きみがいるからぼくがいる

勇黄

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きみは晶一朗、ぼくは維。②(清と茂)

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僕はしょうちゃんと同じ高校に入る為に
ものすごくがんばって勉強をしている。


























しょうちゃんにランクを
落とさせる訳にはいかないから。




























もちろんしょうちゃんは
僕に合わせると言ってくれたけど。

























そんなのダメ、だよね。

























僕は必死にその事を伝え
しょうちゃんに家庭教師をお願いした。

























「だから…ここは…。」

















  
『ん?なんでそうなるの?』





















「これをこうして…。」






















『あ!…なるほど………。えっ…。』






















「なぁ…たもつ………。」






















いきなりしょうちゃんに
手を握られて赤面する。

























『ちょっ…しょうちゃん?』



























「いつも勉強ばかり…。」


























『だってしょうちゃんと…。
しょうちゃんと一緒の高校に
行きたい!だからお願い!』



























「…………………わかったよ。」


























頭をポリポリと掻きまた僕に
寄り添ってくれた。

























『ありがと…。僕…。
あの時のトラウマがあって…。
ねぇきよし………。あの時
とても悲しかったんだ…。』
























「ん?…………あぁ…。あれは…。
あれは俺もそうだよ…。
あの時はつらかったな…しげる…。」
























『同じ船で行くはずだったのに
急に僕だけ病気になって
乗せてもらえなかった。』



























「戦争の時だからな…。
あれは仕方なかったとはいえ…
悲しかった…。あの時のことは
思い出したくないな…。」






















『うん…。』























あまりに突然の別れで呆然としたまま
船で戦地へ赴いたきよし
敵の爆撃を受けて戦死し
残ったしげるは戦争が終わったあと
病気で亡くなった。










































「それより!お菓子食う?」



















明るい声でしょうちゃんは言う。





















『今、ダイエット中なの。』






















「なんだよ?それ以上痩せたら
ガリガリじゃないか!」




















『だって…しょうちゃんこないだ
モデルの男性ひと見てかっこいいな、って
言ってたから…僕もあんなにすらっと
なりたいなぁ、って…。』






















「!!あ、あれは…。俺があんな感じに
なったらたもつにもっとかっこいいと
思ってもらえると思って…。」


























『えっ…。』





















「たったもつはそんな必要ないよ!
じゅうぶん可愛いから…。」 





















『しょ、しょうちゃん…。
しょうちゃん、今のままで
じゅうぶん…いやじゅうにぶんに
カッコいい、よ?』


























「ふっ…。」『ふふふ…。』





















笑いあって手を握りあうと
しょうちゃんは真っ赤になって言った。

























「や、やぱお菓子持ってくる!
飲み物は麦茶でいい?」






















『う、うん…。』





















僕も真っ赤になり俯いた。


























たもつ…。俺はさ、こないだも言ったけど
早く一緒に暮らしたい。
たもつもそう思ってくれてる?」






















『しょうちゃん…。もちろんだよ…。』
























晶一朗しょういちろうってこれからは
呼んでくれない、か?」






















僕はゴクッ、と喉をならし頷いた。
















『し…晶一朗しょういちろう
僕は必ず晶一朗しょういちろうに着いていくよ。
僕と晶一朗しょういちろう
2人で1つだと思ってる…。
僕は…僕は…………必ず…。』




























「もう…言う、な……………。
わかってる。」























そっと僕を抱きしめてしょうちゃんは
背中を摩ってくれる。


























『なんでしょうちゃん、じゃ
だめなの?』

























「………………。だって………。
大人って感じ、じゃん?」
 






















『!!………そ、そんな理由?
うふふふふ…。可愛い…。』
























「ばっ!……早く大人になりたい、んだ…。
…っう………。そ、それが…。
それが子供っぽい、のか………?」


























真っ赤になってもごもごと呟く
しょうちゃんに愛おしさが溢れ
腰にまわした手を強くした。

























晶一朗しょういちろう…。晶一朗しょういちろう…。
晶一朗しょういちろう…。晶一朗しょういちろう…。』




























たもつ…。」

























『ずっと一緒にいようね。
………そのためにはまず、勉強!ね…。』



























「………………………わかった。
よし、本腰入れてビシバシ鍛えるぞ!
覚悟しろよ、たもつ!」



























ふふふふふ…。
笑い合うと幸せでつい涙が出る。



























晶一朗しょういちろう
僕、がんばるからね!』

























涙を拭いながら体を離して
握りこぶしを見せた。



























「バカだなぁ、泣いて…。」























『えへへ…。』
























僕の頬を撫でるしょうちゃんの手が熱い。



























「…………………。じゃあ、これ宿題!
明日までに!」
























ばさっ、とプリントを渡された。























『えっ………えええ!
いきなりスパルタ!…あ、ははは!』

























「やらない子はおしおきするぞ~!
ぐははは!」





























2人は笑顔に満ちたその部屋で
平和への祈りをそっと捧げた。
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