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広い大地で愛を語る

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オシャレでダンディな人が入って来たと思ったら、少し白髪がまざった東堂社長だった。


この年齢にしたら、色気のある十分過ぎるくらいのイケメンだ。


『榊社長、雫ちゃん。みなさん、今日はようこそお越しくださいました。わざわざ…私達のためにありがとうございます』


『お久しぶりです、東堂社長。この度は、本当に…おめでとうございます』


祐誠さんが頭を下げた。


『榊社長には本当にお世話になりっぱなしで…明日の結婚式にまで参加していただけるなんて嬉しい限りです。皆さんもありがとうございます。どうぞゆっくりしていって下さいね』


それからしばらく、私達は「杏」で楽しいひとときを過ごし、夕方になってホテルに向かった。


ホテルの夕食には北海道の美味しい食材をふんだんに使った料理がたくさん出て来た。


そして、最上階にある大きな露天風呂から見えるロケーションに感激し…


みんなの顔にはずっと笑みがこぼれていた。


正孝は「おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に寝る!」なんて言って、隣の部屋に行ってしまった。


当然、大喜びの両親。


私達は2人に正孝をお願いして、久しぶりの夫婦だけの時間を過ごした。


思わず私は…


祐誠さんと恋人同士だった頃のことを思い出した。


プロポーズされたあの日…


私は、本当にこの人の奥さんとしてちゃんとやっていけるのか…って、不安もあった。


だけど、今は…


祐誠さんに守られて、なんとか頑張れてる。


もちろん、正孝や両親、そして、あんこさんやみんなにも…すごく助けられてるし。


だから、あの時の自分に言ってあげたいんだ。


「心配しなくていいよ。あなたは…みんなに支えられて必ず幸せになれるから。祐誠さんの胸に飛び込んで大丈夫だよ」


って…


今は、あの時感じた不安はない。


そして、もちろん…


後悔なんて一切なかった。
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