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確執の深さ~萌佳side~

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山内さんは、私の肩を軽く叩いて言った。


このオバサン、全く私の話しを聞こうとしなかった。


マジ、最低。


一花は、人を取り込むのが上手いから。


ものすごく腹が立ったけど、私の明るいイメージを壊さないように、その場は何とか無理やり笑顔を作って、


『山内さん。アドバイスありがとうございます。松下さんとゆっくり話してみます』


とだけ、かろうじて言った。


フロントに戻ってからも仕事が手につかず、何だかずっと胸がザワザワして、私は笑顔を作ることさえ苦痛になっていた。


どうしてよ?


何で一花は、いつも上手くみんなを自分の味方につけられるの?


そんなのズルいよ。


ちょっと待って、もしかして、一花は私の悪口を山内さんに言ってるのかも知れない。


だから、私の言葉よりも一花のことを信じて…


きっと、そうだよ。


でも、今は我慢してフロント業務をこなさないと、大好きな絢斗さんが総支配人を務めるこのホテルの名を私が汚すわけにはいかないから。


いつか、私が絢斗さんの奥さんになるかもしれないんだし。


だから、今は…耐えよう。


私の方が絶対にいいに決まってるんだから、いつかそれがみんなにわかる時がくる。


そう信じて頑張ろう。


夕方、勤務が終わって、私は一花に連絡を入れた。


一花も仕事を終えてるはずだから。


『もしもし…』


『一花。また飲みに行こうよ。今度は3人で』


『…3人って…?』


不思議そうに聞く一花。


『私達と茅野君』


『茅野君?どうして?』


『いいじゃない。あんな可愛いイケメンとたまには飲みたいじゃない。茅野君もOKだから。嫌とか言わないでよね。この前、慌てて解散させられたんだから』


わざわざ付き合ってあげたのに、逃げるように帰るなんてね。
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