あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

結婚式と久しぶりの再会

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『時間なんて関係ないよ。ずっと近くで父さんを見てて思ってた。俺とは違うけど、でも…好きな人を想い続けてる父さんは…やっぱりいつも幸せそうだったから。そして…今日結ばれた。本当に幸せだよ、父さんは。あっ、でも俺は大丈夫だし、心配しないで。例え雫ちゃんと結ばれなくても…それでもいいって、もうずっと前から思ってるから。雫ちゃんが幸せならそれでいい』


優しくて穏やかな顔…


そんなこと言われたら、やっぱり切なくなるよ。


『慧君の気持ち嬉しい。でもね、ちゃんと…良い人を見つけて欲しいよ。たった1度きりの人生だから。慧君なら、絶対素敵な人が見つかるはずだよ』


こんなに優しくてカッコいいんだもん。


探せばきっとすぐに見つかるのに…


『そんな簡単にはいかない…かな。北海道に来て、何人か告白されたけど、でも…なかなか本気になれる人がいない。年齢を考えて、妥協してって思うけど…やっぱり…出来ない。このまま俺は1人の方がいいのかもしれないって』


『慧君…』


『1人でいる方が落ち着くし…それに、今誰かと付き合ったとしても、仕事と勉強とで結構ハードだから、ゆっくりデートも出来ないだろうしね。ほんの少しでも時間が空いたら寝ていたいし』


確かにそうかもしれないけど…


『でも、一生1人なのは…寂しくないの？』


『俺…1人じゃないから。1人だなんて思ったことないよ。いつも側に父さんとあんこさん、親戚のみんながいてくれるし…結構毎日にぎやかだよ』


『うん…それは心強いよね…』


『それに…何度も言うけど…俺には雫ちゃんがいるから。たまにだけど、声は聞ける。遠くにいても…それでも繋がってると思える。だから、俺は…このままで十分幸せだよ。嘘やごまかしじゃないし、もちろん負け惜しみでもないから。本当にそう思ってるから安心して』


慧君はその言葉を一言一句丁寧に、そして、静かに言った。


それが、私の心に優しく突き刺さった。