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覚悟と前進
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『…次回作の舞台。ホテルについても、君にいろいろ聞きたかったけど…それも、諦めるよ』
工藤様は、また空を見ながら言った。
ほんの少し眩しそうに目を細めて…
『本当にすみません。では、広報に…』
『それも遠慮するよ。しばらくは…ホテルを題材に書くのはつら過ぎるから』
そんな…
工藤様の作品、私のせいでダメになってしまったの?
どうしよう…
『…いつか、また…書いていただけますか?』
恐る恐る聞いた。
工藤様は、私の方を見てニコッと笑った。
何も言わなかったけど、私には「ああ、いつか必ず書くよ」って、そう言ってるように思えた。
都合の良い解釈かも知れないけど…
それでも、本当にそう思ったから。
工藤様はホテルの中に戻ろうとして、そして、入口のところでふと立ち止まった。
振り返って、
『…彼と…お幸せに。俺は、俺の道を真っ直ぐ行くよ。とてもゆっくりになるだろうけどね。隣に君はいないけど、頑張れるところまで、何とか1人でやってみるよ…』
そう言って、私の前からいなくなった。
その夜、私は隠し事はしたくなくて、絢斗に工藤様と茅野君のことを全て話した。
絢斗のベッドの中で…
『工藤様が一花を想っていることは、もちろんわかっていた。あの人には恐ろしい魅力がある。俺なんかには到底敵わない程の。だから、ずっと心配だった。茅野君にしても、素晴らしい容姿の持ち主で、性格も良くて…』
絢斗はそう言ったけど、私は…
誰よりも絢斗の魅力に惹かれていたよ。
『俺…正直、今、2人に対してヤキモチを妬いてしまってる。一花は、俺だけの物だ。誰にも…渡さない』
そうつぶやいて、絢斗はまた…
私の体を激しく求めた。
さっきまで愛し合って、もう十分に満たされたはずなのに…
でも、私の心と体も、まだあなたを欲しがっている。
敏感な体は嘘をつけない。
私って、こんな大胆な女だったんだ…
『一花…綺麗だ。この唇、胸、君の敏感な部分を俺は知ってる。もっと激しく君が乱れる姿を見たい。俺に一花の全てを見せてくれ』
絢斗の荒々しい息づかい。
私の体は、もうあなただけの物。
お願い…
もっと、もっと、絢斗の色で私を染め尽くして。
あなたの…が欲しい。
いやらしい私を開花させたあなたがいけないんだから。
もうどうしようないくらい、私は絢斗を感じて、気持ちよくなりたい。
だから…いっぱいして…お願い。
工藤様は、また空を見ながら言った。
ほんの少し眩しそうに目を細めて…
『本当にすみません。では、広報に…』
『それも遠慮するよ。しばらくは…ホテルを題材に書くのはつら過ぎるから』
そんな…
工藤様の作品、私のせいでダメになってしまったの?
どうしよう…
『…いつか、また…書いていただけますか?』
恐る恐る聞いた。
工藤様は、私の方を見てニコッと笑った。
何も言わなかったけど、私には「ああ、いつか必ず書くよ」って、そう言ってるように思えた。
都合の良い解釈かも知れないけど…
それでも、本当にそう思ったから。
工藤様はホテルの中に戻ろうとして、そして、入口のところでふと立ち止まった。
振り返って、
『…彼と…お幸せに。俺は、俺の道を真っ直ぐ行くよ。とてもゆっくりになるだろうけどね。隣に君はいないけど、頑張れるところまで、何とか1人でやってみるよ…』
そう言って、私の前からいなくなった。
その夜、私は隠し事はしたくなくて、絢斗に工藤様と茅野君のことを全て話した。
絢斗のベッドの中で…
『工藤様が一花を想っていることは、もちろんわかっていた。あの人には恐ろしい魅力がある。俺なんかには到底敵わない程の。だから、ずっと心配だった。茅野君にしても、素晴らしい容姿の持ち主で、性格も良くて…』
絢斗はそう言ったけど、私は…
誰よりも絢斗の魅力に惹かれていたよ。
『俺…正直、今、2人に対してヤキモチを妬いてしまってる。一花は、俺だけの物だ。誰にも…渡さない』
そうつぶやいて、絢斗はまた…
私の体を激しく求めた。
さっきまで愛し合って、もう十分に満たされたはずなのに…
でも、私の心と体も、まだあなたを欲しがっている。
敏感な体は嘘をつけない。
私って、こんな大胆な女だったんだ…
『一花…綺麗だ。この唇、胸、君の敏感な部分を俺は知ってる。もっと激しく君が乱れる姿を見たい。俺に一花の全てを見せてくれ』
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お願い…
もっと、もっと、絢斗の色で私を染め尽くして。
あなたの…が欲しい。
いやらしい私を開花させたあなたがいけないんだから。
もうどうしようないくらい、私は絢斗を感じて、気持ちよくなりたい。
だから…いっぱいして…お願い。
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