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社長としてのあなた
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エレベーターが到着し、私は誰もいない廊下をずっと奥まで歩いた。
この先に…
あの人がいるの?
まだ信じられないけど…
ドアに近づくにつれ、少し足取りがゆっくりになる。
どうして私、こんなに緊張してるの?
ただの…パンの配達だよ。
榊社長と会うのは、配達を頼まれた時以来。
秘書の前田さんが「社長はかなり忙しい」って言ってた。
こんな大企業の社長なんだもん、当たり前だよね。
きっと今までも時間が無い中、無理矢理こじ開けて、時々「杏」に来てくれてたんだろう…
それは、あんこさんのパンが好きだから…
でも、やっぱり最近は忙しいのかな…
榊社長がお店に来ないこと、みんなも寂しがってる。
あんこさんも「あの綺麗な顔見ないと元気でないわぁ~」なんて言ってたし。
配達に行く私のこと「雫さんだけズルい」って、果穂ちゃんにもチクリと嫌味を言われた。
着いた…着いてしまった…
私は覚悟を決めて、その重厚なドアをノックした。
ガチャりとドアが開いて、秘書の前田さんが顔を出した。
相変わらず真面目な表情。
でも、私を見て、メガネの奥の目が細くなった。
その顔にちょっとだけホッとする。
『お待ちしておりました。どうぞお入りください』
私は、言われるままに中に入った。
顔を左に向けると、その広い部屋の真ん中には大きなテーブルとソファが並び、さらにその奥には社長だけが座ることの出来る立派な机と椅子が置かれていた。
両脇には観葉植物が飾られ、本棚には綺麗に本が整理されて並んでいる。
角部屋で、2面が全て大きな窓ガラスになっていて、外の景色が目に飛び込んで来た。
こんな高層から下を見下ろしたら、ちょっと足がすくみそうだ。
『社長はすぐ戻って参ります』
前田さんがそう言ったと同時に、さっきのドアから…
この先に…
あの人がいるの?
まだ信じられないけど…
ドアに近づくにつれ、少し足取りがゆっくりになる。
どうして私、こんなに緊張してるの?
ただの…パンの配達だよ。
榊社長と会うのは、配達を頼まれた時以来。
秘書の前田さんが「社長はかなり忙しい」って言ってた。
こんな大企業の社長なんだもん、当たり前だよね。
きっと今までも時間が無い中、無理矢理こじ開けて、時々「杏」に来てくれてたんだろう…
それは、あんこさんのパンが好きだから…
でも、やっぱり最近は忙しいのかな…
榊社長がお店に来ないこと、みんなも寂しがってる。
あんこさんも「あの綺麗な顔見ないと元気でないわぁ~」なんて言ってたし。
配達に行く私のこと「雫さんだけズルい」って、果穂ちゃんにもチクリと嫌味を言われた。
着いた…着いてしまった…
私は覚悟を決めて、その重厚なドアをノックした。
ガチャりとドアが開いて、秘書の前田さんが顔を出した。
相変わらず真面目な表情。
でも、私を見て、メガネの奥の目が細くなった。
その顔にちょっとだけホッとする。
『お待ちしておりました。どうぞお入りください』
私は、言われるままに中に入った。
顔を左に向けると、その広い部屋の真ん中には大きなテーブルとソファが並び、さらにその奥には社長だけが座ることの出来る立派な机と椅子が置かれていた。
両脇には観葉植物が飾られ、本棚には綺麗に本が整理されて並んでいる。
角部屋で、2面が全て大きな窓ガラスになっていて、外の景色が目に飛び込んで来た。
こんな高層から下を見下ろしたら、ちょっと足がすくみそうだ。
『社長はすぐ戻って参ります』
前田さんがそう言ったと同時に、さっきのドアから…
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