優しい愛に包まれて～イケメンとの同居生活はドキドキの連続です～

それぞれの思い

3

『これ…帰りに買いました。良かったら食べて下さい』


私は、それを受け取って袋の中を見た。


『クッキーじゃない！これ、すごく美味しそう』


文都君は照れたように微笑んで、キッチンを出ようとした。


『ありがとう』


私は、その後ろ姿に向かってお礼を言った。


そしたら、文都君…


ただコクってうなづいて、振り向かずに出て行った。


優しい3人。


祥太君も、文都君も、颯君も…3人には最初からドキドキさせられっぱなし。


この同居を始めて何だか毎日に張りが出て、趣味や家事が楽しいって、すごく思えるようになった。


いろんなことに感謝したり、感情を表せたり、そんな当たり前のことも、また少しずつできるようになってきて、それは間違いなくみんなのおかげだって、そう思ってる。


凍りつき、閉ざしてた心がどんどん溶けていくのがわかる。


本当に…みんな、ありがとう。


夜になるとみんなが帰ってきて、順番にお風呂に入ったり、リビングにいたり、部屋にこもったり、それぞれ好きに過ごしていた。


旦那と3人の男子達は、2階のバスルームを。


女性陣は、１階のバスルームを使っている。


ビールやワインセラーのワインを開けて飲んでもらうのも自由にしていた。


未成年のひなこちゃんは、もちろんジュースだけど。


ただ、みんなはあまりアルコールは飲まないみたいで、ひたすら旦那が飲んでいるところしか見ていない。


今、リビングにはひなこちゃんがいる。


食事を終えて帰ってきてゆっくりくつろいでいた。


声をかけようと思って近づいたら、何か食べていたから見てみたら、それは…


私が文都君からもらったクッキーだった。


『あ、大家さん。このクッキーすごく美味しいですね』


『あ、これは…』


『え？どうしたんですか？』


可愛い瞳で私を見つめるひなこちゃん。


『ごめん…これは私の…』


『え？これ、大家さんのクッキーなんですか？』


そう言って、ひなこちゃんはクスクス笑った。


『えと、あのね、これは…』


『何かクッキーくらいでケチケチしてません？』