』
「俺は維一筋だから
心配するな。絶対ない。」
『ふふふ…。家で晶一朗の
帰りを待ってるね。』
「うん。俺、これでしっかりと
仕事に向かえる。維が
待っててくれるからがんばれる。」
『晶一朗は保険業界でのお仕事
大変になるだろうね…。
でも晶一朗なら大丈夫。
体を壊さないように僕が
管理するからね。僕は厳しいよ?』
「あはは!よろしくお願いします!」
『ふふふふ…。』
笑いあっていつまでも手を繋ぎ
寄せては返す波の音を聞いていた。
僕達は僕の実家で生活を
始めることになった。
母親が再婚して家を出たのだ。
僕が長年慣れた居場所でもあり
晶一朗の職場に通勤が
便利なこともあって
母親の好意に甘えた形になった。
晶一朗に誘われて
一緒に海へ出掛けた。
『わぁ~!冬の海もいいね!晶一朗!』
「ああ!そうだなぁ~!
ねぇ、維。ここ座ろうか。」
うん、と返事をしてとなりに座り
肩に頭をもたせかける。
『晶一朗。高校生活楽しかったね…。』
「そうだな…。うん。
いつも一緒にいられて。
………………でもこれから社会人だ。」
『うん…。』
「がんばらなきゃな…。」
晶一朗は僕の手を
ぎゅっと握り言った。
「連れていきたいところが
あるんだ。」
『…?…どこ?』
「来て。」
手を引かれ晶一朗について行く。
少し暗くなった砂浜を歩いていくと
何かが光って見えた。
近づいていくとそれは
ハートの形に並べられたLEDライト。
『わぁぁ…』
僕をそのハートの中に立たせると
晶一朗は緊張したように手汗を拭き
コホンと咳をしてから話し出した。
「俺たちきっと、さ。
この地球が始まった時からずっと
何度も繰り返し愛し合ってきた。
だからこの地球が終わる時まで
これからも何度でも愛し合いたい。
ずっと俺についてきてほしい。」
『晶一朗…。うん…グズッ………。
ずっと、ずっとずっとついていきます。
何度でも何度でも愛し合いましょう。
よろしくお願いします。』
これ…、とそっと僕の左手を持ち上げて
薬指に指輪をはめてくれた。
「俺、自分の買えなかったんだ…。
お金足りなくて…。
取り置きしてもら………」
『晶一朗。手、出して。』
「え?」
『手、だして 。』
僕はポケットから指輪を出した。
「な、なんで、それっ…。」
『実はうちの母親がね…。
晶一朗が指輪買ってるのを
見かけて、声かけようと思ったら
ちょうどタイミング悪くて
かけそびれて…。
たまたまそのアクセサリー屋さんの
店員さんと知り合いで
指輪の取り置きの話を聞いちゃって…。
それで僕に教えてくれたの。
だから僕、バイトしてそれを
買ったんだ。はい、はめてあげる。』
呆然と涙を流し佇んでいる晶一朗の
左手を持ち上げて薬指に指輪をはめる。
『前に晶一朗がプロポーズ
してくれたときあったでしょ?
僕、ロマンチックじゃない、なんて
照れ隠しで言っちゃって
後悔してたの。
今日こんなに素敵なプロポーズ
してくれて本当にありがとう。
嬉しかった。
僕からもプロポーズします。
僕は君と繰り返しずっとずっと
愛し合えてとても幸せです。
君がいるから僕がいるんだよ。
これからもずっと必ず僕のところに
きてください。
いつも待っているから。』
「維…。」
『晶一朗…。』
ふふふふ…と僕達は笑って
ハートの中に座った。
『これ、いつの間に?』
「実は親父に手伝ってもらった。」
『えっ!お義父さん?』
僕はキョロキョロと辺りを見回す。
「もう、帰ったよ。ふふふ…。
今度両家の顔合わせしような。
…………あ、それから…。」
『ん?』
「ごめん、俺18になったら
パートナーシップ宣誓しよう、って
言ったのに20歳からだった…。」
『そんなこと…謝らなくてもいいよ。
どのみちこの春から
一緒に住むんだし。』
「ああ。楽しみだなぁ…。」
『んふふ…うん。』
「それはそうと維
いつバイトなんてしてたの?」
『あぁ…あのね。うちの母親がね。
いろんな事情で学校に行けない
子供たちを支援する会社を
立ち上げたんだ。
ひきこもりとかで外に出ることが
できない子達にオンラインで
家庭教師をするバイトを
させてもらってた。』
「それは…。安心だ。」
『え?』
「外で襲われる心配がない。」
『!!もう!晶一朗ったら!
子供のときじゃないんだし
もう襲われないよ…。んふふ…。
でね。僕まだ就職決まってないでしょ?
このまま母親の会社に入らない?って
言われてるんだけどどう思う?』
「俺は大賛成だよ!
家でする仕事だろっ?」
『う、うん…。だいたいは。』
「それがいい!そうしな!」
僕を抱きしめる晶一朗。
これで安心だ…と耳元で囁かれる。
「これで維に変な虫が
つく心配が減る………。よし。」
『逆に僕は晶一朗が心配だ。
そんなかっこいい顔して爽やかだし
優しいし…。営業職なんて…。
狙われまくるよ…。』
「俺は維一筋だから
心配するな。絶対ない。」
『ふふふ…。家で晶一朗の
帰りを待ってるね。』
「うん。俺、これでしっかりと
仕事に向かえる。維が
待っててくれるからがんばれる。」
『晶一朗は保険業界でのお仕事
大変になるだろうね…。
でも晶一朗なら大丈夫。
体を壊さないように僕が
管理するからね。僕は厳しいよ?』
「あはは!よろしくお願いします!」
『ふふふふ…。』
笑いあっていつまでも手を繋ぎ
寄せては返す波の音を聞いていた。
僕達は僕の実家で生活を
始めることになった。
母親が再婚して家を出たのだ。
僕が長年慣れた居場所でもあり
晶一朗の職場に通勤が
便利なこともあって
母親の好意に甘えた形になった。
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