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切ない想いと告白

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見たら、血がたくさん出て腕から滴り落ちていた。


『こんなに血が出てるのに大丈夫じゃないよ!ちょっと待って』


こういう時の対処法は、ホテルマンなら講習を受けているから心得てる。


急いでカバンの中からハンカチを取り出して止血した。


『…ありがとう…ございます』


茅野君?


泣いてる?


頬にひとすじの涙。


『…す、すみません。い、痛いから泣いてるわけじゃないですよ』


そう言って、こんな時なのにニコッて笑った。


『茅野君…?』


『嬉しいんです。一花さんに止血してもらって…こんな風に優しくしてもらって』


『何言ってるの、当たり前じゃない。いいから病院に行きましょ。それに警察にも届けなきゃ。まずは早く病院に』


『いいです!病院なんて…たいしたことありませんから。傷、深くないですから安心して下さい。本当に大丈夫ですから』


茅野君は必死にそう言った。


『…一花さん。僕、一花さんにフラレたのに、まだずっとあなたのこと想ってます。好きで好きで仕方なくて、朝から晩までずっと一花さんのこと想ってます。気持ち悪いって嫌われるかも知れませんね。でも、どうやったらあなたを忘れられるのか、どうしたらいいのか、全然わからないんです』


その言葉に胸が締め付けられた。


すごく切なくて、茅野君の想いが私の心に深く突き刺さった。


きっと…


私も同じだ…


もし絢斗に告白してフラレたら、どうやって心の中から絢斗を消せばいいのか…


全然、わからないだろうから。


茅野君はそこまで私を想ってくれてるんだ。


本当はすごく嬉しい。


こんな優しくて素敵な人に、ここまで好きでいてもらえて、私はものすごく幸せ。


だけど、ごめんね、本当にごめん。


私には、絢斗しか…見えない。


絢斗のことが…


大好きなんだ。
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