あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

けいこ

文字の大きさ
上 下
55 / 172
ライバルと自分~希良side~

5

しおりを挟む
続き…


雫さんのこと…


『あ、はい。僕は…』


この人には、隠しても仕方ないと思った。


『雫さんのこと、好きですよ…すごく』


そうハッキリと言った僕の顔を、東堂さんは少しだけ驚いたように見た。


『そっか…』


僕はうなづく、そして…聞き返した。


『あなたも…ですよね?』


しばらく考えてたみたいだったけど、東堂さんもゆっくりと…うなづいた。


『俺達は…2人とも雫ちゃんが好きで、そして…あの人も…』


あの人とは、間違いなく榊社長のことだろう。


でも、僕も東堂さんも、敢えてその名前は出さなかった。


きっと…


あの人には敵わないかも知れないと…東堂さんも、どこかで感じてるのかも知れない。


『いつから雫さんのことを?』


僕は、少し話を逸らした。


『あ、ああ。雫ちゃんがあの店に来た時…もう、4、5年前かな?最初は、すごく素敵な人だなと思って…だんだん…って言う感じかな』


東堂さんは「杏」に出入りしてて、雫さんをずっと見て来たんだ…


どんな時もずっと…


そんな長い間、雫さんを見つめていられたこと、心からうらやましいと思った。


『東堂さんと雫さんは、同じ25歳なんですよね。いいなぁ、2人とも大人で。僕なんか20歳で、雫さんからしたら、ただの年下の男の子くらいにしか見てもらえてません、きっと…』


『雫ちゃんは別としても、俺はそんなに大人じゃないよ。中身は…渡辺君の方がしっかりしてる。それに俺も…彼女には友達…いや、ただの出入りの業者みたいに思われてるだけかも知れない…』


そう言って、東堂さんはグラスに残ったビールを飲み干した。


『告白は…しないんですか?僕は…この前しました。一緒にテーマパークに行って…でも、返事はもらえませんでした。はっきりフラれたわけじゃないけど…あれから、僕の気持ちは…かなり落ち込んでます』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現在の政略結婚

詩織
恋愛
断れない政略結婚!?なんで私なの?そういう疑問も虚しくあっという間に結婚! 愛も何もないのに、こんな結婚生活続くんだろうか?

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

消えた記憶

詩織
恋愛
交通事故で一部の記憶がなくなった彩芽。大事な旦那さんの記憶が全くない。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

処理中です...