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うららかな5月、何かが始まる予感

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なのに…


ここから何かが始まるような気がして…


独りでに高ぶる心を…


私は、しばらく抑えることが出来なかった。


「杏」に着いて、あんこさんに事情を話すと、飛び上がってしまうくらいの勢いで興奮して…


『もうクロワッサンたくさん焼いちゃいな!会いたいなんてさ~あんな超絶イケメンに1度でいいから言われてみたいわぁ~めっちゃうらやましいわぁ~雫ちゃん、ほんま幸せやなぁ』


あんこさんのセリフ、標準語なのか関西弁なのか…ごっちゃになってて笑えた。


私以上にドキドキしてる?


本当に…可愛い人だな。


『いつもありがとうございます…じゃあ、遠慮なくキッチン借りますね』


うん、うんって、何度もうなづいてくれて、


『久しぶりに会えるね、榊社長さんに』


美しい瞳で私を見つめて、しみじみと言ってくれた。


その顔を見てたら、私は祐誠さんに本当に会えるんだ…


って、なんだか実感が沸いた気がした。


『はい』


『最近、ずっとうちにも来てもらえてなかったしね』


『ずっと本当に仕事が忙しくて、海外にも行って…たまたま大きな事業の契約とかが重なったみたいです。毎週月曜日の配達も、あんこさんのパンはずっと前田さんの胃袋に消えてましたから』


2人でちょっと笑う。


『そうだったね。でも前田さん、おかげでうちのパンのファンになってくれたもんね。イベントの時もかなり売り上げに貢献してくれてたし』


確かに、毎日買ってくれてたな…


一緒に働くスタッフなんだから、少しくらいサービスするのに「それはいけ ません!店長さんのパンのファンとして、キチンとお金を払います!」って…


メガネをキュッと整えて、真面目過ぎる顔で言ってたのが面白くて…可愛かった。


『前田さんって、誠実で素敵な人ですね。榊社長さんも、前田さんを信頼してるのがわかります』
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