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切ない想いと告白

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『茅野君。そんなに私を想ってくれて、私を守ってくれて…本当にありがとう。痛い思いさせてごめんね』


『…そんなこと…謝らないで下さい』


『そこまで私を想ってくれてるって、すごく伝わったから、だから、もうちゃんと言うね』


これ以上、茅野君を縛ってちゃいけない。


そう思った。


『私ね…好きな人がいるって言ったよね。あれってね、うちの総支配人なんだ』


『え!?』


とても驚いた顔をしてる。


そりゃそうだよね、釣り合わないって思ってるよね。


だけど、茅野君も、私なんかじゃなく誰か他に想える人を探してもらいたかった。


だから、恥ずかしかったけど思い切って話したんだ。


『一花さんは、深月総支配人のことが好きなんですか?そんな近くに一花さんの想い人がいたなんて…』


茅野君は唇を噛み締めた。


そして、続けた。


『あんなにすごい人がライバルなんて…僕がどう頑張っても無理じゃないですか。絶対に勝てないですよ』


『ごめんなさい。私は、茅野君のことは、これから先も…』


『言わないでいいです!それ以上は…もう、わかりましたから…』


茅野君の声がだんだんかすれていくのがわかった。


『本当に…ごめん。でも、今まで通り、コンシェルジュとして仕事の上では協力し合いたいの。これからもずっと』


『そうですよね…はい、もちろんですよ。僕も…自分なりに努力して、早く1人前のコンシェルジュになりたいですから』


とっても優しい顔。


無理してでも笑顔を見せてくれて…


茅野君のトレードマーク、誰にも真似出来ないよ、こんなに素敵な笑顔は。


『これからも、よろしくね』


『はい。一花さんのこと、本当に忘れられるかわからないし、キッパリ諦められるのかも…全然わかりません。でも、今は仕事に打ち込みます。僕には頑張らないといけない理由があるんで』


『頑張る…理由?』


『はい。僕、実は、実家が旅館を経営してるんです。今は兄も手伝ってますから大丈夫なんですけど、いつかは僕もその旅館に戻ろうと思ってて』
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