64 / 108
家族なんて思えない
1
しおりを挟む
それから3日が過ぎ、今日は文都君が側にいてくれた。
大学の授業を終えて、夕方になってたけど、息を切らせて帰ってきてくれた。
それまでは鍵をかけて、絶対に外に出ない約束で。
『文都君ごめんね、慌てさせて。私なら大丈夫だから、もっとゆっくりで…』
『何が大丈夫なんですか!あんな凶暴な人がいつ結菜さんを襲ってくるかわからないのに』
『文都君、怖いよ…』
声を荒らげるなんて、いつもの文都君らしくなかった。
『ごめんなさい。でも、もし結菜さんに何かあったらと思ったら…いてもたってもいられなくて。授業も身に入らないくらい心配で』
『そこまで心配させて…ごめんなさい。そうだよね…文都君は優しいもん。本気で心配してくれてるんだよね』
『当たり前ですよ。結菜さんのためなら、僕は…』
文都君の顔は真剣だった。
『僕は、体を張って守ります。例え傷ついたとしても、結菜さんが大丈夫ならそれでいい…』
『何言うの?ダメだよ、そんなの。大切な文都君が私のせいで傷ついたら、とてもご両親に顔向けできないよ』
『…結菜さんは、僕をただの同居人としてしか見てないんですね』
文都君…?
どうして今日はそんなにムキになるの?
『文都君は大切な家族だよ。一緒に暮らす本当に大切な…』
『家族?僕は結菜さんの息子にはなれないし、そんな気持ちで結菜さんと一緒にいるんじゃない』
『…文都…君…?』
『僕は、祥太君や颯君みたいにカッコよくないし、上手く話せないけど…それでも、それでも結菜さんが…』
そう言って、文都君は私を包み込むように優しく抱きしめ、そして…続けた。
『僕は、結菜さんが好きです』
文都君…あなたまで…
みんなどうしたって言うの?
そして、文都君は優しく私を離した。
大学の授業を終えて、夕方になってたけど、息を切らせて帰ってきてくれた。
それまでは鍵をかけて、絶対に外に出ない約束で。
『文都君ごめんね、慌てさせて。私なら大丈夫だから、もっとゆっくりで…』
『何が大丈夫なんですか!あんな凶暴な人がいつ結菜さんを襲ってくるかわからないのに』
『文都君、怖いよ…』
声を荒らげるなんて、いつもの文都君らしくなかった。
『ごめんなさい。でも、もし結菜さんに何かあったらと思ったら…いてもたってもいられなくて。授業も身に入らないくらい心配で』
『そこまで心配させて…ごめんなさい。そうだよね…文都君は優しいもん。本気で心配してくれてるんだよね』
『当たり前ですよ。結菜さんのためなら、僕は…』
文都君の顔は真剣だった。
『僕は、体を張って守ります。例え傷ついたとしても、結菜さんが大丈夫ならそれでいい…』
『何言うの?ダメだよ、そんなの。大切な文都君が私のせいで傷ついたら、とてもご両親に顔向けできないよ』
『…結菜さんは、僕をただの同居人としてしか見てないんですね』
文都君…?
どうして今日はそんなにムキになるの?
『文都君は大切な家族だよ。一緒に暮らす本当に大切な…』
『家族?僕は結菜さんの息子にはなれないし、そんな気持ちで結菜さんと一緒にいるんじゃない』
『…文都…君…?』
『僕は、祥太君や颯君みたいにカッコよくないし、上手く話せないけど…それでも、それでも結菜さんが…』
そう言って、文都君は私を包み込むように優しく抱きしめ、そして…続けた。
『僕は、結菜さんが好きです』
文都君…あなたまで…
みんなどうしたって言うの?
そして、文都君は優しく私を離した。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
恋煩いの幸せレシピ ~社長と秘密の恋始めます~
神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
会社に内緒でダブルワークをしている芽生は、アルバイト先の居酒屋で自身が勤める会社の社長に遭遇。
一般社員の顔なんて覚えていないはずと思っていたのが間違いで、気が付けば、クビの代わりに週末に家政婦の仕事をすることに!?
美味しいご飯と家族と仕事と夢。
能天気色気無し女子が、横暴な俺様社長と繰り広げる、お料理恋愛ラブコメ。
※注意※ 2020年執筆作品
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。
◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。
◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。
◆カクヨムさん/エブリスタさん/なろうさんでも掲載してます。
極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
葉月 まい
恋愛
『極上の彼女と最愛の彼』第3弾
メンバーが結婚ラッシュの中、未だ独り身の吾郎
果たして彼にも幸せの女神は微笑むのか?
そして瞳子や大河、メンバー達のその後は?
冷酷社長に甘く優しい糖分を。
氷萌
恋愛
センター街に位置する高層オフィスビル。
【リーベンビルズ】
そこは
一般庶民にはわからない
高級クラスの人々が生活する、まさに異世界。
リーベンビルズ経営:冷酷社長
【柴永 サクマ】‐Sakuma Shibanaga-
「やるなら文句・質問は受け付けない。
イヤなら今すぐ辞めろ」
×
社長アシスタント兼雑用
【木瀬 イトカ】-Itoka Kise-
「やります!黙ってやりますよ!
やりゃぁいいんでしょッ」
様々な出来事が起こる毎日に
飛び込んだ彼女に待ち受けるものは
夢か現実か…地獄なのか。
もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
泉南佳那
恋愛
イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!
どうぞお楽しみいただけますように。
〈あらすじ〉
加藤優紀は、現在、25歳の書店員。
東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。
彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。
短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。
そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。
人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。
一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。
玲伊は優紀より4歳年上の29歳。
優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。
店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。
子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。
その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。
そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。
優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。
そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。
「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。
優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。
はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。
そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。
玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。
そんな切ない気持ちを抱えていた。
プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。
書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。
突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。
残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる