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それぞれの日常
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『謝ることなんかないよ。文都君は毎日毎日本当に勉強頑張ってるし、レポートや研修とかで大変なんだから。そんな気を遣わなくて大丈夫だよ。うん、でも何かお願いがあれば言うね』
文都君は、ニコッと笑ってうなづいた。
細くなった眼鏡の奥の瞳が可愛く思える。
『あの…結菜さん…今朝の髪型すごく似合ってますね…あ、じゃあ、図書館行ってきます』
一礼してから出ていった文都君。
か、髪型、ほめてもらった…
ただハーフアップにしただけなのに。
旦那には髪型なんてほめられたことないから、慣れてなくて自然に顔が赤くなった。
文都君は大人しいけど、人一倍優しくて思いやりがある素晴らしい青年だ。
将来お医者さんになったら…
きっと病院は「神田文都先生」目当ての女性の患者さんでいっぱいになるだろうな。
イケメン過ぎて、血圧が上がったり、大変なことになりそう。
って、そんな想像、ちょっと不謹慎だったかな。
でも、私も…
いつか、名医の文都先生に診てもらいたいな。
祥太君と文都君を見送り、私は掃除の続きをしながら、今夜のカレーの具材を何にしようか考えていた。
『大家さん。今日は、私、友達と出かけてきます』
慌てて階段から降りてきて、ひなこちゃんが言った。
かなり急いでいるみたいだった。
薄いピンク色の可愛いワンピース、本当に良く似合ってる。
『そうなんだ、夕食はどうする?土日は自由だから遠慮なく言ってね』
『今日はいりません。友達と食べてくるんで。美味しいパスタのお店があるんです。じゃあ、いってきます』
『気をつけてね。いってらっしゃい』
ひなこちゃんは彼氏と会うのかな?
聞いてみたい気もしたけど、残念ながらそんな話をする関係にはまだなれていなかった。
なかなか「大家さん」から昇格できなくて、少し寂しい思いをしてる。
あとは颯君と智華ちゃんだな。
颯君も今日は美大が休みで部屋にこもっていた。
頼まれた挿絵の仕事を頑張っているみたい。
そういう仕事をたまに入れて収入を得ているようで、別荘に住むようになってからは、さらにバイトも探して、近くのスーパーの惣菜売り場でも働くようになった。
私もたまにそのスーパーに買い物に行くけど、唐揚げがすごく美味しくて。
お客さんから見える場所で颯君がフライヤーで調理してて、直接、話をしながら売っている。
持ち前の愛想の良さと、あまりにもオシャレなイケメンぶりに、颯君がバイトの時は売り上げが明らかに上がるらしく、店長が喜んでいた。
どこにいても人気者の颯君。
その明るさでみんなを癒してくれる彼に、私は心から感謝していた。
文都君は、ニコッと笑ってうなづいた。
細くなった眼鏡の奥の瞳が可愛く思える。
『あの…結菜さん…今朝の髪型すごく似合ってますね…あ、じゃあ、図書館行ってきます』
一礼してから出ていった文都君。
か、髪型、ほめてもらった…
ただハーフアップにしただけなのに。
旦那には髪型なんてほめられたことないから、慣れてなくて自然に顔が赤くなった。
文都君は大人しいけど、人一倍優しくて思いやりがある素晴らしい青年だ。
将来お医者さんになったら…
きっと病院は「神田文都先生」目当ての女性の患者さんでいっぱいになるだろうな。
イケメン過ぎて、血圧が上がったり、大変なことになりそう。
って、そんな想像、ちょっと不謹慎だったかな。
でも、私も…
いつか、名医の文都先生に診てもらいたいな。
祥太君と文都君を見送り、私は掃除の続きをしながら、今夜のカレーの具材を何にしようか考えていた。
『大家さん。今日は、私、友達と出かけてきます』
慌てて階段から降りてきて、ひなこちゃんが言った。
かなり急いでいるみたいだった。
薄いピンク色の可愛いワンピース、本当に良く似合ってる。
『そうなんだ、夕食はどうする?土日は自由だから遠慮なく言ってね』
『今日はいりません。友達と食べてくるんで。美味しいパスタのお店があるんです。じゃあ、いってきます』
『気をつけてね。いってらっしゃい』
ひなこちゃんは彼氏と会うのかな?
聞いてみたい気もしたけど、残念ながらそんな話をする関係にはまだなれていなかった。
なかなか「大家さん」から昇格できなくて、少し寂しい思いをしてる。
あとは颯君と智華ちゃんだな。
颯君も今日は美大が休みで部屋にこもっていた。
頼まれた挿絵の仕事を頑張っているみたい。
そういう仕事をたまに入れて収入を得ているようで、別荘に住むようになってからは、さらにバイトも探して、近くのスーパーの惣菜売り場でも働くようになった。
私もたまにそのスーパーに買い物に行くけど、唐揚げがすごく美味しくて。
お客さんから見える場所で颯君がフライヤーで調理してて、直接、話をしながら売っている。
持ち前の愛想の良さと、あまりにもオシャレなイケメンぶりに、颯君がバイトの時は売り上げが明らかに上がるらしく、店長が喜んでいた。
どこにいても人気者の颯君。
その明るさでみんなを癒してくれる彼に、私は心から感謝していた。
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